をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

降ってきた!ハシボソ

鳥種ごとに、場所ごとに例年鳥たちを見る日は大体決まっている。
もちろん数の多い少ないや、出現ポイントの多少のズレはある。

先日のハシボソミズナギドリとの遭遇も運に依るところは大きいが
予め調べておいた「特異日」に沿って行動した成果でした。
その特異日は一週間後に第2波が訪れることも予想していたので、
友人を伴って再度現地に赴いた。

正面顔
Puffinus tenuirostris Short-tailed Shearwater  /ハシボソミズナギドリ幼鳥正面 

特異日とは過去の出現記録から算出した対象鳥の見られる確率の高い日
大阪城のサンコウチョウが5月3日前後に見られるのは同じ意味
ハシボソミズナギドリが陸域付近で見られる、保護される日は5月20日
それと一週間後の5月27日の前後1日ないし2日の間。特に偶数年。
これはあくまで個人的な調査結果なので、異論もあるだろうし絶対的なもの
ではないが、今回は19日と26日の午後だったので、的中している。
これ以外の日でも観察は可能だが、極めて遠い、見られない日が多い。

左側面
左側面

現地に到着するや風に流されるように1羽の鳥が接近して、間近の路上に降ってきた。
それは紛れもなくハシボソミズナギドリで、すぐさま、近くの砂州に移動させて様子
を見ることにした。
保護した際と嘴の砂粒を払う際には強く噛んできたので元気はあり、羽その他に損傷
はない様子だったので、潮が満ちるのを待って自然放鳥することにした。
その際に尾羽の状態を確認してみると、先割れが明瞭だったので、幼鳥と判断した。

左側頭部
左側頭部

右側面
右側面

背面
背面

ハイイロミズナギドリと本種の識別は難しいとされるが、ネット上の一定以上の解像感
のある画像からは識別に迷うようなものは少なかった。
一般的に言われている飛形の違い(反転時にハイイロの翼端は反り返る)、翼下面の
白色度、嘴の長さと管鼻が占める割合など総合的に判断するのが望ましく、遠くて不明
なものまで無理に識別する必要はないと思われる。
また年齢による外観変化や性差について言及した資料も乏しく、はっきりしたことは
言えないものの、脚色は幼鳥で肉色味が強く、成鳥ではかなり黒っぽいと思われる。
また羽衣外観も成鳥が光沢のある黒で羽縁の濃淡差が少ないように見える点などが幼鳥
とは異なり、幼鳥では体上面と下面の濃淡差が明瞭で頭部にもその傾向が認められる。
また飛翔時に首輪のような模様が浮き出て見えるのも本種の幼鳥に特徴的ではないか?
ハイイロはその名の通り成鳥でもやや灰色味が強く、幼鳥はかなり褐色味が強く見える。
また翼下面の白色度のみならず、体色に濃淡差がハシボソほどは認めないように思う。
ただ翼上面の特に雨覆付近の斑模様はハイイロに濃淡差が大きいように見える。

潮が満ちてきた
潮が満ちてきた

はばたき
水を飲んで、数度はばたき

潮満ちて
潮が満ちて、やがて河口中央に流されていく

サヨウナラ! どうか元気で・・・

神奈川で50羽、仙台で1200羽、この間に力尽きて浜に打ち上げられたハシボソミズナギドリ。
砂浜のある海岸でないとわかりにくいだろうから日本全体ではかなりの数が太平洋岸に漂着していよう。
食料狩猟、天候不良、混獲、オイル流出・・・彼らの前途にはこの先も幾多の困難が待ち構えている。

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シギチ時季の大和川

人には暢気な側面と神経質な側面とがあって、ここ何年も意識的に暢気に構えてきた。
ところが、昨今の時勢や身に降りかかる状況を冷静に考えると、そうも行かなくなってきた。
私自身は家族の介護が大変だとは思わないが、介護する側の生活が立ち行かなくなっている
のも事実。生活必需品の更新も大変なのだから、騙し騙し使っている今の機材が壊れたら、
その時にはブログの更新は完全に停止します。 ま、今の状態ならこれまで通り忘れた頃には
更新できるでしょうけれど。

