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をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

ツリーを取り巻く諸問題と構造分類

過去にも何度かおことわりしているように、私自身単なる一消費者です。
したがって靴業界あるいはその周辺業者のように一般には知りえない
情報を入手する特別な手段は持ち合わせていません。

 ツリーの出処、つまりは製造国やメーカーについては既知の製造メーカー
及び信頼できるディーラー情報を元に製法の特徴、仕上げ、サイズ刻印の
位置や字体、包装箱にある情報などが推定上重要になります。
そのため、既存のツリーに関してはビンテージ品も含めて時期毎の特徴や
潮流変化等をよく記憶して、推測に矛盾が起きないようにしなければなりません。
その上で革靴を陰で支えるツリーの問題を考えます。

ツリーを取り巻く業界は2015年2月に大きな転換期を迎えました。
それは長くヨーロッパ引いては世界中のツリーシェアを巡って覇権争いを
してきた英国のダンケルマン、DASCOが同じくフランスのパーフェクタ、
こちらはLCA(ラ・コルドネリ・アングレーズ)のブランドでおなじみの仏
ツリーメーカーが共に仏 ALMA F.R.C傘下の企業となったことです。
それにともなって、国内の輸入総代理店も名古屋にあるル・ボウが
担当することとなったようです。シューメーカーはツリーを別売りとして
販売することが多いですが、仏 berlutiのようにツリー込みで販売して
いることもあります。そのberlutiが長く採用していたパーフェクタ製に
加えてDASCO製も採用しだしたようです。 DASCOについては同じく
英国製Spring Lineと共に後日詳しく取り上げるつもりです。
とは言え、ツリーに関しては私が名も知らぬまま消えていった工場や
その詳細が全く調べられないGilcoなども存在していて難しい。

【純正ツリー至上主義】

Alden オールデンに代表される純正ツリーが一部のラストと整合しないというのは
多くはないにしても、場合によってはよくあることです。
Aldenのモディファイドラストは靴裏から見ると弓なりにカーブしていて、円弧の
一部のように見えますが、ツリー挿入にあたって問題となるのは実はカーブした
形状ではなく、土踏まずの「えぐれ」です。他のシューズでは土踏まずのインソール
部分の幅が広めなのに対して、Aldenのそれでは狭くなっています。 この部分に
立体的に対応できない、つまりは土踏まずの「えぐれ」が十分に成形されていない
ツリーは不適合となるのです。加えて現在アメリカは自国でフルラスト・ツリーの
生産をしていません。それにも関わらず自国産業振興のためRochester社のハーフ
ラスト・ツリーを純正に指定しているのですから、それが問題。ハーフラスト・ツリーは
その構造上、省略された踵パーツが前足部の後方に位置することとなりますが、
そのアウトラインがフルラスト・ツリーほど滑らかに連続しないのが普通です。その
ため、前足部後端のカットが外形に響いてしまい、外側(小指側)の革を押し上げ
変形を招く場合があります。シュー・リペアのRESHが英Spring Lineにオーダーし
製品化しているツリーもありますが、上記の事柄が念頭にあれば、既存のツリー
でも改造品でもモディファイドラストに使用可能です。

上で取り上げたツリー業界の大再編の結果と思われる事例も紹介しましょう。
仏 berlutは従来PERFECTA製ツリーを純正ツリーとして採用してきました。多くの
シューメーカーがツリーを別売りとしているのに対して、berlutiは基本ツリー込み
での販売です。したがってツリー本体の単価は中古相場が基本となるのですが、
JOHN LOBBの純正ツリー同様1~2万円で取引される高級ツリーです。因みに
JOHN LOBBではPRESTIGE LINEのみが靴にツリーが付属する販売法。

berluti-dasco1

berluti-dasco2

berluti-dasco3
3枚の写真にある緑色のツリーとカーキ色(茶色に見えますが)は英Dunkelman製の
同一ツリーです、Product Codeはともに685、緑色のツリーはユニオン・ワークスが
数量限定で販売しているライム材を使用したサイズ6の製品に自分で着色・ニスがけ
をしたものです。berlutiはサイズ7。 このように有名ブランドのタグやプレートがある
というだけで2~3倍もの価格になるのですから、無条件での純正ツリー信奉はバカ
げているとしか言いようがありません。 ま、このツリーの場合、berlutiはブラック・
クローム メッキの金属チューブ、ユニオン・ワークスは単にクローム メッキチューブ
という違いはありますが。


【ツリー挿入のタイミング】

この問題は長く議論されていて、最近はどちらでもいいというような書き方がされている
ようだ。私自身は一日中同じ革靴を長時間履くわけではないので、帰宅したらすぐに
ツリーを挿入する派です。営業職で一日中歩き回るような方は、そもそも最近増えて?
いる蒸れずに靴内の換気が行えるスニーカータイプの革靴がベストではないかと思う
上に、体温が逃げていく、湿気が急激に抜けていく際に革の変形が影響されると考えて
いて、気候条件的に高温多湿となりやすい日本でも、カビないような周囲環境を整えた
上で即挿入がベストだと感じている。 そもそも、最近のツリーは吸湿条件の向上とかを
前面に打ち出して無塗装なことが多い。しかし吸湿吸水では分子の大きさがまるで違う。
ツリーに求められるのは吸湿であって、水滴を垂らしてどちらが先に水を吸ったかという
吸水ではない。吸湿に関しては通常の塗装程度では大した差は出ないし、塗装工程という
一大工程を省いたツリーが同額で販売されるのには、納得がいかない。 また無塗装の
木材表面は吸湿により次第に荒れてくる。このような状態のツリーの抜き差しを繰り返す
のは靴内部をサンドペーパーでやすり掛けをしているようなものだ。 塗装によりこの様な
劣化が防止できるだけでなく、摩擦低減、表面保護効果によるツリーの延命、防汚効果が
期待できる。


