をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

シューツリーの魅力

カモ記事や他の記事も書きかけで考えがまとまらなかったり、説明イラストが不十分だったり
この時期の鳥観察頻度と相まって更新が進まない。

 そこで、かねてから靴のメンテナンスやシューツリー改造記事を取り扱っていることから、
少ない知識ながらツリー(ここではシューツリー、シューキーパー、シューシェイパーなどと
呼ばれている製品を以後、ツリーと呼びます。)について個人的興味の内容を取り扱って
いこうと考えています。
靴、特に革靴は日本国内に普及してたかだか1世紀そこそこの歴史しかありませんが、
熱狂的な靴マニアから伝説的職人さん、蘊蓄のかたまりのようなお方・・・などなど多数の
ファンがいらっしゃいますが、その脇役として重要な役割を果たすツリーに関してはまだまだ
基本的な知識が浸透していない、靴に入れさえすればいいと考えている方が多いのでは
ないだろうか。靴店や靴修理店、それにセレクトショップの商品解説を見ていると多くの場合
素材木の説明や使用目的、機能に誤解のあるサイトが見つかる。
 私のツリー歴もごく浅いものだし、靴にまつわる解説本等で少し触れられる程度の知識では
実際の使用における印象や製品ごとの評価も把握しにくいのが現状で一部のクチコミ情報が
販促に利用されているだけで実体とかけ離れているということもあるようだ。

 初めての出合い 】
成人式でスーツや晴れ着を着るのは当たり前のことだろうが、成人式を迎えたときにはスーツも
革靴も持っていなくて、普段着にスニーカーといったスタイルで臨んだのを覚えています。社会人
になっても営業職ではなかったのできちんとしたスーツや革靴を着用するようになったのは30歳
頃からではなかったでしょうか。そんなわけでファッションについて、靴の選び方や手入れの仕方
を誰に教わったというのではなく自分が必要に応じて身につけていった感じです。初めてツリーを
購入したのもリーガルのお店で「ツリーって必要ですか?」と尋ねて購入し、しばらくはネジ式での
長さ調節機構があるのを知らず、やや緩めに靴に装着していたのを思い出します。

 種類と素材、バリエーション 】
歴史的に見てみるとヨーロッパでも初期のツリーは長さや幅を調節できるものはなく、すべて手に
よって削り出された手の込んだものが多い。20世紀中頃からネジ調節式やスプリング伸縮式の
ツリーが出現し、それらの機構は現在も引き継がれている。以前にも触れたが、引きバネを使用
したオタマジャクシ形の簡易式ツリーや製靴ラストをそのまま保存用ツリーに模したフルラスト型
ツリー、主に踵部分のパーツを簡略化したハーフラスト型ツリーが存在するが中には木製2分割
タイプのものもあって区分が明瞭でないものも存在する。ツリーメーカーは自国だけでなく外国に
工場を持つ場合もあって、昨今は中国製ツリーが大量に出回っていることからも、外観からだけ
ではなかなかにその技術力や信頼性を把握することが困難となっている。 
 一方で過去にはサイズだけでなく幅やラストタイプまで選択肢のあったツリーが大量生産から
汎用性に重点が置かれ、平均的な足型を外れた靴の持ち主には選択肢が極めて限られている
実体は放置されているようにも思え、ツリーが本来持つ靴型の保持という観点からは、これらの
規格外靴所有者こそ考慮されるべき対象者とも判断される。
 素材もツリー(木、木製)とはいえ鉄やアルミ合金、プラスチックや革製等さまざまな素材が用い
られ、素材木も伝統的にビーチ(ぶな)、メープル(かえで)、ポプラ、ライム(しな近縁)、シダー
(すぎ)、レッドシダー(米すぎ)、バーチ(かば)などの他ウォルナット(くるみ)やホーンビーム(しで)
なども使われるし、けやき、かし、しなみざくら等の製品もあります。使用材によって価格差があり
ますが、実際の機能は価格差ほどはないことが殆どです。