先の冬には大和川や大阪南部のカモメを時折観察に通った。
先シーズンにたった一度だけ、どの程度カモメの識別ができるか確かめていたので、
比較的混乱することなくカモメの識別はできたのだが、目的のカモメはとうとう見られず。
そのカモメの観察場所は大和川河口左岸、そう堺市の現在の居住区に位置する。
ただ、同じ区内でも両端に相当するので距離がある上に交通の便がよくない。
南海高野線浅香山駅を降りて大和川の左岸沿いに河川敷を歩くのだが、ところどころ
スーパー堤防の工事やなにやらで堤防沿い道路に上がらないといけない。
おまけに近年河口近辺の工場や建物が大規模に建て替えられ、目まぐるしく風景が変わる。
ゆっくり鳥を見ながら往復すると12kmで4時間程を要した。

カモメやカモの大部分が渡去した川べりは帰化種植物の天国と化していた。
そこここで大量に繁茂するナヨクサフジがセイヨウカラシナの黄色から紫色にリレーし、
マツバウンラン、アレチハナガサも紫を競う。
ユウゲショウやニワゼキショウは色味の異なるピンクの花を咲かせ、コバンソウが風に揺れる。
ナヨクサフジ白花品
ナヨクサフジに混じってナヨクサフジ白花品

アオアシシギ
アオアシシギ成鳥夏羽

イソシギ
イソシギ

コチドリ
コチドリ

チュウシャクシギ
カニを見つけたチュウシャクシギ

他にキョウジョシギ♀成鳥も見たが遠くて撮らなかった。上空を飛んだだけならシロチドリと
トウネンが群れで水面付近を飛んでいった。

コアジサシ
沖のブイで給餌を待つコアジサシ

他に、この時期コアジサシの群れに何か他種が混じっていないか見るのだが・・・
特になにもいなさそうと引き返しかけた際、ガルウィングの2回りほど大きな鳥を見つけた。
一瞬新たなアジサシかと思ったが、すぐにミズナギドリの仲間に思えた。
スコープで捉えた嘴の形状はミズナギドリで尾の形もそれを物語っていた。

ハシボソミズナギドリ2羽
河口を飛ぶハシボソミズナギドリ2羽

ハシボソミズナギドリ3羽
河口を飛ぶハシボソミズナギドリ3羽

ハシボソミズナギドリ
ハシボソミズナギドリ4カット、全て同一個体(ほぼピクセル等倍)

一般にミズナギドリなどの海鳥は外洋性で陸地付近で見られることは少なく、もっぱら定期航路等の
船上から観察することが多い水鳥なのだが、時期や場所を押さえていれば陸地からでも観察できる。
なかでもオオミズナギドリ、ハシボソミズナギドリは近海のみならず、陸地での落鳥も多いらしい。
上記の画像が果たしてハシボソミズナギドリと断定するに十分かは分からない。
ただ5・6月に大群で日本近海を北上する様は洋上の黒い川の如く何日も連なることがあるらしく、
タスマニア付近で繁殖を終えた親鳥は自分以上に肥育した雛を置き去りにして渡りを始め、過剰な
餌を消化・換羽した雛が遅れて渡りを開始するらしい。
南半球と北半球を跨いで8の字型の渡りコースをとるハシボソミズナギドリの壮大な渡りの距離は
キョクアジサシと並んで最長クラスといわれ、例年渡りの餓死で多くの幼鳥が浜に打ち上げられる。
そんな渡り事情に新たな関心を抱かせてくれた強風の一日だった。
この日と翌日にはかなりの数のハシボソミズナギドリが大阪湾内にいたらしく、淀川でも観察された
ようで、晴天でも風の強い日の午後は河口付近を飛ぶ、或いは休息中の鳥には要注意。

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