をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

差の絶対値と同一性

これまで自然を観察する、撮影するという視点で記事を書いてきた。
以前の記事で雑誌写真のカルガモ雌雄識別記事に同一写真が使用されていると
書いたことをご記憶の方もいらっしゃるだろうか。
今回はその根拠となった画像処理による判断の一方法を紹介する。

普段デジタルカメラを使用している方がリサイズや調整で使用しているのは画像ソフト
の中でも、イラストなどに使用するドローソフトではなく、レタッチ機能などを有したペイント
ソフトが大半だろう。 その中にはレイヤー機能をもつものが多い。
画像処理はより完成度の高い作品にするための必須事項だと思います。
フィルムカメラ全盛時代にリバーサルを使ってシビアな露出を実践していた
方の中には撮影時点の画像をそのままにするのが最良とする方がいますが・・・
撮っただけではエチュードやエスキースであってタブロー(完成画)ではありません。
細かな調整を使いこなすには範囲選択やレイヤーの微調整が欠かせません。
そんな中でレイヤーの重ね具合の微調整に利用するのが「差の絶対値」モードです。
具体的な製品名では「Photoshop」や「Paintshop」などがあります。

【画像処理の目的】
ある画像Aが別のある画像Bと同一(コピー)であることの証明

【必要なソフトと画像】
1.レイヤー機能を有した画像ソフト
2.元画像Aと比較対照画像B

【画像処理手順】
予め両画像の大きさ・角度をそろえておく
1.画像ソフトで画像Aを開く
2.画像ソフトで画像Bを開く
3.移動ツールで画像Bを画像Aに重ねる
4.この時レイヤー画像Bのモードは「差の絶対値」透明度は「100%」
5.完全一致で画像は真っ黒に、異なる部分があればその部分が浮き出る
以下の画像は「Phooshop Elements 3」での処理例です
<画像をクリックしてご確認ください>カルガモ♀の画像
画像合成-完全一致
【画像の完全一致】・・・両画像は同一(コピー)と判断できる
ごく一部のみ不一致の場合は元画像の一部分に加工を施したものと推定できる

<画像をクリックしてご確認ください>
画像Cは画像Aの嘴先端黄色部分を大きく、過眼線を長く、三列風切の白色部を小さくしたもの
画像合成-部分不一致
【画像の部分不一致】・・・画像は一部に加工を加えた同一物、個体識別では別個体

レイヤーの合成モードに「差の絶対値」がない場合
「ネガポジ反転」や「諧調の反転」併用で確認可能
【画像処理手順】
予め両画像の大きさ・角度をそろえておく
1.画像ソフトで画像Aを開く
2.画像ソフトで画像Bを開く
3.画像Bにイメージ>色調補正>諧調の反転を実施する
4.移動ツールで画像Bを画像Aに重ねる
5.この時レイヤー画像Bの透明度は「50%」
5.完全一致で画像は灰色に、異なる部分があればその部分が浮き出る
以下の画像は「Phooshop LE」での処理例です
<画像をクリックしてご確認ください>カルガモ♀の画像
画像合成-完全一致、諧調反転

【ユーカちゃん再び】
鳥をちゃん付けで呼ぶのは本意ではないが、いなくなったと思ったヒドリガモの雄化メスが
偶然見つかったので、とりあえず、こう呼ぶことにした。

昨年「変かもヒドリ、変化も気取り」で紹介した雄化メス
10月末の雄化メス

最近 5.5km離れた市境の池で見つかった雄化メス
最近見つかった雄化メス

上で紹介した方法で合成した画像
差の絶対値合成画像
嘴付近の黒味を中心に見てほしい
個体識別に用いる画像の場合、光線状態、鳥の背景、鳥の姿勢で同一個体であっても
合成画像が真っ黒になることはあり得ない。
しかし、嘴や時間差のない2画像比較の場合にはかなり一致範囲が大きい。
この場合5ヶ月の時間差、姿勢差、撮影角度、光線状態を考慮しても良好な一致
が見られる。デジスコ画像から切り出したシャープな2画像間ならかなり有効だ。

最近の雄化ヒドリガモ♀
右後方でぼけて写っているオスにパターンは似ているが黒っぽい

雄化メス飛びつき
カモの翼パターンは雌雄識別に有効だが、雄化メスでもほぼ似たパターンを示す。
マガモ属の雄化は波状紋の粗さや黒線化が見られるが、他の属ではそうでもない。
また今回かなり間隔を開けて観察できたことで、雄化メスにもエクリプス期が存在
することが判明した。
また今回同一個体と判断したヒドリガモの移動距離や移動方向は従来から観察
していた交雑アカハジロやアイリング型ヒドリガモ♀の移動ルートと類似性があり
興味深かった。いままで同一個体と推定したカモの同一性判断は上記方法により
導き出している。皆さんはどうお考えだろうか?