異なる樹種・木材からつくられたツリー 】
ツリーの多くは靴木型製造工場が自社ブランド品として、また靴製造メーカーの依頼を受けて
製造された商品が多く、ラストやつま先形状や時代の流行を取り入れて生産されているが、同じ
タイプのツリーの素材を別素材で製造する技術も工場は併せ持つため、異なる木材を用いて
ツリーがつくられることもある。ただ、使用木材によって価格が異なることはあっても機能に関して
大きく差があることは殆どなく、入手の希少性や重さなどがやや異なるぐらいで吸湿性等のよく
話題にされる付加機能はほぼ差がないと言ってもよい。最もこれら素材の違いが大きく影響する
のは多分にユーザーの嗜好性にあって、材質に由来する機能差は決して大きくない。

やっとソール修理できたスェードローファー
以前「剥がせソール」で紹介してその後修理代の都合がつかなかったり、思うように修理部品が
入手できなくてそのままになっていた、リーガル ブリティッシュコレクションの黒色スェードローファー
京都の「REPAIRIST」さんが2足分の料金が必要となるソール修理を1足分料金で一足限定修理
してくれるという情報でお願いしたところ、修理後の送料も含め、当初想定の修理代金を下回る
料金で丁寧に対応していただきました。 クレージー ソールパターンで遊び心のある底付けです。
swede-british
元々ついていたソール素材は天然クレープゴム製でクッション性の高いものでしたが、この素材
少々神経質な性質で舗装間もない道路を歩いたり、有機溶剤に触れる、高温下に放置する等の
条件に遭遇すると底がべたついたり、ドロドロに溶けたりして、あらゆるゴミが靴裏にくっついたり、
鋭利な角のあるものを踏み貫通することが多くなります。年に一度は歩道の舗装が新しくなる
近所を歩くとひとたまりもありません。

swede-british-front
装着しているツリーはパオロ・ラッタンジの鏡面仕上げのステンレス金具が美しいカエデ製。
以前東京に行った際の中古靴試着で横に置かれていてとても気になったツリーでした。
最近、このツリーが訳ありで安く入手できたのですが、そのツリーがこれにジャストでした。
製造は同じくイタリアのFormificio Veregra 、PRODUCTS>Shoe Trees>Ceder Shoe Trees
掲載の杉素材ツリーの異素材版と考えられます。父親のシルバノ・ラッタンジで使われるのは
ラストが異なり素材もブナ製が多いようです。
イタリアには他にFormificio Romagnolo等名の知られた日本との取引もある
靴木型ファクトリーもあれば、エドワード・グリーン のシューツリーもてがけていたHARTMANNの
ツリーもドイツではなくイタリアで製造されているようです。

swede-british-insole
左足のソックシートはオリジナルですが右足のシートは踵下に穴が空いていたので大き目の
別靴で使用していたフットメイトの革製インソールのつま先部分をカットしてオリジナルと交換。
裏張りのクッション材はつま先側の2cmほどを除去してソックシートとして接着。
履き口、踵部分の革が数mmめくれていたのでやや幅広く1cmほど絹糸でまつり縫いして
ほころびが拡大するのを防止。この辺は予め自己補修しますと伝えていたので到着後修理。