【ツリー販売時の商品説明】

ツリーの必要性を認識している方は多い。かといって、どのようなツリーをどのくらい
準備すればよいのかといった、基本的な知識が備わっている方は少ない。中国製の
安価なツリーと一流ブランドの高価格品が外観上大して違わないように見えてしまう
のだから、ある意味しょうがない。安価な中国製品は品質管理が不十分な上に踵の
成形に問題のあるものが多い。一部製品には素材である角材の平面部分が残存し
てしまっているほどです。にもかかわらず、国内大手の靴用品メーカーやブランドの
多くが中国製ツリーを純正ツリーや主力としてラインアップするのはコスト面が大きい
のだと考えている。
 ツリーにどのような木材が使用されているのか?大抵の場合、そのこと自体は問題
にならないのだが、セレクトショップのバイヤーなり広報担当が誤った先入観を抱いて
いることもあり、アロマティックシダーこそが究極の最良木材だとの思い込みから、
ブナ素材を殺菌・消臭に優れた最高の素材ですと紹介したり、ドイツで誕生した普遍
的ラストを英国唯一のラストメーカーが企画したと解説したりします。このような誤解に
ついては個人的にカスタマーサポートに連絡したりもしますが、大抵は無視です。
アロマティックシダーの誇大広告についてはアメリカがその販路を拡大するために、
選択した言わば国家戦略の一環で、ツリー素材としての評価に関しては英国の靴系
サイトで大ウソだと紹介されたほどです。大抵の靴用品取り扱い業者にとって、素材
が何でできているかは大した関心事でないらしく、誤った解説がなされていることは
かなり多いものです。 次に紹介する英国Spring Line製のシューツリー、コロンブス
Boot Black COLLECTIONS SHOE TREEもそのようなツリーのひとつです。
boot-black

birdseye-maple
Boot Black COLLECTIONS SHOE TREEの左足爪先甲部のアップ
カエデ特有の木目とバーズアイと呼ばれる鳥眼杢が見える

通販のAmazonでは見た目の暗褐色の印象からかウオールナット製であると説明
され、販売元のコロンブスではブナ製、ディーラーである銀座大賀靴工房でもブナ製
だと表記していますが、実はこれカエデ(メープル)製です。 発売当初は販売促進の
ため70%オフで販売されたこともあり、定価は2万円を超す製品だけに全体的な
製品の仕上げ、商品販売の戦略にはもう一考欲しいところ。


【ツリーのサイズについて】

最近のツリーは大きさの表示が日本サイズ(cm)、英国サイズ(UK)、ヨーロッパサイズ
(EU)と表記方法の違いはあれど、長さに対する表示のみで幅の変化に対応する表記
がなされていないのが実情です。    むろん、Edward Green や John Lobbなどの
ようにC/DやDまたはE EEといったバリエーションも一部存在します。 靴のサイズ表記
に従い、FやGといった表記のものもありますが、かつてのツリーはサイズ表記に長さと
幅が併記されている、または対応表が存在したものです。ツリーのサイズ表示は大抵
英国サイズ(UK)の6や7、ハーフサイズは6½や65、ヨーロッパサイズ(EU)で40や41
との刻印が爪先部の甲側や裏側、また前足部後端付近にあるのが普通です。残念
ながら日本サイズ(cm)表記のツリーはまれで、PERFECTAの楕円刻印時代の幅広の
ツリーは仏製でありながら日本サイズ(cm)表記でした。もっともその通りの靴には適合
しませんでしたが・・・。

A. 靴サイズの表記に従う
B. 自社のサイズ適合表のナンバーに準ずる
といった大まかな2通りの表記がありますが、これにアメリカサイズ(US)などの換算を
必要とする場合があるので、表記方法の理解は重要です。
一般に表記通りのツリーが用意できない場合には1サイズダウンのツリーを使用する
ことが推奨されますが、PERFECTA(ラ コルドヌリ アングレーズ)やR&Dのサルト
レカミエ製品では表記より小さい目のものも多く1サイズアップも十分視野内です。

スプリット・トゥの製品、サイドスプリットやセンター・スプリットのツリーは幅に対する
適応性に優れるため、少々幅広の足の方にも最適ですといったうたい文句が存在
するが、センター・スプリットはともかくサイドスプリット製品はあくまでもお飾り的な
要素が強く、バネの力で十分に横幅の成形に寄与しているとは思えない。