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潜水ガモの生息域と分布

本日は、潜水ガモ・・・海ガモとも表現されるカモたちについての私観を少し

最近は図書館で調べモノをするより、ネット上の情報を参考にする機会が格段に
増加した。数時間前の北海道や外国での出来事が参照できるばかりか、専門書
にも記述されていない事柄が見られるようになったからだ。
依然として図書はその知見の出所が明確であり、信頼できる著者によって記述
されている場合が多いから、その重要性は以前と遜色ない。
しかし、それでもなおネット上のブログ・ホームページなどの記事に大きな興味を
抱くのは記事の鮮度もさることながら、埋もれた事実の発見が大きい。

一方、植物や動物の観察、自然保護活動において長い経験やプロフェッショナル
を自認しながら、既存の書物にありがちな通説を無批判に流布し続けている方も
少なからず見受けられる。 こういった方のまるで「コピペ」的行動や素人に及ぼす
影響の甚大さには落胆の念を禁じ得ない。
「赤信号で道路を横断してはいけません。」と教えながら、自らは左右も殆ど見ず
に赤信号で横断している親と変わりない。これは「青信号でも進行方向の安全に
注意して進行しなさい。」の行為に甘えた行動と言わざるを得ず、まことに身勝手
で、あらゆる状況を考慮した上で自らの言葉で誤判断を導き出しているアマチュア
の方が客観的に事実検証しやすいという点で数段好感が持てる。

【生息域について】
カワアイサ♂
カワアイサ♂幼鳥 2006年正月初旬 大阪狭山市

カワアイサが池にいる・・・こんな情報を野鳥関係の掲示板で知ったのは2005年末のこと。
当時、ミコアイサ以外のアイサはまだ見たことがなかった私はすぐに近場のその池を訪れた。
いるいる、岸に近いよく見える場所を時折潜水しながら泳いでいた。
しばらく写真を撮影し、面識のあるバーダーにも「ここにいますよ!」と教えたりしながら
池を一周した。・・・ともう一羽よくは似ているが違うアイサが見つかった。
ウミアイサ♂
ウミアイサ♂幼鳥 2006年正月初旬 大阪狭山市
見た途端に「アッ、これはウミアイサだ。」と思ってみたものの、掲示板にはカワアイサのこと
だけしか書かれていなかったし、初見ということもあって極めて自信がなかった。
その後、自分の考えた判断が正しいかどうか知るために大河川の中上流域にカワアイサを
見に出かけたり、海岸域にウミアイサを見に出かけたりするようになったのが、比較的遠方
まで鳥を見にでかけるきっかけだったのかも知れない。

夕暮れの2羽いるアイサ
2羽のアイサ 2006年正月初旬 大阪狭山市
これは夕暮れの水面の色を主眼にカモはシルエットとして撮影したものです。
しかし並んだ2羽の大きさや特徴が出ているので無理に画像補正しています。
この画像からも分かるように、大きな方がカワアイサで頚の部分で白/灰の
色がくっきり別れ、頭部の羽は逆立たず、嘴形状もやや違うことが見てとれる
のではないでしょうか。
後日掲示板に記事を書き込んだご本人が面識のある方で、詳しくその状況を
お聞きすることができた。その方は長年野鳥観察経験のある方で、昨年見た
雄化個体(ヒドリガモ)の判断では紹介された方のひとりだった。
残念ながら雄化個体については依然として誰からもお墨付きを頂いていない。
誤解されては困るが、その方が識別能力に欠けるというのではない。同じ鳥
を一緒に同時に見たのではないから。
しかし、もしカワアイサ2羽と判断したのなら淡水池にウミアイサは見られない
といった生息域の自己限定が原因だった可能性は高い。
簡単な図鑑しかもたずに鳥種を判断する際や何事も見た目の類似性だけで
判断する方は初心・熟練を問わず誤判断に陥り易い。
スズガモ、ホオジロガモなども内陸の淡水域にいることがよくあるので注意
して観察するに越したことはない。ただ、この池に多いカンムリカイツブリの
群れに混じってウミアイサが飛来したのは納得できるとして、カワアイサまで
2ヶ月以上滞在したのはかなり珍しいことだったと思う。
逆に陸ガモとも呼ばれる水面採餌ガモが海岸付近で見られるのはごく普通
のことだと言って差し支えない。塩分濃度の多い・少ないは彼らの生活を左右
する重大事由ではなさそうだ。