paolo-trees
カエデ素材特有の木目と白さが特徴で、サイズの割にワイズを広くとった前足部。

walnut-trees
加工途中のウォルナット製自作ツリー

walnut-trees-biasside
踵部の木製つまみはフランス製ビンテージツリーのブナ製を流用、塗装で目立たなくしている

walnut-trees-front
甲の立ち上がり終端部をかなり内側にもってきてあります

walnut-trees-sole
甲終端裏側から足裏にかけて貫通口を設け、前足裏をくりぬいた



続きでツリーのサイズ変更について考えてみます

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美白・シミ抜き

カモの雑種に興味をもって、いろいろ調べてみるとどうやらオス外観に
関するものが殆どで母種の影響やメス外観を論じたものは少ない。

pintail hybrid-MIE
 2016年4月20日 三重県 オナガガモ雄×ヒドリガモ雌、雑種雄

「HYBRID DUCKS」 THE 5th CONTRIBUTION TOWARDS AN INVENTORY
by ERIC & BARRY GILLHAM : published in 2002
この本の表紙画像にはオナガガモ(父)とヒドリガモ(母)の雑種ガモが載っています。
ところが全ての雑種ガモの両親種の性が記載されているわけではなく ?もあり
どの程度信用してよいものか判断に迷う記述も多いです。
 中にはヒドリガモとアメリカヒドリ雑種の多様性に触れ、以前何度か紹介したことの
ある野鳥の会大阪支部にいらした塩田氏提供の画像が4枚掲載されたページも存在
します。そのうちの1枚は ? a backcross to americana そしてもう1枚に ? a backcross
to penelopeと表記されているものがあって、単に頭部緑色光沢の範囲のみで判断した
のかと思われるキャプションがついています。 これが塩田氏の考えか著者の考えかは
私にはわかりませんが、重要な視点がひとつ欠落しています。
それはbackcross とした時点で両親種の性が逆転した場合の組み合わせも考慮して
いなければ得られない結果を無視し、単にオスの外観だけで比較しただけだから到達
しただろう不信感にあります。

また最近ネット上で見つけたワシントン大学バーク博物館の 「Hybrid Duck Study 」では
雑種ガモが誕生する原因推定や収集した雑種ガモ画像、変なマガモの画像を公開し
ハンターに研究の協力を呼びかけています。 しかし、ここでも父種推定とか説明に
はあっても、具体的に画像で示された父種・母種由来の説明はなく、画像もオス画像
だけなんです。
そこで本日の話題はヒドリガモ雌を母にもつ子ガモはどのような外観に成長するか?
その結果推定が、顔下半が脱色・淡色化して美白化しゴマ塩が消えるシミ抜き
あるとするものです。その理由をいくつかの観察結果から考証し、その結果を実際に
ヒドリガモ雑種の複数世代にフィルタリングして、冒頭の? a backcross to~ が正しい
のか否かを考えてみたいと思います。

【雑種ガモ外観から父種・母種を推定するために】
単に雑種といっても犬猫の雑種は学術上の種の雑種ではなく、人間が作出した品種
における雑種です。ですからアヒルの雑種というのも品種間のかけ合わせが原則ですが
前記事で私が指摘したように東南アジア在来のマガモ近縁野生種の血統が入っている
可能性もあってマガモ雑種については家禽系要素を考慮する必要があります。
上で紹介した「Hybrid Duck Study 」ではオナガガモの要素としているようですが、灰色
嘴をもったカモには他にもヒドリガモ含め多数存在しているのですから限定できません。
前記事冒頭のアヒルとアイガモ画像に写るアイガモの嘴は緑がかった黄色つまりは
シトラスイエローのような色合いですが、これは黄色の色素と灰色嘴由来の色構造が
合成された場合の色で、アイガモ雌の嘴が肉色、橙色、灰色、黒色と多様な変異を
示し、雛の体色が一様に白いもの、黒いもの、マガモタイプのものと変化に富んでいる
ことも単一種由来ではない可能性を示しています。
そこで雑種ガモの親子推定ではシンプルな結果がでやすいスズガモ属の種間雑種が
入門編としては適していると思います。それは虹彩の色、体色、波状斑、頭部形状等
多くの要素が例外なく中間的な外観を呈するためです。 その他の潜水採餌ガモや
マガモ属のカモでは複雑な斑紋をもつのでその斑紋の出現に優劣関係があったりして
結果の予想が複雑化する傾向にあります。そのシンプルな雑種外観から両親種の性
特定の手がかりとなる要素の見極めが磨けるように思います。

いつものことですか、ひとりで多種多様なカモ雑種を観察できる時間も資金もありません。
当然その結果はネットで検索した画像を自分なりに分類して、その時その時の認識に
基づいて整理していくことぐらいしかできません。そんな中でおそらく正しい推論では
ないだろうかと思うものを紹介するのが今回の目的ですが、詳細は後日に続きます。