【ツリーの表面処理について】

1.無塗装
2.ニス掛け
3.ワックス磨き

以上が最近のツリーに見られる表面処理の方法ですが、私は上述のように無塗装の
ツリーは半製品だとの考えでおります。ニス掛けとしたものの中にはラッカー処理した
製品も含むため、水性ステインで着色後ニス掛けしたものワックス磨きしたもの、更に
不透明ラッカーで着色塗装した製品もあります。素材欄で紹介したBoot Blackツリー
に関しても水性ステインでブラックウオールナット色に着色後ワックス処理したと思え
ますが、踵パーツのフック部分内側のワックス処理がいい加減で見すぼらしい。

emb551
仏 ラ コルドヌリ アングレーズのEMB551 サイズ7ですがサイズ6の靴に使用して
も小さめ。表面ワックス処理。製品コードのEMはフランス語のシューツリー相当語の略。
なぜこの製品だけEMのあとにBがつくのかル・ボウに質問したが答えてもらえず。多分
BritishのBなんだろうと思う。

dasco-albany
英 DASCOのアルバニー・ローズウッド サイズ6で6サイズの靴にジャストです。
ローズ・ウッドという名前ですがローズウッド調というだけでライム材を使用しています。
カルナバワックスによるポリッシュがなされています。

uworks-alban
ユニオン・ワークスがDASCOから取り寄せた無塗装ライム材のUK LIME Shoe Treesの
サイズ6にビンテージ・オーク色の水性ステイン着色、前足部に通気孔を貫通させ蜜蝋・
カルナバワックスの混合ロウを湯煎で溶解均等に加温塗布後磨き上げたもの。

bhtree-boots
一時期セール用に大量に出回った中国製の安価なブナ材ツリーをブーツツリーに
改造した上で上記ツリーと同様のワックス・ポリッシュを施したもの。素材サイズは
41でしたがヨーロピアンモデル適合のサイズ6として制作した。

総じてワックス仕上げは上品な光沢で落ち着きがあり、木材表面の質感を維持しつつ
ツリーを靴墨などから保護する機能をもつ。John Lobb Londonなどの高級ツリーにも
採用されていることからツリーの表面保護と美観維持には向いた処理だと感じます。

ツリーの構成構造による分類

1.シングル・ピース
2.ダブル・ピース
3.トリプル・ピース

おおまかにこの3タイプに分類できますが、シングル・ピース、ダブル・ピースはまれです。
中には蝶番で前後パーツをつないでいるものを2ピースとする方もいますが、蝶番も
立派なピースのひとつですから、私は3ピースに分類しています。
1.シングル・ピースにはDALEE'S&COがスタックマン・コードバンの専用シューツリーと
してその製品購入者のみに販売しているカエデ製の一体ツリーがあります。上から見ると
前足部分は靴型通りですが中ほどから踵にかけてはハーフラスト・ツリーのように省略
されて一体成型でありながら、挿入に支障がないような設計がなされています。

2.ダブル・ピースにはGuild of craftsの2ピース シューツリーがあって3ピースリアルフル
ラストツリーの接続(くさび)パーツと踵パーツを合体させたような構造です。

3.トリプル・ピースとは一般的なツリー全部がこの範疇に入りますが、3ピース・ツリーや
3ブロック・ツリーという呼び方で靴型の形状そのものをツリーにしたような高級ツリーを
このような呼び方で呼ぶ場合もあります。
この範疇のツリーは更に
 A. LASTED TREES (フルラスト・ツリー)、リアルフルラストとフルラストに2分
 B. HALF LASTED TREES(GENERIC TREES)
に二分することが可能で、両者は更にオタマジャクシ型、バネ型、ネジ型といった構成要素に
よる分類がなされたりします。他にクリックストップ型、ツイスト・バック型などもあります。
リアルフルラストとは私が便宜上呼び分けている靴型そのもののタイプのツリーです。

42nd-in
リアルフルラスト 42nd royal highlandの西洋シデ材の3ブロックツリー
サルトレカミエのフラッグシップツリーや大塚製靴M-5用ツリー同様中田ラスト製だと
考えられます。

42nd-ou

shetlandfox
リーガルのshetland fox ケンジントンシリーズ用3ブロック リアルフルラスト
ゴムの木集成材製 サイズ8をサイズダウン改造 現行ケンジントンⅡ用は
ひもの色が焦げ茶色。

hartmann-ful
HARTMANN製 1183 リアルフルラストシングルチューブ ポプラ材

santon
サントーニ ブナ材製リアルフルラストシングルチューブ メーカー?

self-made
DASCO ハーフラストツリー EXECUTIVEの自作改造リアルフルラストシングルチューブ

eandr-sidesplit
HARTMANN製イード&レヴェンスクロフト DIPLOMAT ポプラ材フルラストツリー
サイドスプリットの通気孔なしの仕様が特徴のバネ式ツリー

frankbros-clickstop
米国ヴィンテージ フランクブラザーズ製 クリックストップフルラストツリー
踵部のレバーを押すと自在にスライドし適当な位置で離すとロックされる仕組み

rochester-twistback
米国Rochester製ツイストバックフルラストツリー 踵部を捻って長さを調節する

springline-hinged
ユニオン・ワークスのVintage Shoe Treesの7サイズを通常爪先タイプの6サイズに
修正再塗装したもの。Spring Line製でブナ材と考えられるが固定蝶番のため長さ
調節はできない。独特のロングラストのため売れ行きがイマイチなのかペン立てに?
英国サイトでもDASCO PREMIUMツリーとして3千円ほどで販売されている。

burneys-gilco
Gilco製シューツリー2 バーニーズニューヨーク版 ゴムの木
長さ可変蝶番によるフルラストツリー 一般的にはこれをネジ式と呼んでいる

