をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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姉妹図鑑ちゃうで!

kamo-zukan

昨年発行され紙版図鑑の在庫が払底状態だった「日本のカモ識別図鑑」
氏原巨雄・氏原道昭著 誠文堂新光社 がこの秋重版刊行された。
カモのことが知りたい初心者・ベテラン問わずこれ以外の図鑑を薦めることが
はばかられるよく考えられた図鑑で、識別は元より見開きで雌雄の外観が
対比できるインデックス画像ページも素晴らしく、このインデックスだけを抜粋
刊行しても価値あるものです。その完成度はのちに刊行された英HELM社の
図鑑をも凌駕しています。 初心者には内容が本格的ということで、他図鑑を
薦める方がいますが、初心者にこそ間違った情報の書かれた図鑑は薦める
べきではありません。

上にあげた図鑑は外観も内容構成も出版社も同じですが、ブックデザインを
担当した方は異なるようですから、ここまでのパクリはある意味東京オリンピック
で話題になったエンブレム事件どころではないように思います。もちろん当事者
間で了解のうえで刊行されたのかは知る由もありませんが・・・。
ただ外観が似ているだけならまだしも、叶内氏がもちかけて刊行実現した書籍
のようですから、これまでにも多数の間違いを内包した書籍の問題点がそのまま
この図鑑に反映されていて、これからカモを見たいという方がカモが載っている
だけの図鑑よりこっちの方がお得なんていう感覚で購入されないようにしてもらい
たいと切に願います。
成鳥の画像が使用されるべきところにこの図鑑の用語解説にある若鳥画像が
使用されていたり、雌雄で掲載されているはずの画像がツクシガモで雄だけ、
アメリカヒドリ雌は頭部の色がヒドリガモ雌によく似た、しかも嘴基部に黒色部
のない個体を掲載している、カルガモ×マガモと表示されているカモは単に
アイガモ画像、オナガガモ幼鳥画像は雄化したオナガガモ、キンクロハジロ雌
画像は雄エクリプス画像
、ウミアイサ若鳥は雌成鳥繁殖羽画像などなど間違い
多数なのでどうか姉妹書と勘違いして購入されませんように。

※ 巻末の撮影データに記事作成後気づきました。キンクロ雌画像は3月撮影の
ようですからエクリプスはあり得ないですね。ですがヒメハジロ雌画像に過去話題
となった兵庫県三田市の雄幼鳥画像が使用されていることが判明しました。
提供された画像の使用に際して使用目的に沿うものか判断するのも著者の役割
ですから結構ずさんですよね。先日の自然史フェスティバルに掲示されていた
写真で気づいたのですがJBF全日本鳥フォトコンテストの審査員ってカモが識別
できない面々が揃っているんですね。この面々には写真の批評をされたくないし
鳥写真で他の総合部門入賞者を輩出するのは難しそうです。国際的なネイチャー
写真部門の選出基準ともずれているような・・・。21日追記

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この冬はカモ図鑑が熱い

先日発刊された氏原さんのカモ図鑑に続き、ヘルム社の識別ガイド、カモ図鑑が新刊
発行された。

タイトルは
WILDFOWL OF EUROPE,ASIA AND NORTH AMERICA」
著者はセバスチアン リーベル Sébastien Reeber、フランス人著者による図鑑。
先立つこと1年ほど前、「Ducks,Geese,and Swans of the North America」 Guy Baldassarre 著が
アメリカ John Hopkins University Press から発行され 雑誌Birder 11月号に茂田良光氏の書評が
掲載されていますからカモ図鑑の発行が世界中で相次いだことになります。

