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をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

悩ましきノルドマン

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カラフトアオアシシギ 5月1日

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カラフトアオアシシギ 5月3日

長年見たいと思っていた数少ないシギのひとつ
カラフトアオアシシギが平成最後に確認されたとのこと。
当日は別場所に出かけていて観察できず。
最初に出合うシーンは秋の幼鳥だとばかり思っていたが
なんと春に出現したというので、貴重な個体。
羽衣外観を巡ってはいろいろと意見が出ているようで、
初列風切の摩耗の少なさ、大雨覆が幼羽特有の鋸歯状
羽縁を持たないことから、当初抱いた第1回夏羽ではない
のではないかという疑問が湧いてきた。そこで自身の目で
確かめるべく飛翔時の撮影を試みたが、至近での飛翔は
撮影できず、推測することとなった。

結果は第1印象通り第1回夏羽への移行初期だと思える。
大雨覆の羽縁鋸歯は摩耗によりほぼ消失したと考えると
全ての疑問が解消する。
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飛翔1 5月1日 雨天下のためシャッタースピードが上がらず

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飛翔2 5月1日

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飛翔3 5月2日 晴天のため極めて遠いがまずまず見れる

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飛翔4 5月2日 同上

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飛翔5 5月3日 テイクオフ時の画像だが、この画像が最もよく淡色
羽縁の残る大雨覆のあることが見える画像。つまり大雨覆は幼羽。

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アカアシシギと共に

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キアシシギと共に

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アオアシシギと共に

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キアシシギ、アオアシシギと共に

※ このカラフトアオアシシギは残念ながら5月4日には見られませんでした。
渡去したのか、一時的に別場所で採餌しているのか不明ですが、行動から
抜けた可能性が高いです。

【成・幼判断の根拠と雌雄】
上記のように、これはカラフトアオアシシギの第1回夏羽移行中の個体と
しましたが、初列及び次列風切がそれほど摩耗していないのはナゼか?

推測に過ぎないが、カルガモのメスの三列風切を含めた羽の摩耗はオス
に比べて明らかに進行が遅いことから、メラニン色素のバランスと量に
性差があるものと思われる。また白変した鳥は大抵バフ変タイプとなり、
灰色タイプとはならない。これは褐色メラニンが羽毛の耐摩耗に強く関与
していることをうかがわせる。子育てを主に担うメスではカルガモに限らず
耐摩耗のためのメラニン色素により羽毛が保護されているのではと思う。
第1回夏羽への換羽時期が遅いこと、胸の黒斑の出現が遅いこともメス
を示唆しているのかも知れない。

大雨覆の幼羽縁は粗い鋸歯状の淡色羽縁となっていて、この点に関して
単なる淡色の羽縁であるアオアシシギとは大きく異なる。また成鳥とした
場合には摩耗した冬羽を見ることになるので羽縁淡色のない淡褐色羽です。
このカラフトの大雨覆は摩耗によって鋸歯状の羽縁は失われていますが
うち右翼なかほどの次列大雨覆に淡色羽縁のあるものが見えます。
幼羽の鋸歯状羽縁はメラニン色素をほぼ含まない部分のため摩耗が早く
擦り切れて羽縁がないように見えているのだと判断します。 過去千葉県
観察の第1回夏羽個体にはこの鋸歯状羽縁の幼大雨覆が残っているのが
見えます。これは個体差による摩耗程度の違いかと思います。

通例観察舎の展望塔から鳥は遠いのだが、このカラフトアオアシシギは
水路状となった観察舎のすぐ近くにカニを食べに来てくれる、殊更に愛想
のよい個体でした。旅路の無事を祈るばかりです。

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日本の渡り鳥 観察ガイド

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BIRDER SPECIAL
日本の渡り鳥 観察ガイド
著者: 先崎理之 梅垣佑介 小田谷嘉弥
     先崎啓究 高木慎介 西沢文吾 原 星一
出版社: 文一総合出版

雑誌Birderの若手執筆陣 Young Gunsの共同執筆による
渡り鳥の多面的観察ガイド。鳥類を理解する上で対象とする鳥の
生涯を通じての生活や季節毎の羽衣変化を観察するには渡りの
知識は欠かせない。留鳥とされるものの中には、実際には短距離
の移動をしているものや、渡り鳥に匹敵する移動をしているものも
いる。そんな野鳥の渡りを最新の情報を元に解説した本です。

migration-japan-inside
先日に紹介したヒヨドリ(原 星一 氏 解説)とオジロビタキ・
ニシオジロビタキ(梅垣佑介 氏 解説)の種別解説ページ。
通常掲載サイズですと内容が読めるので画像縮小しています。