DUCK-HYBRIDS
6月29日追加画像、両親種の性が逆転した場合に誕生しうるオス外観

ここで描いた左下の画像が冒頭写真の雑種頭部です。見た経験のないものを想像
するのは困難ですし、はたしてこのような雑種が現実に存在するのかも不明です。
雑種の外観には個体差による幅が大きく見た目とはやや異なる結果になる可能性は
存在しますが、まるでランダムで予測できないほどのものでもなく、ある種ルールに
則った変化を見せるはずです。
他にも昨秋から今春にかけて観察されたハシビロガモ×ヒドリガモ(愛知県) や
マガモ×ヒドリガモ(北海道)が観察されたようで、これらの母ガモは外観から全て
ヒドリガモのように思われました。そこから導き出された結論が今回記事のタイトル
「美白・シミ抜き」つまり顔の下半分がクリーム色状に明色化し、アメリカヒドリ雄の
ごましお状に灰色になる部分が抜けて見えることです。
ここで、ではトモエガモに見られる目の下の黒条(色反転して白いこともあり)つまり
涙斑が存在するのはなぜかと思われる方もおありだと思います。それは父ガモ由来
因子が母由来因子の影響を上回ると出現する特徴だと考えています。
オナガガモが父の場合、顔下半が淡色化する要素に加えて涙斑も出現する要素が
強く感じられます。一方このような要素はマガモにも存在しますが弱く、母由来の
要素との組み合わせで出現しないことも多いと考えています。
それではなぜヒドリガモ父が与える影響が推測できるのかと申しますと、上の例に
存在しないヨシガモとの雑種にかなり印象の異なる雑種が混じっていることに疑問を
抱き多数のヨシガモとヒドリガモの雑種を外観特徴から大まかに2分することが可能
と考えたのがきっかけです。ヨシガモもヒドリガモも中型のカモで水面表層植物質を
好食する特性からしばしば同所的に観察できます。 しかし両者オスの性質はやや
異なっておりヨシガモ雄が好戦的(他のカモにちょっかいを出す傾向が強い)なのに、
ヒドリガモ雄はやや控えめな印象が強くその結果が観察される雑種個体数に影響
しているのではないかと推測します。ヒドリガモが父ガモとなる雑種は比較的観察
されるヨシガモ(父)×ヒドリガモ(母)よりずっと少なく、他のカモとの組み合わせでは
ほとんど観察例がないのではないでしょうか。
その組み合わせ例が日本のカモ識別図鑑にも掲載され、水面採餌ガモの雑種例
最初のヨシガモ×ヒドリガモ雑種雄3枚画像の最後がそれだと思うものです。
図鑑では表記によって両親種の性にも留意したとも思える部分もありますが、特に
意識的に父母の性が逆転した場合の配慮はされていないものと思います。
この組み合わせでヒドリガモが父親となった場合、喉の白色部が黒くつぶれ、腮から
喉にかけて黒い首輪状黒色部が出現、頬の色は赤紫色を帯びず濃い褐色、下尾筒
サイドのクリーム色斑はほぼ消失する傾向が強いように感じます。それら印象を元に
作成したのが上右側の雄画像です。

wigeonxfalcated
2012年1月 三重県 こちらは頻度が高いヨシガモが父親である雑種(右のカモ)
同様雑種でコガモ父とヒドリガモ母間の雑種の頬が茶色いが個体差でもっと淡色の
個体も存在するだろうと思う。オカヨシガモ雑種はヒドリガモ雌同様顔下半が淡色と
なる傾向が強いが両者同等の影響度のため図鑑掲載の雑種では頭部がやや赤茶
色っぽいオカヨシガモ外観となっているが、頬が淡色化した雑種も存在する。
いずれにせよこれらヒドリガモを母にもつ雑種からアメリカヒドリ及びヒドリガモ雑種の
世代別特徴が推定できると考えています。 それはまた日をあらためます。

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マガモとアヒルとカルガモ

マガモ・・・野生のマガモと家禽化したアヒル・アイガモが野外に逸出して世代を重ね
      外観上原種マガモと区別できなくなったものを含む、区別できたとしてマガモ
      と呼んで間違いではない。