bally-twisyback
珍しい全木製のツイストバック式ハーフラストツリー バリー版 メーカー不明
ブナ材を使用している

dasco-travel
DASCOのTRAVEL ばね式ハーフラストツリー 前足部はブナ材

half-aromacidar
コロニル製アロマティックシダーハーフラストツリー フックバックタイプ

half-stick
Woodlore アロマティックシダー材の棒状踵のハーフラストツリー

mizuno-gilco
Gilco 中折れ式クリックストップハーフラストシューツリー ミズノ版
踵用材に優勝カップ印が見える

gilco-adjustable
Gilco アジャスタブルシューキーパー カバ材製
長年国産で製作され人気を博したGilcoツリーも中国製となり素材もブナ材から
カバ材に変更となりブランドロゴも筆記体からゴシック体に変わった。踵部の
エッジを丸める作業が省略されており、ヒールカップの変形が危惧される。

gilco-spring
最後にGilcoのオタマジャクシ型ツリー。過去にバネ棒式ツリーと呼んでいましたが、
一部の方が金属チューブとコイルスプリングを組み合わせたツリーをバネ式と呼ぶ
のでオタマジャクシ型ツリーとしました。引きばねを利用していますが、使用条件に
よっては簡易式ではなく、適正なサイズのツリーを選択すれば十分用が果たせます。
これは木材部分がカエデ製です。

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ツリーとその仲間

母の認知症進行で日々の生活が振り回され長く更新が滞りました。
カモの季節が始まったというのに、シマアジすら観察していません。

在宅のままできるのは、ツリー、ここではシューツリーのことですが、
ネットオークションで気になるツリーを入手したり、それらを改造する、
新たに自分でデザインしたツリーを作るなどに限定されます。

 ツリーと混同されたりして目的が異なる他の器具をここでは紹介し、
その役割と使用法の違いについて触れたいと思います。

【 LAST― 靴型・靴木型 】
※ 明瞭な左右の違いがあります

製靴、つまりは靴製造時に使用される足形をした元型をいいます。既製品も
オーダー品もこの靴型を使用しますが、既製品は市販のベーシック・ラストを
使用するのに対し、オーダー品は顧客の足形計測値を元に削り出したり、
ラフターンと呼ばれる木型の半完成品を顧客の足形に沿うよう最終成形し、
靴を完成させたり、市販のベーシック・ラストにパテや皮革を盛って修正して
使用したりと、一概にオーダーとは言ってもパターン・オーダーからメイド・
トゥ・オーダー(MTO)、仮縫いなしのもの、2度の仮縫いを経て完成するもの
など様々です。靴木型はかつては殆どが木製でしたが、現在では用途に応じ
プラスチック製やアルミ合金製のものも多く使われています。

神戸市長田区のようなケミカルシューズ(合成皮革シューズ)生産地では、
製造に有機溶剤を使用した接着剤を用いることも多く、金属製の靴型は
溶剤に侵されず、また汚れも除去しやすいという利点があります。

plastic-last
プラスチック製ラスト ややロングノーズなコンテンポラリータイプ

製品名 /Model name: 不明1545 /unknown 1545
発売ブランド /Brand name: 不明/unknown 
サイズ /Size: 24.5cm
製造国 /Product country: 国産 /Japan
製造所 /Maker: 不明/unknown 
素材  /Material: プラスチック /Plastic
製品タイプ /Type: 中折れ /Center fold
爪先形 /Toe shape: チゼル /Semi square


wooden-last1
木製ラスト 上と同じくややロングノーズなコンテンポラリータイプ

製品名 /Model name: 不明 /unknown
発売ブランド /Brand name: 不明/unknown
サイズ /Size: 24.5cm
製造国 /Product country: 国産 /Japan
製造所 /Maker: 不明/unknown 
素材  /Material: 木製カバ属おそらくアサダ /Birch ssp.
製品タイプ /Type: 甲部取り外し /Removable vamp
爪先形 /Toe shape: チゼル /Semi square

wooden-last2
甲部を取り外した状態

このようにラスト(LAST)はシューツリーほど頻繁に着脱を繰り返すものではないが、
靴の製造が終了した時点で製品から抜き去る必要があるための工夫がなされて
おり、着脱の利便性はツリーには及ばない。 また、ツリーと製靴ラストには密接な
関係があって、爪先形状ほかサイズや形状が極力近似していることが望ましい。

【 Stretcher ―伸長器 】
※ 普通左右の違いはありません
現在国内で一般消費者向けに市販されているものは、左右の別がなく形状も
左右対称です。したがって左右同時に靴伸ばしをしたい場合には2台必要です。
業務用やビンテージ品には左右別の製品もあります。

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コロンブス シューストレッチャー

製品名 /Model name: SHOE STRETCHER
発売ブランド /Brand name: COLUMBUS
サイズ /Size: Men's S
製造国 /Product country: イタリア /Italy
製造所 /Maker: 不明 /unknown
素材  /Material: ブナ /European beech
製品タイプ /Type: 靴の幅出し / Width spread

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この画像後方が蝶番で固定されていて左右には開くようになっている。
木製部分の両側に刻まれた溝に沿ってクサビが移動して先端部を開閉する構造。

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2ウェイシューストレッチャー

製品名 /Model name: 2way shoe stretcher
発売ブランド /Brand name: DASCO
サイズ /Size: Men's S
製造国 /Product country: イギリス /England
製造所 /Maker: DASCO
素材  /Material: プラスチック /Plastic
製品タイプ /Type: 靴の幅出しと長さ伸ばし /Width & length spread