duck-ref-cover

この本はハードカバー版ですから、安価なペーパーバック版やキンドル版を待っても遅くないと感じ
ます。内容はこれまで同社が発行していたスティーブ マッジ著の世界版と異なり、ヨーロッパ及び
アジア、北米のカモのみを取り上げていますから、南米のワキアカヒドリもオーストラリアのクビワ
アカツクシガモもアフリカ南方に局地的なマダガスカルメジロガモも掲載されていません。
その分年齢、羽衣の識別、亜種の記述が詳細になり、新たな情報量も多いようですが、イラストの
エッジの立った怖い顔をしたカモはあまり好みではありません。カモメ識別ハンドブックが改訂版で
ややどぎつい図版になったように中間トーンが貧弱で細部の正確さに欠けます。ヨシガモの非繁殖羽
から繁殖羽への移行図も違和感大です。この辺は著者がヨーロッパ在住の方である部分が大きいと
感じます。イラスト、写真の双方を駆使して解説している点は好感が持てますが内容の重複性、正確
な記述に難がある、雄化の解説がない等の点で半額で入手できる氏原さんの図鑑が断然高い評価
となります。評価できるポイントは各羽衣が観察できる期間が解説文中に示されていることでしょうか。
氏原さんの図鑑にも水面採餌・潜水採餌ガモ別にバーグラフによる羽装カレンダーの掲載があるかも
と感じていたので、この部分はやや参考価値が高いでしょう。

なお、羽衣呼称はdefinitive basic 成鳥繁殖羽
definitive alternate 成鳥非繁殖羽
first basic 幼羽
formative 第1回繁殖羽相当の用語が用いられているようです。
コウライアイサの成鳥雌繁殖羽画像は雄第1回繁殖羽画像に見えるのですが・・・。

duck-ref-inside
内容のイメージです。著作権の問題があるのでヒメハジロとホオジロガモ雑種等の雑種ページを
小さく載せておきます。

※ 以前にも同じ内容のリプリント版がHoughton Mifflin(米)で「Waterfowl」とタイトルのみ変更
されて出版されたことがありますが、今回もPrincetonより「Waterfowl~」というタイトルで米国
発行、2016年3月 されるようです。通例米国版の方が安価であることが多いようです。
なお、原著は
Canards, cygnes et oies d'Europe, d'Asie et d'Amérique du nord 2015,11/12 です。

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日本のカモ識別図鑑届く

zukan-ducks
新刊 決定版 日本のカモ識別図鑑 氏原巨雄・氏原道昭 著 誠文堂新光社

前回記事で大阪の書店店頭には発売日に並ばなかったと書いたカモ図鑑。
その後の検索で本日には大阪市内の大手書店や近郊の大型書店に出回り始めた
ようです。紀伊国屋書店本店や旭屋書店りんくう泉南店では店頭在庫が確認でき、
我が家にもお昼前に千葉県市川市のアマゾン配送センターからゆうパケットで配達
されてきました。

後出しジャンケンのようで、今さら書くのも変だが公開されていなかったコガモと
アメリカコガモの識別点が三列風切に存在するとか、ヒドリガモ幼鳥雌雄の簡易
識別が後列肩羽で可能だとかいうのが、思っていた通りの記述だった。
何より側面画像と飛翔画像で目次を視覚的に構成するなど、類書には見られぬ
配慮の行き届いた気配りと内容の信頼度は群を抜いて高い。 初心者から長年
観察を続けているベテランまでをも唸らせる内容は見事というほかない。

これまで色素異常や雌の雄化など一般には浸透していない知識の解説にはとても
苦労させられたが、これで一定の根拠が示せるようになった。我々ヒトにも男・女、
子供・大人・老人がいるわけだから、これまではそれらをいっしょくたにしていたのが
問題でした。私自身もこの図鑑から得るところは多数あり、一気に半時間で読んだ
内容を今後じっくり確かめていこうと考えています。長年待ち焦がれた図鑑の到着、
期待を裏切らない内容に喜びを感じています。 フィールドのカモ達のみならず雑誌・
図鑑・論文のこれまでの記述を検証してみるのも面白いですよ。
これまで得られなかったカワアイサ亜種の貴重な記述も掲載されています。

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うそのような本当のウソの話

どんな図鑑をどのように使用するのか、数ある中からの選択は難しい。
鳥が気になって初めて触れる図鑑と一通り識別できるようになってから、
かなりの鳥や珍鳥まで識別できるようになった時点の図鑑では読者が
要求する内容にも変化が生じていることだろう。

【フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂新版入手】
フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂新版 高野伸二 著が発行されると
聞いて、6月初旬より入手の機会をうかがっていた。いちはやく初版を入手する
際にはこれまで地元の大手書店の店頭に出回るタイミングを把握することが
肝心だと思っていたが、発行元が日本野鳥の会それにトークショーがジュンク堂
池袋本店で開催されたせいか、大阪の大手本屋さんには関係者以外で入手した
という情報がまるでない。そこでいち早くネット通販を開始した野鳥の会や野鳥に
関するグッズを扱うお店で送料を確認すると、800円近くするので送料が無料に
なるセブンネットの取り扱い開始を待つことにして、中旬にやっと発注。 ところが
在庫確認できましたので、しばらくお待ちくださいのメール後また音沙汰なし。
その間大阪の大手書店店頭でも扱いが開始され、店頭購入で早期に購入できた
方の中には20日頃に入手された方もいるのではないだろうか。結局は判断ミスで
手元に届いたのは7月1日午前。やはり地元大手書店の店頭販売開始を待つのが
一般人が最速で本を入手する方法のようだ。 実はこの本、過去にはそれほど注目
していなかったのだが、鳥類目録第7版にどのように対処したのか、どこが加筆修正
されたのか、気になっていました。

【日本版 ピーターソン図鑑】
図鑑を書く側としては上で書いた異なるレベルの読者層だけでなく、いかに正確に
識別ポイントや付帯情報を提供するするかという点と共に限られたスペースに様々な
情報を簡潔に詰め込む画像編集力が求められる。その労力や背景知識は膨大で
あろうことが推測される。

field-guide
左上が今回入手した、フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂新版 2015年6月1日。
左下が前回改訂の増補改訂版 2007年10月15日、右上が一部増補のペーパーバック版
1989年10月15日、右下が初版ハードバック 1982年11月1日。
この間に準拠した日本鳥類目録は改訂第5版より現行の第7版までで、純然たる高野伸二氏
の手になる著作は逝去により初版のみ。対照として増補に際し図版を担当した野鳥の会発行
A Field Guide to the Waterbirds of Asia 谷口高司氏を中央に配した。
私が入手したのは左上の本だけなので、その他の本は図書館の貸し出し用バーコードシール
部分をモザイク処理して掲載し、広角レンズによる左側からの撮影なので右側は変形縮小。
初版、増補ペーパーバック版は(株)三洋印刷工芸が、増補改訂版、増補改訂新版を教科書
等で知られる関連会社をもつ光村印刷株式会社が担当したようで、表紙・背表紙デザインが
異なる。 後2者は表紙のタイトルバックが暗色、明色抜き文字になったほか背表紙の
ヒレンジャクの飛翔図が割愛され止まりもの図のみとなっている。

初版のみが高野伸二氏の著作であって、以後の増補版は本来、原著 高野伸二とすべき版と
考えるが、そうなっていないのは野鳥の会関係者のオマージュであり、高野氏が手本とした
ピーターソン図鑑が50年以上を経た現在も第5版が発行され続けていることに理由があるの
かも知れない。
両者のロングセラーの根底にはピーターソン式矢印図示法と自然に対する幅広い知識が存在
することは紛れもない事実でしょう。そのため全ての版の冒頭欄外にはピーターソン氏と版権を
もつホートン ミフリン(Houghton Mifflin Company)への使用許諾謝辞が記載されている。

私がデジタル一眼レフをフィールドノートの自動記録版という位置づけで使用、鳥見を始めたの
はほぼ今世紀に入るかどうかといった時期だったので、時代は既に写真図鑑が認知され普及
していた頃だった。あまりリアルな鳥が掲載されていないこの本は購入対象外だった。
近所で見かけた鳥を撮影しては、片っぱしから名前を調べていったのだが、写真図鑑を写真で
見比べるのだからイラスト図鑑より都合が良かった。ただ、最初の頃はセグロセキレイとよく似た
ハクセキレイ雄との識別やコサメビタキとサメビタキ等すぐには判断できずにいたものがあったが
複数回見比べることで解決していった。私がイラスト図鑑の優位性に気付いたのはシギチドリ、
カモメのハンドブックを入手したことがきっかけだった。最初に使うのはイラスト簡易図鑑がいい
とか、多くの実例が載っている写真図鑑がいいとか諸説あるが、要は使い方次第でしょう。