アオクビアヒルとアイガモ
アオクビアヒルとアイガモ・・・2007.12.31記事より 以下同記事より引用

アヒル・・・ニワトリに比べ人類が家畜化(鳥なので家禽)した時代が新しいが、これは
      マガモのもつ渡り習性をなくす努力が必要だったためと考えられる。漢字で
      家鴨。家畜や家禽には家~と表記するものが多い。豚は家猪とも表記する
      が歴史が長く豚という漢字がある。一方、犬は家狼とは表記せず漢字成立
      と家畜の呼び名は密接な関係にあると考えられる。読みのアヒルは足広の
      あひろが転訛したものとの説があり倭語が漢字の音に置き換えられたもの
      でない当て字と思われる。 マガモを継代飼育して肥育したものと一般には
      認識され、学名も Anas Platyrhynchos var. domesticusとしたマガモ学名に
      家禽変種という意味合いが追加されている。 したがってアヒルにマガモを
      戻し交配して作出されたアイガモの学名も同じである。
      鳥に詳しい一部の方達を除き、大手保険会社のCMマスコットの影響もあり
      白いアヒルだけをアヒルと認識される方が多いが、原種マガモの色を保つ
      青首アヒルやペキン、ルーアン、カーキーキャンベル等多くの品種が存在し、
      白いというだけでガチョウとアヒルが区別できていなかったり、属の異なる
      バリケンまでもがバリケンアヒルと呼ばれることもある。
      ・・・とここまで学術的な認識と一般人の認識を書いてきたが、農林水産関係
      の方々や養鴨業者の方達のアイガモ観は少し違い、近隣の養鴨業者のHP
      にはアヒルとカルガモをかけ合わせたものがアイガモ、大分県農業技術センター
      のぶんご合鴨はマガモと青首アヒル雑種アイガモとカーキーキャンベル種を
      更に交配したものを合鴨と呼んでいます。
      ここで注意すべきことは、過去私が緑色がかった黄色い嘴や灰黒色の嘴を
      もったマガモ雌を 「ODD MALLARDS」紹介している事実などから、交配された
      地域のマガモ近縁種アカノドカルガモやマミジロカルガモの血統も入っている
      可能性は充分あり、だとすれば学術的認識はややずれている。

冬鳥   マガモを含めた多くのカモは関西では越冬のために日本へと渡ってくる冬鳥
      です。しかしマガモには上記のような問題もあって渡りをしないマガモがいて、
      傷病が原因で渡りを断念しているのか、祖先が家禽であったのかが判別し
      難い個体がいて、これらのマガモはカルガモより更に定住性が強く同一場所
      で1年間を過ごす傾向が強い。

留鳥   本州のカモではカルガモ、オシドリが留鳥であるとされる。 この用語は基準が
      個体と狭い特定地域を指すのではないということ。もちろん、冬鳥・夏鳥・漂鳥も
      同じだが、個体Aという鳥が年中関西で見られるから留鳥なのではなく、その
      種が基準となる地域で四季を通じて観察できるので留鳥と呼びます。 実際に
      オシドリは関西の山間渓流で繁殖しますが、平地の池や公園では姿が見られ
      なくなるので冬鳥では?と考えやすいですが、オシドリの繁殖地も越冬地も
      国内に存在することが多く日本を基準とした場合留鳥ということになります。
      これに対してカルガモの越冬地・繁殖地移動の実態は不明で冬季の観察数と
      繁殖期に相当する春・夏の観察数には歴然とした差があり、しかも繁殖環境に
      顕著な越冬地・繁殖地条件差がないので短距離~長距離に及ぶ渡り相当の
      移動をしている可能性があります。北海道で繁殖したカルガモが関西で
      越冬、関西で繁殖したカルガモが沖縄で越冬というような状況は十分に考え
      うる。越冬地が朝鮮半島や中国、東南アジアとなれば一部カルガモは渡りを
      すると考えられなくもない。