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中心にあるループのついた金属部を捻ると幅の調節が、踵後方の
プラスチック・ダイヤルによって長さが調節できる。(2軸同軸構造)

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自作甲高ストレッチャー

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奥には完成した右足ストレッチャー、手前にネジ部品、蝶番、サイズ調節アルミ
チューブ、木製粗材。左右独立タイプで踵部分を付加したことで力が後方に逃げ
るのを防いでいる。甲部ストレッチ方式はR&D製品と同タイプ。
M8長さ100mmのボルトは全ネジ(側面全面にネジが切ってある)のため接触
する可能性のあるベロ(シュータン)を傷つける可能性からプラスチック・パイプ
でカバーしている。このタイプのストレッチャーはベロ部分でネジが干渉する弱点
があるため上下に溝を切ってクサビを移動する後方ネジ方式の方がスマート。

製品名 /Model name: Vamp height stretcher
発売ブランド /Brand name: Self made
サイズ /Size: Men's S-M
製造国 /Product country: Japan
製造所 /Maker: Self made
素材  /Material: 1ナラ集成材 /Laminated japanese oak (vamp)
2ヨーロッパブナ /.European beech (forefoot base)
3.カバ集成材 /Laminated birch (heel)
製品タイプ /Type: 左右独立甲高さ伸ばし /a pair of vamp height stretcher

既製品の靴は表示サイズが同じでもブランドによって大きさが違ったり、
長さに問題がなくとも幅が足りなかったり、またその逆だったりとピッタリの
靴を見つけるのに苦労したりします。そのため、ブランド特有のデザインや
一度優秀だと感じたラストは記憶にとどめておくのも手です。 ただどうにも
サイズが合わない場合はストレッチャーを利用したり、濡らした靴に足入れ
したり、徐々に大きなツリーを入れていく、靴の中に水を入れたビニール袋
や風船を挿入後凍結させて体積変化から伸長する方法、逆に加熱して形状
保持させる方法など、いろんなものがありますが、どれも皮革に負担のかか
る行為ですので、慎重に実施すべきでしょう。

ツリーと混同される危険はないですが、足にタコができていたりして部分的に
痛みがあるような場合、次のようなペンチ型の器具もあります。

point-stretcher
ポイント・ストレッチャー  伸ばしたい部分を局所的に球部で挟んで革を
伸ばすことができます。

次回は誤解の多いツリーそのものを構造や素材から分類して、ツリーの
あるべき姿に言及しようかと思います。

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ブーツツリー 1

これまでにも市販短靴用ツリーをベースにブーツツリーを自作してきた。
しかし、それらは市販ブーツツリーの形状を踏まえず独自の外観をもつもので
あった。今回は一般に定評がありながら比較的安価な短靴用ツリーをベースに
オーソドックスな正統形ブーツツリーへと改造した。

 ここ最近母の判断力低下や体力低下からくる障害の危険性回避や更なる
症状悪化回避のためあまり外出できず家にいることが多い。それほど間近に
いても夕食の炊飯を真昼に終わらせたり、数日分の食材を一気に出汁も使わず
醤油で煮込んでしまったりと自分の役割誤解が甚だしい。なかなか鳥見にも
出られない中で自分を取り戻せる方法・・・それがシューツリーの改造や自作
につながっているというわけです。読書したり、絵を描いたり、ものを作ったり
すると作業に没頭できるので、自分を取り戻せる気がします。 ここ最近は
パソコンが旧式になりハードディスク不調でブログ更新もストレス大です。

【ツリーの使用材 1・・・ バーチ】
私は靴業界の人間でもなければ、その筋の専門家でもないのでツリーひいては
その材料である木材の知識も一般消費者、素人と同程度です。そのためここで
記す木材の記述はなるべく下記の書籍・サイトに基づき記載します。

A.増補改訂 原色木材大事典185種 村山忠親 著  村山元春 監修
                                      誠文堂新光社
B.原色 木材加工面がわかる樹種事典 河村寿昌/西川栄明 著 
                          小泉章夫 監修  誠文堂新光社
C.木材博物館
                          http://www.wood-museum.net/

バーチとは Betulaベツラ、カバノキ科カバノキ属の総称である。
ただし、中国製ツリーに関しては材料木がほぼシラカバに限定されるようで、
狭義には安価で従来用途の限られた素材としてのみ使用されてきたシラカバ
を指すと言える。近年乾燥技術の向上とともに材の価値が見直されつつある。
R&Dが展開するツリーブランド、サルトレカミエでもビーチ、レッドシダーに
次ぐ最も安価な材として取り扱われてはいるが、バーチ全体の価値から見れば
むしろビーチやメープルの高級材に匹敵する素性をもったものも少なくない。

樹木名:シラカンバ シラカバ、白樺 学名: Betula platyphylla
材としてよりは立木の美しさやその樹皮を利用した細工物で知られたシラカバ
であるが、ピスフレック(pith fleck、髄斑)と呼ばれる褐色系の斑点や筋が入る
特徴があり、クリーム色がかった白色でカバ類では柔らかい部類。寿命が短く
大径木が得られないため我国では従来材としての価値は高くなかった。
中部以北の高地や北海道に分布、中国、朝鮮半島、シベリアに産する。
中国製ツリーの多くは日本産変種ではなく基変種コウアンシラカンバもしくは
その近縁種か同属別種材を用いていると推測される。 アイスの棒やへら、
樹液からはキシリトールがつくられたりもする。
比重は0.58   硬さは4下 