以下は前日に母親の手だしで消えてしまった内容の一部を翌日記載したものです。

【ウソの尾羽の向きがなんか変】
イラスト図鑑の優位性を考えると、対象種の特徴や他と異なる点を顕著にクローズアップした
描写が可能だということでしょうか。写真を撮影して気づくことに、複数の個体を同一条件下で
同一縮尺で撮影することがいかに難しいかということ。写真で特徴のある部位を明瞭に捉える
ことは環境や光線状況、露出のかけ具合もあって、絵で説明するようには簡単にいかないこと
が多い。同じく野鳥の会が発行するなすび氏のイラストなどはその軽妙なデフォルメから絵の
もつ訴求力を実感させてくれる。
フィールドガイド 日本の野鳥をはじめて手にしてパラパラとページをめくった時に「あれっ、変」
と感じたこと・・・それはウソの図版であった。その後も何度かこの本や増補された版などを見る
機会があったが、同様の違和感を感じた図版は他にはなかった。 高野氏は決して職業画家
ではないけれど、対象物の体軸を適切に表現する画力には問題なく、図鑑画像のいたるところ
に対象種の違いを表現しようとした苦労のあとが見える。
ウソ雌雄の画像はややや正面寄りの左向きに描かれているが、尾羽は左真横向きないし、
やや向こう向きの画像が描かれていて尾筒付近で急に捻れてしまっている。右に描かれた
幼鳥や右下の2亜種の尾羽裏側が見えている画像とは明らかに異なるし、亜種識別に重要な
尾羽の白色味・黒味がこれでは比べられない。同じページのオオマシコ・ベニマシコが左真横
向きであるので一層なぜこの尾羽がついたのか、その後の版でも修正されていないのか疑問。
ピカソのキュビスムの絵ならこれでもありだが、もしかして隠されたジョーク?
※ よく似た尾筒付近が不自然に見える図はクロハラアジサシ夏羽の飛翔図にも見られるが
こちらは下尾筒を捻った状態で描いたとどうにかわかるように描かれている。

【増補部分の書き足し、修正画像の掲載】
増補版以降は純然たる高野氏の著作ではなく、野鳥の会関係者の追記・補遺図鑑である。
ただどのようにその部分を書き足し、描くのかはオリジナルをできるだけ損ねないよう配慮
大幅な書き換えが慎まれたとまえがきの説明にある。
基本的に発行後新たに記録されたり、見出されたことは後半部に付属的に書き足されていて
あとから記載されたことがわかる。ところがこの方法だと同じ属に分類される鳥が分けて記載
されることになり、一連のまとまりとして理解しがたい。増補直後の版ではこの方法でも仕方が
ないが、その次の版では本文中に挿入して文字種や文字の太さを変える、白抜き文字にする、
画像に※マークをつけるなどして凡例にその区別を書いた方が解りやすくなかったか?
今回の新版では鳥類目録改訂第7版の大幅な変更があったにもかかわらず、従来通りの水辺
山野の鳥という掲載順を維持したことは評価できる。
最初に記事にした内容には細々と版毎の違いを挙げたが、消えてしまった今回の記述は大体を
書くにとどめる。永らく修正されなかったのに今回新版で修正された画像にアメリカヒドリ雄成鳥
繁殖羽の肩羽がブドウ色に描き換えられた点がある。このことにより、従来雑種のアメリカヒドリ
が純粋のアメリカヒドリと誤認される可能性が低下した。一方でアカノドカルガモがカルガモ欄に
ナンキンオシがオシドリ欄に追記されたことで誤解を生みやすくなった。旧第6版時点の分類で
亜種poecilorhynchaを同一欄に記述するならまだしも、和名に同名が含まれるという理由で同一
欄に記載するのはどうかと思う。 カモに関しては失礼ながら高野氏はエクリプスと雌・幼鳥とを
識別できていなかったことがうかがえる。このことは前回の増補改訂版以降のまえがき部分で
触れられ描きわけていない種もあるとしている。ところがマガモのように嘴・体羽の差がはっきり
描き分けられている種も存在するので、描画に起因するものではなく、識別根拠とする知識を
欠いていたと考えるのが自然。前回の増補改訂ではコガモ雌の飛翔翼上面図に変更がなされ
大雨覆の白帯がやや太く描き換えられているが、大切な翼基部側の赤褐色は漏れている。
また、エクリプスを一貫して掲載している原画像からヨシガモのエクリプスを割愛している。長く
野鳥の会が関わって続けたガンカモ調査がカモの外観を記述した図鑑に反映できないのは、
不思議のひとつ。 近い将来、カモの適切な図鑑が刊行されるだろうから、ここで多くの問題点
を挙げても無意味。
高野氏にしても、塩田氏にしても、ご本人が望んだ方向に現実は向かっているのだろうか?
今回の新版はページが増えたにもかかわらず、本の厚みがかなり薄くなり携帯性が向上して
いる。新たな意見も取り入れ改善した部分も多い。イラスト野鳥図鑑としては今なお使いやすい
図鑑であることは間違いないが、読者が従順で素直な野鳥の会関係者が多いゆえ、シマアジ
雌の雨覆が濃い灰色で描かれていて、これを判断根拠として雄幼鳥を雌と判断される方も
珍しくないなど、改善の余地は依然随所に見受けられる。