旅鳥  国内で越冬も繁殖もしないシマアジがこれに該当するが、一部北海道で繁殖
     するので夏鳥、沖縄付近で越冬するので冬鳥とされることもあるが、基準地を
     日本とした場合には旅鳥とされる。

夏鳥  北海道は国内では例外的に高緯度・寒冷地に該当するのでカワアイサ・マガモ
     等比較的多くのカモの繁殖が確認されています。これはカモ達の繁殖域に近接
     するためで、比較的低緯度で繁殖する雌雄外観差の少ないカルガモの北限付近
     に該当することから冬季には個体数が激減し夏鳥となります。

DNAバーコーディングから見たマガモとカルガモ
     日本鳥類目録第7版で種の分類に大きな影響を与えた新世代ツールはムシクイ
     隠蔽種の立証にも有用であったが、大きく外観の異なるカルガモとマガモでは
     遺伝子配列の差異がなく両種の変異は0%。一致率100%は亜種間の差異より
     更に少なく現行の手法では同種と判定されるレベルであることが2014年に公表
     された。

マルガモと家禽系マガモとカルガモ
     マガモとカルガモはDNAバーコーディングという手法でも区別できないので近縁。
     近縁なら雑種が出来ても不思議じゃない?! ところがマガモ目線ではなく、
     カルガモ目線で見ると少々印象が違ってくる。 カルガモが雑種をつくる相手に
     マガモ以外のカモで思い当たる種はいるだろうか?他のカモとは不妊の関係に
     あるとされるオシドリと他のカモの関係に次ぐような雑種の少なさが目につく。
     カモの世界で内水面のカモを総合的に研究したことで有名な羽田健三氏は論文
     によってカモのすみわけを説明するなかでマガモとカルガモには有意な種間干渉
     が存在し、水辺の最も安全な水域をマガモが優占すると報告している。 また、
     これらの研究を再評価してJOGA集会で発表した嶋田哲郎氏も千葉県での観察
     によって追認できたとしている。 が、私自身はカモ観察を始めた10数年前から
     そのような事実を確認できたことがなく、マガモ・カルガモともにドングリを潜水して
     採餌し双方の群れには大抵少数の異なる種が混じっていて緩やかな同種群を
     形成しているというのが正直な印象。 ただ羽田氏が論文報告したのは私が出生
     した半世紀以上も前のことですし、嶋田氏の千葉県における観察も私がカモ観察を
     始めた時期より前のことなので観察時期・場所で差があったと言えなくもない。
     だとすれば、この比較的短い期間にこの両種の関係性に影響を及ぼす何かが
     変化したのだろうか? ひとつ思い浮かぶ理由がある、思い違いである可能性も
     捨てきれないが・・・都市部で人為的に公園や池に放されたアヒル・アイガモの存在
     が野外逸出によって局所的に進行したカルガモとの雑種増加を促進した?。
     上で書いたようにアイガモは古くはナキアヒルと言われたものと同義でしょうが品種
     改良のために他種の血統も導入されている可能性が高く、野外でカルガモと交配
     することは遺伝子を汚染している結果となります。マガモとカルガモの雑種の呼び名
     をマルガモとしてもいいですが、この家禽系マガモとの雑種までをもマルガモとして
     呼んでしまうことには違和感があって、現にマルガモと呼ばれている雑種カモ、実は
     都市部で繁殖してマガモと区別できなくなった家禽系マガモ由来が大半でしょう。
     野生のマガモとカルガモ雑種は巷間考えられているほど多くはありません。
     それは野外に逸出して繁殖している家禽系マガモは局地的に分布していて、京都
     鴨川の市街地のように寺の池で繁殖を見守られ多くの人々からカルガモと誤認され
     結果的に鴨川水系に家禽系雑種ガモを増加させた例からもわかるように、正しい
     知識をもって自然と接することが重要です。マスコミやNHKの報道までもがカモの
     遺伝子汚染を助長していることは由々しき問題です。 アイガモという概念に既に
     カルガモ血統が混じているならば、雑種ができやすくなることは容易に理解できる
     ところです。