他に ホワイトバーチ White Birch,Yellow Birch
学名: Betula alleghaniensis 
比重 0.70 硬さは5上 が北米に産し一部米国産ツリーに使用される。
こちらもシラカバ同様カバ類では珍しく白っぽく、シラカバ材より更に全体が白く
見える傾向が強い。ただし米国産カバ類は他にも存在するのでここで掲載したツリーに
ホワイトバーチが使用されているかの確証はない。写真は米国産棒状踵パーツのついた
ハーフラストツリーの前足部を自身で付け替え、着色ニス塗装を施したもの。縮れ杢が明瞭。
過去に「ウルトラ級変身」で紹介済みのツリーは前足部がレッドシダー製であったが、
ホワイトバーチを前足部に使用したバージョンも同時に作製した。
そのツリーにローズウッド調着色を実施した上で水性ウレタンニス塗装したものがこれ。
white-birch-trees
以前紹介した前足部がレッドシダー製のものはリーガルの2000年頃の製品カタログに
実際に掲載され、実在していたことが判明しました。ただし推定Mサイズの1サイズのみ
でしたのでSサイズ対応ツリーはやはり自作するしかないようです。

white-birch-grain
縮み杢が出た部分の拡大。他の広葉樹木材でも樹種によっては比較的見られる。
量産ツリーでは一木からの削り出しではなく、集成材を使用したり寸足らず箇所に
継ぎ足しが見られることがある。また節部分は美観を損ねるだけでなく、強度が
低下するためくり抜いた上で埋め木処理されることが多い。このツリーでも杢の
部分は幅足しされたものであることがわかる。

他に国産カバ類として

マカンバ、ウダイカンバ 真樺、鵜松明樺
Betula maximowicziana 比重0.50~0.78 硬さ7上

ダケカンバ、ソウシカンバ、オノオレカンバ 岳樺、草紙樺、斧折樺 
Betula ermanii  比重0.65 硬さ6
カバノキ科カバノキ属のうちマカバ、シラカバ、ミズメ等を除いた
主にダケカンバ材をザツカバと称して流通することがある。

ミズメ ヨグソミネバリ、アズサ 水目
Betula grossa 比重0.60~0.84 硬さ7
カバノキ科カバノキ属でありながらミズメザクラなどと呼ばれ
サクラ材として流通していることがある。材色や雰囲気がサクラ
(ヤマザクラ)に似ていることもあるが、木材業界ではカバ類を
サクラと呼んで流通させていることが多い。

以上のような材が国内の家具等に利用されてはいるが、これらの
材を用いたツリーが存在するか否かは不明。

アサダ 浅田  カバノキ科アサダ属
Ostrya japonica 比重0.64~0.87 硬さ5上
靴木型に重用されたが、木型がプラスチック製に移行したこと
産出量が少ないため流通量は限られる。木型に釘の打ち付け
を繰り返しても釘抜けを起こしにくい。

アルダー   外国産ハンノキの仲間 
Alnus rubrai 比重0.45~0.53 硬さ4上
ハンガリーのシューメーカーVASS の純正ツリーで知られる東欧製ツリー
最近外国のサイトで知るまではマカバかザツカバ製と考えていたものが
実はアルダー材で作られていることが判明した。VASSやボノーラ(伊)、
他東欧のツリーを供給しているが、ファクトリー名・生産国は不明。
一般的に地色がそのままのツリーに踵上部につく球形引き抜き具が
目印だが赤色光沢塗装を施されたものも存在する様子。

trees-vass
VASSのぽってりしたラスト。スタイリッシュなヨーロピアンラストを見る機会が
多いが一般用途の靴にはこちらのツリーがよく合う。サイズ42V改 40

trees-vass-lookdown
下の雑誌は全戸配布された広告雑誌なのでツリーとは無関係

杢について触れたので、有名な杢の出たツリーをもう一点
lca-maple-tree
フランス製 LCA(コルドヌリ・アングレーズ、パーフェクタ製)のEM-300通気孔なしと
推定されるサイドスプリット、フックバックタイプのツリーだが珍しくカエデ材を使用。
入手前の写真でカーリーがカエデのようなブナだなと思って、実物を見てみると・・・
カーリー(縮み杢)メープルでした。バイオリン等の弦楽器裏板や装飾板に珍重される
材です。

maple-grain-bounce
上の画像の踵部分、クリップオンストロボ天井バウンス撮影
杢の部分は鳥や蝶の構造色同様光の角度や光線状態の影響を強く受ける
フラットな面的光源だと表面の質感再現には優れるが杢の模様が目立たない

maple-grain-direct
同じ踵部分、クリップオンストロボダイレクト発光撮影
光輝部が白飛びして強い影が出ているが、縞模様の杢はキラキラ明瞭
晴天下自然光で角度を変えて見ればもっと明瞭に見える場合もある

さて、やっと本題のブーツツリー改造
ベースツリーに選んだのは、 キングヤード ツインチューブ サイズ41を
改造しサイズ39-40のブーツツリーを作製。
中古なら1000円から4000円、新品でも4000円から6500円ほどで
流通しているものを輸入元の荒川産業のB級品通販で入手。送料を
含めて3780円。B級品との理由は甲の終端部に欠けがあるとのこと
だったが、それ以外の不具合満載のツリーでしたので高い買い物でした。
ベースツリーはスコッチグレイン(ヒロカワ製靴)やクインクラシコが純正の
ツリーとして採用しているほか、サルトレカミエを展開するR&DがSR-100
バーチとした同所製造のコルドヌリタイプと思われるツリーをバーニーズ
ニューヨーク、ユナイテッドアローズ等が採用している。

trees-birch-boottype
上がキングヤード ツインチューブ 下がほぼブーツツリー化した改造ツリー

trees-birch-additional
改造ブーツツリーの製作途中を上面から撮影(右足)