※ 雑誌Birderが2012年11月のJBF会場及びインターネット上のアンケートを利用して調査
した(N=192)結果、野鳥の会関係者を中心にフィールドガイド 日本の野鳥をフィールドで使用
している方の割合は38%にのぼり、他のTOP5中残り4種図鑑が32%で続き全体の7割の方
が主要図鑑をフィールドで使っていることがわかる。その他の図鑑使用者は3割に過ぎない。
主要TOP5図鑑からフィールドガイド 日本の野鳥を除いた図鑑でも情報のベースにその内容を
取り込んでいるいるものが多いことから、多くの方がバイブルと目しているこの図鑑の誤りは即
多大な判断ミスに繋がっているものと考えられ、これまでカモハンドブックで誤りとしてきた叶内氏
の判断ベースもこの辺に原点があるのだろう。
主要TOP5内訳=フィールドガイド日本の野鳥 38%、山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥 13%、
日本の鳥 550(水辺・山野) 7%、日本の野鳥590 7%、鳥630図鑑 5%。

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写真が嘘をつくとき

写真が必ずしも真実を描き出していないということは、万人が知るところ。

たとえば、我々の視覚は様々な錯視から現象の誤認を犯しやすいし、外界の認識は
人によって異なり、また目から入った情報は脳で処理されてはじめて意味をもつため
明るさや色彩の再現範囲は生体の種により、機器により当然異なってくる。

例1. 航空機事故の証拠写真例 (写真の白飛びを翼への着氷と誤認した例)
  1958年2月 西ドイツリーム空港を給油後に離陸しようとしたエアスピードアンバサダー機は
 複数回の離陸試行後に離陸可能速度に到達せず滑走路をオーバーラン、空家に激突炎上した。 この
 事故では英国のサッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドの選手他乗員乗客44名中23名
 が死亡し「ミュンヘンの悲劇」と呼ばれることとなった。 事故後の西ドイツ側調査委の報告では、
 翼への着氷で十分な揚力が得られず事故を招いたとして、事故直前に撮影された機体翼が白い写真
 をその証拠として採用した。結果、機長に着氷除去の義務を怠ったとの判断が下され、滑走路の積雪
 凍結による失速が真の原因であることが判明したのは11年後の真相究明を待たねばならなかった。
 フィルムを使用したカメラにはラチチュード、デジタルカメラにはダイナミックレンジという再現が
 可能な明暗の範囲が存在する。この範囲を超えた画像は真白になる(白飛び)、満たない画像は真黒
 (黒潰れ)となる事実を理解した上で画像を検証し、様々な角度から事故を検証、利害関係を超越
 した判断があれば、多くの人命・人生を犠牲にしたこの事故は起こり得なかった。

例2. 気象光学現象の知識がなく、120度幻日を地震に関連した雲と誤認した例
  本日の読売新聞の朝刊気流欄に掲載された、「わたしの目・・・奇妙な雲」の写真
 投稿者は恐らく、幻日環や120度幻日という気象光学現象を知らない。天候が下り坂にあるような
 高空に白雲がうっすらかかるような日にはアーク他、このような現象が見られやすい。飛行機雲もこの
 ような日には見られやすい。ただ、未知の現象を経験すると不吉な予兆として考えられたり、色鮮やか
 な環水平アークのように吉兆ととらえる方が多いのも事実で、一部の方はこれら現象を地震と関連づけ
 今回の写真もチリの大地震と関連付けているが根拠はない。