【分布について】
シノリガモ・・・北の方に行けば見られるカモ。・・・そう思いますよね!
実際東北や北海道では多数観察できるし、内陸の渓流部では繁殖も観察
されている。関東や中部などでも毎年見られる場所がある。
関西から比較的近い場所では愛知県・知多半島の太平洋側辺りは有名の
ようだ。 しかし、知る人ぞ知る内容かはいざ知らず。関西圏でも大阪の情報
はやや古いが例年観察されている場所がある。赤い★印

シノリガモ観察地
共通する事項は2級河川に準ずるような流域長が短く、大都市圏を貫流しない、上流部に豊かな
自然が残る河川の河口付近(1級河川も含む)
図鑑によって分布に関する記述は違うが九州北部までの全国を越冬地としているものもあるので
山陰、四国、九州でも見られる場所はあるようだ。

シノリガモ♂成鳥
シノリガモ♂成鳥 12月初旬 兵庫県

シノリガモ♂第1回生殖羽
シノリガモ♂第1回生殖羽 3月初旬 兵庫県
一昨年ころからここにシノリガモが出没している情報は掴んでいた。
しかしいつ頃行けばいいかは不明だった。幸い知人の情報やネットの情報分析で
複数回観察することができた。2月と3月では♂第1回生殖羽にかなり差が見られた。

その他のカモ2画像に続きます

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ミコアイサの集合と分散

ミコアイサ♂成鳥
事情で更新できない日が続いたが、今後も更新できないかも知れない。
そうこうしている内に、季節はすっかり春めいて主だったすみれも開花した。
今回はミコアイサを通じて、種の位置、環境との関わり、カモ(鳥)の楽しみ方を
私なりの現在の視点で要約してみたい。

【種としての位置】
私の知る限りミコアイサの学名にはシノニムが存在する。
学名は世界共通の概念や命名規約に基づいて決定されるので、通常は一種に
つきひとつの学名しか存在しない。 しかし、現実には複数の学名が存在する
ことも珍しいことではない。これを同名(=同物異名)/シノニムと呼ぶ。

以下、学名のカタカナ表記には独習者の浅学ゆえ間違いがあるかも知れない。

Mergus albellus Linnaeus,1758 メルグス アルベルルス 潜水する白いカモといった意味
現在、国内の図鑑の多くはこの学名を採用しており、「日本鳥類目録-改訂第6版、日本鳥学会」
に準拠していることが、その理由として推測される。

Mergellus albellus Selby, 1840 メルゲルルス アルベルルス
意味するところなどは大差ないが、独立種としてアイサ属から分離している。
こちらは海外の表記に多く用いられ、フリーのWeb百科事典「Wikipedia」も採用している。
恐らく形態など、種々の分類学的観点から細長い嘴で大形種となるアイサ属から分離
独立させたものと推測する。
海外のサイトを参照するとオウギアイサとミコアイサの交雑種
                ホオジロガモとミコアイサの交雑種が見られる。
国内においても北海道でホオジロガモとミコアイサの交雑種が観察、撮影されている。
これら自然交雑種の存在はある意味類縁関係にあるのではないか?
生殖的隔離に乏しい状態におかれる場合があるのではないか?を窺わせる。
事実国内では1例の観察記録しかない北米種のオウギアイサとの関係はいざ知らず
ホオジロガモとミコアイサにおいては生活圏、食性、体の大きさ・外観に共通点が
見出されることが多い。
有色の虹彩・嘴・脚をもつホオジロガモではあるが、モノクロの配色パターンのミコアイサ
とはオス・メス共に配色が似ており、しばしば内陸の池などで両者が混在することもある。
系統の上から見ればスズガモ属の特徴に近いが小形で嘴が短いものをホオジロガモ属
とし、大形で棒状のノコギリのような嘴をもつものをアイサ属とするなら、オウギアイサや
ミコアイサはこれらの属の中間的形態をしているのだと納得できる。
因みにこの冬兵庫県の池に飛来して有名になったヒメハジロもホオジロガモ属のカモです。

やや深緑色に輝くパンダ黒斑
パンダ黒斑は強い順光下では深緑色光沢
黒だと思うところが実は緑色、白い部分が多く、背は黒い・・・オス外観はホオジロガモと同配色。
焦げ茶色の頭部に濃いグレーの体色・・・メス外観もホオジロガモと同配色ですね。