ベースとしたこのツリーですが、届いて状態を確認してビックリ!
サイドスプリットのパーツ(左足)が作動確認した瞬間にバネが飛び出して分離。
trees-birch-coils
ツリー前足部の各右側にあるのが内蔵のコイルスプリングと木ネジですが
左足のものは本体伸縮用の別バネが使用され、ネジ先端が2mmほど欠損しており
おまけにネジ挿入固定部分の穴が深すぎてネジが引っ掛かる木材部の厚みが1mm
ほどしかなくなっています。交換を申し出るにはやっかいなので自分で修正することに
して深すぎる穴を丸棒で埋め、コイルバネを同径の市販品やや短いものに変更。

trees-birch-metalknob
踵パーツを引き抜くための金属ノブですがネジ穴が斜めに開けられており密着不良
自分で木材冶具を作成ネジ穴を垂直に開け直して修正し、タップで新たにネジ切りした

踵パーツと前足パーツを金属チューブに連結固定する金属ピンに長さ不足
trees-birch-setpins
右足ツリーの固定ピンは左上部に写っている通り10mmほどの長さが足りず
その不良金属ピン使用が発覚しないよう通常は外側(小指側)から打ち込まれる
ピンが内側から打ち込まれており、前足と踵の固定ピンは逆方向から打ち込まれ
サイドスプリット同様時限爆弾のように分解しかねない状況でした。
そのため長さの足りないピンを写真アルバムの止めピンと継ぎ足しピンで自作
入れ替えしました。
中国製ツリーの金具及びその取り付けには不具合の多いものを多々見かけますが
これほどヒドイのは初めて遭遇しました。

trees-birch-lookdown
ほぼ改造の終わったブーツツリー
追加材はフィンガー・ジョイント式のバーチ集成材、数百円で入手したものです
塗装は水性ステインのすみれ色を一旦薄く塗り大半をメラミンスポンジで拭き
取りすみれ色が完全には消えないようオーク色に塗装。仕上げに水性ウレタン
ニスを薄く塗ってみた。サテン生地のような印象を受けるパープルシャドー的
塗色となった。右足は踵部先端のカットを誤ったため継ぎ接ぎになってしまった。

trees-birch-purple
この側面画像のほうがパープルを感じるだろうか
2月に作製したので地面にゴロゴロと這いつくばるように開花するアオイスミレを
イメージした。新たに追加した部材との接合部には未塗装時点でおがくずと澱粉
のりを混ぜたパテで埋めたのだが水性着色時に溶けてかえって目立つ結果に。
つづきで実際に靴に装着した場合のフィッティング確認画像へ

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シューツリーの魅力

カモ記事や他の記事も書きかけで考えがまとまらなかったり、説明イラストが不十分だったり
この時期の鳥観察頻度と相まって更新が進まない。

 そこで、かねてから靴のメンテナンスやシューツリー改造記事を取り扱っていることから、
少ない知識ながらツリー(ここではシューツリー、シューキーパー、シューシェイパーなどと
呼ばれている製品を以後、ツリーと呼びます。)について個人的興味の内容を取り扱って
いこうと考えています。
靴、特に革靴は日本国内に普及してたかだか1世紀そこそこの歴史しかありませんが、
熱狂的な靴マニアから伝説的職人さん、蘊蓄のかたまりのようなお方・・・などなど多数の
ファンがいらっしゃいますが、その脇役として重要な役割を果たすツリーに関してはまだまだ
基本的な知識が浸透していない、靴に入れさえすればいいと考えている方が多いのでは
ないだろうか。靴店や靴修理店、それにセレクトショップの商品解説を見ていると多くの場合
素材木の説明や使用目的、機能に誤解のあるサイトが見つかる。
 私のツリー歴もごく浅いものだし、靴にまつわる解説本等で少し触れられる程度の知識では
実際の使用における印象や製品ごとの評価も把握しにくいのが現状で一部のクチコミ情報が
販促に利用されているだけで実体とかけ離れているということもあるようだ。

 初めての出合い 】
成人式でスーツや晴れ着を着るのは当たり前のことだろうが、成人式を迎えたときにはスーツも
革靴も持っていなくて、普段着にスニーカーといったスタイルで臨んだのを覚えています。社会人
になっても営業職ではなかったのできちんとしたスーツや革靴を着用するようになったのは30歳
頃からではなかったでしょうか。そんなわけでファッションについて、靴の選び方や手入れの仕方
を誰に教わったというのではなく自分が必要に応じて身につけていった感じです。初めてツリーを
購入したのもリーガルのお店で「ツリーって必要ですか?」と尋ねて購入し、しばらくはネジ式での
長さ調節機構があるのを知らず、やや緩めに靴に装着していたのを思い出します。