例3. STAP細胞のネイチャー誌投稿論文で使用された貼り付け合成画像他の例
実験や観察の記録として写真は大きな意味をもつ。その詳細をいくら文章で解説しても一枚の画像に
 勝る記述は至難の業。ところがデジタルカメラ時代の画像は加工も容易なため、オリジナル画像への
 加工はシャープネス(輪郭)強調や色彩の強弱を調整する彩度変更等オリジナル画像の価値を損失
 しない範囲にとどめるべきで、新たな色彩を加えたり、複数画像の合成などは一般認識として改ざん
 に相当し、写真コンテスト等でも重複入賞などと共にその有無が厳しく審査される。
  ところで、この論文の筆頭著者である小保方氏は、電気泳動結果の切り貼り合成画像は単純ミスと
 主張し、調査委の改ざん認定に不服を申し立てている。一連の画像はどのような目的で使用され、
 なぜ、論文中で問題の画像が使用されたかを考えると、氏が論文の結果に都合のよい画像に切り貼り
 転用した画像には悪意(意図的使用)があったと結論するのが常識。
 その後の調査でこの論文提出以前に米サイエンスへの論文投稿が同様の画像切り貼りを査読者から
 指摘され、受理されていない事実を考えると、共著者・関係者の責任も相当程度重いだろう。
 例えて言うならば電気泳動の結果は一度きりの、その時同じ泳動槽で扱った試料にのみ科学的に事実
 として認められる内容が起きるもので、同時に泳動された既知結果の判定できるコントロールを指標
 として判読される。言わばマラソンのように大会ごとにコンディションが違うのが当然なので新記録
 が採用されることなく最高記録と表現されるそのゴール記録画像をトラックの42.195kmでの
 ゴールから背景のみを切り取って貼り付けて、世界新記録として公表したに等しい行為である。
 氏が試薬の調製や機器の保守・コントロールを他人に任せていたとしても、都合のいいレーン結果の
 縮尺まで変更合成して使用したという行為はラボ業務を経験した者からは信じられないことです。
 幸か不幸か氏は画像改変に痕跡が残ること、その作業結果を巧妙にごまかす技術が存在しなかった
 ことで、内部あるいは外部の指摘から、その行為が白日のもとに晒される結果となった。
 マミジロキビタキを近所で見たという画像を見て、眉斑が白いだけでマミジロキビタキだと判断する
 人がいれば、それは今回のような改ざんを見逃す結果となる。眉斑の出方、三列風切の白色や脇腹の
 色味等、異なる部分は他にもあるからです。

他にも広角レンズの遠近誇張効果、望遠レンズの立ち上がり効果を利用したトリック画像等は日常的に
楽しまれていて、詰まるところ写真が真を写すか否かは使用する人の意思、見る人の意思に依存して
いる部分が大きい。

前置きがたいそう長くなってしまったが、個人で入手できず、図書館での貸し出しを待っていた近刊
の野鳥写真図鑑2冊が手元にあるので、その感想を・・・。
 まずは、今回の鳥類目録改訂で大幅に見直された部分の分類における解説や記載されている亜種が
外見から判別する手段があるか、あるならばどの点で識別できるかの説明が是非とも欲しいところだが
今のところ、どの図鑑にも鳥類目録改訂第7版と一般ユーザーを分類上結びつける使命を感じない。
鳥類目録が改訂されるたびに、また次はいつ改訂されるかわからない、これらの分類に意味もわからず
振り回されるばかりか、図鑑を更新しなければならないとしたら、有難味は薄い。

【決定版 日本の野鳥650 平凡社】

掲載写真の全てを真木広造氏が撮影、解説までを担当した図鑑も存在するが、客観的要素や専門性も
加味して初版では大西氏が、今回の新版では五百沢氏も参加した定番写真図鑑。
旧590では写真の完成度が高い半面、バリエーションや雌雄・齢差写真が少なかった。写真集では
ないので、今回の紙質変更で受けた写真光沢の不足は気にならないが、成鳥の雌雄以外にどのような
写真を掲載するかで、統一された基準で構成されているとは言えない部分もあり、資料性という面で
この版形を維持しつつ、多数の情報を盛り込むには限界のようなものも感じる。
しかしながら、野鳥写真図鑑としてのスタンダード性には揺るぎないものを感じ、付表や引用文献の
記載も充実している。