執筆者が多数となると内容のフォーカスが散漫になりがちですが
それぞれの得意分野を担当することで一冊のまとまった書籍と
なっています。 雑誌Birderの掲載記事や一部執筆者には過去に
辛辣な意見を書いたことがありますが、野鳥に関しては唯一無二
の雑誌を扱う出版社です。編集部がその方向性を決定しどの著者
にどのような記事を依頼するかでその価値が決まります。
その前身「日本の生物」がなぜ野鳥に特化した雑誌となったのか
その経緯はよく知りませんが、まだ野鳥に興味を抱きかけの初心者
から何十年の観察経験を有する研究者までを対象として魅力的な
誌面とするのには、多大な努力が必要でしょう。 近年の編集部の
取り組みには概ね好意的でほぼ毎月購読するようになりました。

falcon
4月17日 淡路島を出たヒヨドリの一群を襲いうち一羽を獲物として
岩屋付近に持ち帰るハヤブサ (超トリミングしています)
海面すれすれを飛ぶことでハヤブサ特有の高高度からのロケットアタック
は回避できると書いたが、実際には側方から襲い掛かってヒヨドリの陣形
を崩し、パニックとなった個体に狙いを定めて複数回アタックした。

ryusei723
しばらくの間雄化を疑った流星号の特異な外観
これは「Angel Wing」と呼ばれる成長期の栄養バランス不良であることが
判明しました。長くその原因と雄化との関係に注目していましたが、ここ
最近のネット検索で多数の外国記事と私がこの変化に注目した直後に
国内でのブログ記事に対するコメントで核心が述べられた記事も見つけ
ることができました。栄養バランス不良の原因がパンの給餌だと断言した
ものも見ましたが、飼育個体ならばいざ知らず、生物は不足した栄養素を
自発的に摂取する感覚を持ち合わせていると考えるので、パン給餌禁止
に関しては完全に納得するのに時間を要しそうだ。
たったひとつの疑問でも自己解決するのに極めて長い期間を要した。
これらの根拠となった研究報告は最近のものが多いのも原因だったかも
知れないが、単純な疑問でも実に長い時間がかかったもんだ。

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かもめも見てます

秋から冬にかけて観察のメインはやはりカモ。
魅力がないとは言わないが、かもめを見てもなかなか目新しい
種類には出合えず、大和川での観察は工事が続いて以降は
ほとんど見に行く機会をなくしていました。
とは言え、時折はかもめも見ておかないと感覚が錆びつきます。

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オービタル・リングがピンクの中型かもめ 3月15日 三重県

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セグロカモメと並ぶと可愛さが際立ち、おっカナダ?と最初に見た
逆光条件下では思えました。

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実にかわいいかもめで近づいても逃げません。
よく知られたカナダカモメ・・・冬季に三重県で観察できる
有名なカナダカモメとは少し雰囲気は異なりますが、よく
似た面もあります。有名な成鳥はオスでこの個体は多分
メスなんでしょう。初列の翼裏や頭部の斑の出方に違和感
を感じます。

thayeroid-underwing
逆光で透けてわかりにくいですが、翼裏の黒色部が見えていて
カナダでもヴェガでもありません。

thayeroid-upperwing
P9の舌状部が白斑と繋がっていて、総体的に黒いヴェガの翼端特徴と
内弁・外弁で著しく濃度の異なるカナダの翼端特徴が混在している。
この特徴を目にして、ここでのかもめ観察5分にしてこれはカナダカモメ
とセグロカモメの雑種で成鳥なんだろうと思った。よく知られたカナダが
連続渡来するようになって久しく、その年数を考えれば、成鳥となった
子孫が存在しても、これがカモならば不思議ではないからだ。
ま、でも、アイスランドカモメとカナダの双方の特徴のあるかもめはいても
ヴェガとの雑種はいるのかな?という疑問は残る。
 私自身はこのような見方をしています。
それは三重県の浜辺に連続渡来するようになったカナダカモメは迷行
に近い状態でしたが、ここの環境が気に入りつがい相手も周囲のヴェガ
を選択したことから、本来の繁殖地に戻ることなくヴェガの繁殖地である
チェトコ半島からタイミル半島付近で夏を過ごし、冬にはここ三重に帰る
ようになった。そうして5年ほど前にはこの雑種をもうけたというストーリー
ですが、ならば幼鳥期にも観察情報があってしかるべきで、その辺は謎
です。

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砂州を移動後着地するミツユビカモメ成鳥冬羽 4月3日 大和川
大和橋より俯瞰で撮影、近すぎて翼端が切れました

Rissa2
過去2番目の近さから観察できたミツユビカモメでした

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