 種類と素材、バリエーション 】
歴史的に見てみるとヨーロッパでも初期のツリーは長さや幅を調節できるものはなく、すべて手に
よって削り出された手の込んだものが多い。20世紀中頃からネジ調節式やスプリング伸縮式の
ツリーが出現し、それらの機構は現在も引き継がれている。以前にも触れたが、引きバネを使用
したオタマジャクシ形の簡易式ツリーや製靴ラストをそのまま保存用ツリーに模したフルラスト型
ツリー、主に踵部分のパーツを簡略化したハーフラスト型ツリーが存在するが中には木製2分割
タイプのものもあって区分が明瞭でないものも存在する。ツリーメーカーは自国だけでなく外国に
工場を持つ場合もあって、昨今は中国製ツリーが大量に出回っていることからも、外観からだけ
ではなかなかにその技術力や信頼性を把握することが困難となっている。 
 一方で過去にはサイズだけでなく幅やラストタイプまで選択肢のあったツリーが大量生産から
汎用性に重点が置かれ、平均的な足型を外れた靴の持ち主には選択肢が極めて限られている
実体は放置されているようにも思え、ツリーが本来持つ靴型の保持という観点からは、これらの
規格外靴所有者こそ考慮されるべき対象者とも判断される。
 素材もツリー(木、木製)とはいえ鉄やアルミ合金、プラスチックや革製等さまざまな素材が用い
られ、素材木も伝統的にビーチ(ぶな)、メープル(かえで)、ポプラ、ライム(しな近縁)、シダー
(すぎ)、レッドシダー(米すぎ)、バーチ(かば)などの他ウォルナット(くるみ)やホーンビーム(しで)
なども使われるし、けやき、かし、しなみざくら等の製品もあります。使用材によって価格差があり
ますが、実際の機能は価格差ほどはないことが殆どです。

異なる樹種・木材からつくられたツリー 】
ツリーの多くは靴木型製造工場が自社ブランド品として、また靴製造メーカーの依頼を受けて
製造された商品が多く、ラストやつま先形状や時代の流行を取り入れて生産されているが、同じ
タイプのツリーの素材を別素材で製造する技術も工場は併せ持つため、異なる木材を用いて
ツリーがつくられることもある。ただ、使用木材によって価格が異なることはあっても機能に関して
大きく差があることは殆どなく、入手の希少性や重さなどがやや異なるぐらいで吸湿性等のよく
話題にされる付加機能はほぼ差がないと言ってもよい。最もこれら素材の違いが大きく影響する
のは多分にユーザーの嗜好性にあって、材質に由来する機能差は決して大きくない。

やっとソール修理できたスェードローファー
以前「剥がせソール」で紹介してその後修理代の都合がつかなかったり、思うように修理部品が
入手できなくてそのままになっていた、リーガル ブリティッシュコレクションの黒色スェードローファー
京都の「REPAIRIST」さんが2足分の料金が必要となるソール修理を1足分料金で一足限定修理
してくれるという情報でお願いしたところ、修理後の送料も含め、当初想定の修理代金を下回る
料金で丁寧に対応していただきました。 クレージー ソールパターンで遊び心のある底付けです。
swede-british
元々ついていたソール素材は天然クレープゴム製でクッション性の高いものでしたが、この素材
少々神経質な性質で舗装間もない道路を歩いたり、有機溶剤に触れる、高温下に放置する等の
条件に遭遇すると底がべたついたり、ドロドロに溶けたりして、あらゆるゴミが靴裏にくっついたり、
鋭利な角のあるものを踏み貫通することが多くなります。年に一度は歩道の舗装が新しくなる
近所を歩くとひとたまりもありません。

swede-british-front
装着しているツリーはパオロ・ラッタンジの鏡面仕上げのステンレス金具が美しいカエデ製。
以前東京に行った際の中古靴試着で横に置かれていてとても気になったツリーでした。
最近、このツリーが訳ありで安く入手できたのですが、そのツリーがこれにジャストでした。
製造は同じくイタリアのFormificio Veregra 、PRODUCTS>Shoe Trees>Ceder Shoe Trees
掲載の杉素材ツリーの異素材版と考えられます。父親のシルバノ・ラッタンジで使われるのは
ラストが異なり素材もブナ製が多いようです。
イタリアには他にFormificio Romagnolo等名の知られた日本との取引もある
靴木型ファクトリーもあれば、エドワード・グリーン のシューツリーもてがけていたHARTMANNの
ツリーもドイツではなくイタリアで製造されているようです。

swede-british-insole
左足のソックシートはオリジナルですが右足のシートは踵下に穴が空いていたので大き目の
別靴で使用していたフットメイトの革製インソールのつま先部分をカットしてオリジナルと交換。
裏張りのクッション材はつま先側の2cmほどを除去してソックシートとして接着。
履き口、踵部分の革が数mmめくれていたのでやや幅広く1cmほど絹糸でまつり縫いして
ほころびが拡大するのを防止。この辺は予め自己補修しますと伝えていたので到着後修理。

paolo-trees
カエデ素材特有の木目と白さが特徴で、サイズの割にワイズを広くとった前足部。

walnut-trees
加工途中のウォルナット製自作ツリー

walnut-trees-biasside
踵部の木製つまみはフランス製ビンテージツリーのブナ製を流用、塗装で目立たなくしている

walnut-trees-front
甲の立ち上がり終端部をかなり内側にもってきてあります

walnut-trees-sole
甲終端裏側から足裏にかけて貫通口を設け、前足裏をくりぬいた



続きでツリーのサイズ変更について考えてみます

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