【鳥くんの比べて識別! 野鳥図鑑670 文一総合出版】

言わずと知れた、鳥業界の有名人=鳥くんが手がけた切りぬき並列(クロップ&アレンジ)スタイル
の野鳥図鑑。切り抜いて並べるスタイルは斬新なように感じるが、フィールドのための野鳥図鑑…
高木清和 山と渓谷社 が存在するし、鳥以外の図鑑にも既刊書が存在する。また、このスタイルで
掲載された雑誌Birder 2007年11月号に間違いが多かったことから、良い印象がない。
バンディング調査や識別で高名な山階の茂田氏が監修してはいるが、ほとんど著者の意向を尊重し、
種の誤判断でさえ、助言されていないことがうかがえる。 論文も図鑑も著者の判断次第で却下も
採用されれば、その逆もありうる。
 その解説スタイルやターゲットとする読者層を推定するに、既存の図鑑に満足できず、かといって
解説文を長々と読み込むことに抵抗のある、お気楽読者層…言わばマンガ世代に向けた識別モドキ本
といった感じ。モドキと表現したのは、なんか聞きかじりのええとこ情報や画像は満載だけれど本人
が勉強して得たオリジナルの識別情報や齢査定の方法はどこに書いてる?…そう思うとノリのいい
性格やパフォーマンスは感じるが、カモメ観察ノートの際に感じた用語の曖昧さに逃げ込んでいる 
面も感じられ、絶対的必要条件である例示画像に誤りがないという面で、無駄に画像が多いだけ。
こう書いているが、同じ鳥業界の方たちは概ね良好な書評を書いている。同じ業界人でありながら
徹底的に観察から真実にこだわる氏原氏は、誤りが多いことを指摘しているが、このような方がいる
ことは売れる本だけを量産し、真に読者が望む内容を軽んずる風潮を軌道修正している。

よく似た種の識別例
カワウとウミウが識別できるかは、わかっているという方でも大半は口角に尖りのある・なしと
答える。 正直、私自身はこの方法では完全に見分けができなかった。間近にいるカワウがカワウと
断言するに十分な自信を持てたのは3年ほど前、裸出部である黄色部分の上下対称性に着目してから
のことでした。野鳥の会古参のある方によれば、昔は川にいればカワウ、海にいればウミウとしていた
時代があり、その差を云々するようになったのは比較的最近のことと言う。
カワウの黄色裸出部は目の後方では見られず、下嘴側では大きく後方にせり出すため会合線ー口角の
ラインで折り返すと上下非対称です。一方ウミウのそれは目の後方にも見られ、下嘴側でも同程度に
せり出すため上下対称形です。下嘴の黄色部分は夏羽時黒味を帯びることがあり、この部分も黄色
と考慮して判断しなければなりません。そう考えると、かなりの距離があっても、カワウの個体差や
角度で口角に尖りがあっても、夏羽・冬羽、成鳥・幼鳥でも迷うことはなくなり、大阪南部にウミウが
少数ながら観察できることに自信が持てた。 この図鑑ではオーソドックスに尖りで説明している。
夏羽のヒメウには下嘴側に少しオレンジ色裸出部があります。一方、チシマウガラスの夏羽には上嘴側
目周囲に広い裸出部があり、嘴の形状や大きさ、観察場所と併せて判断すると迷いがなくなります。

シロチドリの亜種、ハシボソシロチドリ
この鳥くん図鑑では謎の多い亜種ハシボソシロチドリの画像が掲載され、襟の黒色帯が広く、嘴が長い
と説明されています。この解説に従えば以下の画像は亜種ハシボソシロチドリでよさそうですが、この
記述だけでそう判断できるのか疑問が残ります。

k-plover-front
ここ数日の画像から シロチドリ正面 胸の黒色首輪がほぼ繋がっている個体、大阪湾ではやや普通

k-plover-rside
シロチドリ右側面 雄夏羽後期

k-plover-lside
ハシボソシロチドリ左側面 かと判断できそうですが上2枚と同じ個体です。
姿勢によって変化する部分を判断の基準にする場合は他の相違点も併せて判断すべきです。