標準和名や細かな違いを覚えるのも大変なのに、学名やその背景まで覚えるなんて
冗談じゃないと考える方も少なからずいらっしゃるだろう。 しかし思考や記憶といった
ものは多面的なアプローチをしてはじめてゆるぎないものへと変化するのです。
種を進化学的に見た場合、系統樹が登場する。系統樹はその名の通り樹木の形状に
似ている。細かな根っこは大きな根に集合して幹を上り枝分かれし、細い枝先にも葉が
茂る。水は木の内部をこのように通り抜けやがて雨や雪となって地上に降り注ぐ。
そのとき、私が好きな大気光象を見せることもある。大地に降り注いだ水は山や地表
を浸食しながら次第に大きな流れとなって海に注ぐ、海面下では更に海嶺や海溝と
なって地球キャンバスの樹形を刻みこむ。このような樹形は我々の身体の内部にも
存在し血管や神経回路として機能している。ものの流れや形には相似性と循環の存在
があることを理解していただけるだろうか?
「種とは何か?」形態学、生物学、生態学、地理学、進化学どのような視点から眺めて
も同じ結論に至るものもあれば、学派や理論によっては異なる考えも存在する。
種の分化や収斂は我々のライフスパンをもってしては見届けられない部類のものかも
知れないが、対象となる生物はダイナミックに変化し続けているという視点が必要では
ないだろうか。生物の多様性を容認することができるのであれば、人間自身の思考の
多様性も認めてもよいのだろう。 日本人には古来「和を以て尊し」とする文化があり
西洋的な科学分類は肌に合わないところがある。 しかし、研究熱心なところも併せ
もっているので、アマチュアの底辺が拡大すれば生物分類や動物行動といった分野も
爆発的進展を遂げることが期待される。 「まずは見ようとする姿勢から始めよう!」 
アメリカ~という鳥は多いけれど、アメリカヒドリは独立種、アメリカコガモはコガモ亜種。
雑種の存在数からすれば、生殖的隔離はむしろアメリカコガモにあるように?
動物、植物等の国際命名規約は学名の正当性は規定しても学問的結果の統合まで
は規定していないようだ。

【ミコアイサの飛来環境】
百舌鳥古墳群に飛来するミコアイサは圧倒的に履中陵の濠に偏在している。
今期は年末までに飛来羽数がピークに達し、60羽に迫った。
ところがである。求愛のディスプレイが活発化した年明けから早くも分散が
始まり1/5にはニサンザイ古墳、前後して大泉緑地の大泉池に飛来。
以後大群は小群へと変化し急速に羽数を減らした。

1/5護岸付近で採餌するミコアイサ♂
1/5のミコアイサ-ニサンザイ古墳
その後2月に入って安定飛来するようになり数羽単位で現在に至っている。

1/21には昨年同様仁徳陵内濠にも飛来した。昨年と初認日が同じなのだ。
仁徳陵内濠のミコアイサ
仁徳陵内濠のミコアイサ、デジスコ画像トリミング
羽数は10数羽だが安定して現在に至っている。

このようなミコアイサの移動はかつては稀なものであったし、履中陵の濠は安定的に
越冬地として利用されていたように思える。
しかし、今や履中陵は越冬集合地としての役割が大きくなり、採餌や求愛といった
越冬生活は周辺地に分散したと考えても不思議ではない状況へと変化した。

では、ミコアイサが安定的に飛来する要素とは何なのか?
考え得るひとつの原因は過去に大きな障害を受けることなく飛来した候補地。
それに、主食であろうと思われる適当な大きさの魚類の存在だろうか。
では、直接的にミコアイサの増加要因となった魚種は何だろうか?
過去の観察からシギ・チドリもそうだが、ミコアイサの淡水産巻き貝捕食も
見ないわけではないが、一部の外来魚の幼魚が一因であろうと考えている。
それは観察から判断する限り、ブルーギルではないかと考えている。
ブルーギルを燕下するミコアイサ♂
ブルーギルを燕下するミコアイサ♂
各地の湖でカワウとともに漁業被害を出しているカワアイサの増加も外来魚の増加
と密接に関係していることは恐らく想像に難くない。

古墳のミコアイサは投げるパンには寄りつかない。
しかし岸和田市の公園にはパンに来るミコアイサがいることを以前記事にした。
彼は今期その能力を更にアップさせ、何と上陸してのパン食い競争に参戦した。
上陸したミコアイサ
俺ってメタボ?見下げた奴ですか?

野生動物に見境なく餌を与えることには賛成できない。
しかし、ハクチョウの餌付けまで馴化を省いて一気に中断した背景には人間の
エゴも垣間見える。自然に採餌できる代替地を用意しないで餌を杓子定規に
やらないのは「自然保護の名を語る暴挙にも思える」・・・それら提唱者の一部
はかつて積極的に給餌を推進し、地理的に隔離された植物を移植した人物も
含むのではないか?
パンを横取りするミコアイサ6画像に続きます


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