カルガモが雑種によって滅ぶ
     上で触れた雑種問題を雑誌記事で報告した方に千葉県立博物館の桑原和之氏が
     いる。イラストレーター箕輪氏撮影の雑種カルガモ等を例にしながら雑種が増加する
     のを懸念した記事がBirder誌2007年11月号に掲載されています。
     ただ文脈から桑原氏はカルガモ雌繁殖羽特有の三列風切の斑を雑種根拠とする
     従前の立場に立っているためカルガモ雑種個体数を過度に多く見積もっていると
     推定し、当時同号雑誌の記事信憑性に著しい問題があるとこのブログで取り上げた。
     関東周辺では当時既に市街地で結構多くの家禽系マガモが繁殖していたことの
     裏返しかもしれない。


芦ヶ池のアイガモ
芦ヶ池のアイガモ・現在見られるアイガモの両親
現在芦ヶ池に残る子の世代は2羽まで減ってしまった。途中兄妹婚による雛が誕生したが
カラスによる捕食で3日ほどで全滅。以後新たな繁殖は確認されず、同性交尾は確認できた
ものの他種(カルガモ等)との強制交尾も確認できなかった。信州で家禽系カモを数世代に
わたって観察されている方がいるが、意外に狭い親族社会を形成しているようにも見える。

マガモ似の雑種
マガモ似の雑種
父親の影響度記事で紹介した子の外観から推定すると、これはマガモ父とカルガモ母の子。
以後母系統のカルガモと交配を続けてマガモ系統の血が入らなくともしばらくは強くこの外観を
継続するであろうことが日本のカモ識別図鑑の雑種欄画像からも推定できる。

交雑の疑いのあるカルガモ(左)とカルガモ
交雑の疑いのあるカルガモ
こちらが上で書いたように過去マガモ父から出生し数世代をカルガモ母と交配したと推定できる
カルガモ雑種。顔には既に緑色金属光沢がなくなって、第1世代雑種の頬付近の黒色部が腮~
喉付近に確認できる。緑色光沢を出現させるには均質で暗色のメラニン色素をもつ下地が必要
でその下地黒色部が世代を経ても喉周辺に残存したと考えられる。
マガモと過去に交配した影響が頬線の出方の弱さに見てとれる。
第1世代雑種F1からこのような外観となるにはカルガモ母との戻し交配を5世代ほど重ねる必要が
あり、この間コピー機で原本を使用せず複製だけを重ねたコピーのように輪郭が途切れ、斑は点と
化し次第に母系統外観オスに近づくものの嘴や頬線の特徴は継続して受け継がれるものと推定。


中間型雑種
中間型雑種
当時中間型雑種としてはいるが、これも父はマガモと推定できるカルガモとの雑種。
今回見たカルガモが父の雑種ではかなりカルガモ似の嘴(先端黄色部はやや広い)を
しているのを見ると、父ガモはマガモと判断する。体部は波状斑が見えておらずカルガモ
影響が強いように見えるが近接してみると波状斑の影響もある。


カルガモ似の雑種
カルガモ似の雑種
こちらが今回観察できた雑種の子ガモオスが成長したときに見られるであろう外観。
カルガモ父とマガモ母の間にできた雑種。 この個体には緑色金属光沢の出現は
ないが、子の個体差によるので上の中間型雑種画像程度の緑色光沢を頭部にもつ
個体もいるだろうと推定する。
ネット画像を検索していて思うのは鉄分によって胸~頬が赤褐色に染まっただけの
カルガモをこの雑種と誤認している例も見られる。やはり単一の特徴ではなく複数の
異なる視点から検証し総合的に判断する姿勢は忘れてはならない。

※ 上で示した画像の両親を全て確認した結果ではなく、現在の雑種観に基づき
再構成したのがこの記事です。野外で観察した雑種の両親を特定するのは困難で
それに準じた飼育交配記録も断片的にしか見出せないので、この辺りの事情に
最も精通していると考えうるのは都道府県にある農林水産技術施設の新品種育種
担当官ぐらいではないでしょうか。

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