【カモの画像に見る誤判断】
既に氏原氏が指摘している不適切なカモ画像。興味がお有りの方は既にどの部分のことを指している
かはお分かりだと思う。内容詳細については明日にでも掲載してみよう。既に公表された正誤表には
学名のスペリングミスとかさして重要でない修正も含まれているが、肝心の画像間違いには触れては
いないようですから。

以下、5月11日に追記
オシドリ雄幼鳥(原文では雌雄記号+J)・・・オシドリエクリプス、胸の横線が少し残存している
オカヨシガモ雄エクリプス・・・オカヨシガモ雄幼鳥
オカヨシガモ雄・・・飛翔画像は成鳥でなく1wであるが、その表記はない
ヨシガモ雄エクリプス・・・雌非繁殖羽
ヨシガモ幼鳥・・・ヨシガモ雌1w移行中
アメリカヒドリ雌幼鳥・・・アメリカヒドリ雌成鳥
マガモ雄エクリプス・・・マガモ雄幼鳥
カルガモ雄・・・カルガモ雌成鳥、 雌雄2羽の画像説明に間違いはないので三列風切の見方に問題
ハシビロガモ幼鳥・・・ハシビロガモ雌非繁殖羽、背(肩羽)比べも雌成鳥の非繁殖羽・繁殖羽
オナガガモ雄サブエクリプス・・・雄幼羽から1w移行中、サブエクリプスをオナガガモに適用?
シマアジエクリプス・・・恐らく雄1w、飛翔画像で雌雄の雨覆の色の違いを表現したかった?
トモエガモ雄エクリプス・・・トモエガモ雌成鳥
トモエガモ雄サブエクリプス・・・トモエガモエクリプスから繁殖羽移行中
コガモ雄エクリプス・・・コガモ雌非繁殖羽
亜種コガモ幼鳥・・・コガモエクリプス
メジロガモ雄・・・メジロガモxアカハジロ雑種雄繁殖羽
メジロガモ雌・・・メジロガモ雌幼鳥
スズガモ雌の目先の白色範囲・・・個体差で説明するも画像は雄幼羽
スズガモ・コスズガモ「正面顔・嘴先」比べ・・・姿勢や個体差を無視しており無効な識別点
クビワキンクロ雄1w・・・2月に脇の白色部が出現していないことなどから、虹彩も含め雌?
アカハシハジロ雄成鳥・・・アカハシハジロ雄1w
アカハシハジロ雄未成鳥・・・アカハシハジロ雄幼羽から1w移行中
アカハシハジロ幼鳥・・・オカヨシガモ成鳥、アルバム時代からの典型的誤認
クロガモ雄成鳥非繁殖羽・・・摩耗した羽縁や褐色味が強く羽衣からは未成鳥
ヒメハジロ雌成鳥・・・ヒメハジロ雄幼羽から1w移行初期の可能性
ホオジロガモ雌1w・・・胸の白色範囲から推定雄幼羽から1w移行中
ミコアイサ雄1w・・・ミコアイサエクリプスから繁殖羽移行中
ウミアイサ雄1w・・・ウミアイサ雌と画像を入れ替えると正解、雌成鳥
カワアイサ雌成鳥・・・これも幼鳥と入れ替えると正解、カワアイサ雌1w

他にも用語の理解という点、幼鳥の意味やJ、immの使い分けに違和感のあるものが多かった
カモメ観察ノートで幼羽と表記される部分に幼鳥が使用されており、はっきりした定義のない
幼鳥を一部では幼羽幼鳥の意味で用い、あるときはそれ以外の意味で用いるなど知識整理不十分
と感じる部分がある。氏原氏とは何の連絡も取り合っていないし、氏の指摘は水面採餌ガモに
とどまっているが、カモ類に関しては気付く範囲で記した。なお、ツクシガモ雌の画像も成鳥で
なく、他のカモ類と繁殖羽及びその特徴が異なることには触れられていない。

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