をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

ちゃうやんけぇ、それ

いきなり下品で粗野な言葉遣いのタイトルですが・・・
この時期が巡ってくると、どうしても気になって仕方がない。
エクリプスと幼鳥、それに雌のハナシです。

この時期、カモが繁殖羽になる前の羽衣に興味を持って見ていると
やたらとエクリプスという表現が目立つのだが、実はそれらが真に
エクリプスであることは少ない・・・その結果の印象が「ちゃうやんけぇ」
という表現になってしまいます。
そもそも、「ちがう」と「ちゃう」は関西圏の多くの場所で双方共に
使うのですが「ちゃう」といった表現は仲間内や親子といったかなり親しい
間柄ではよく使うものの、目上の方に対してやあらたまった表現では用いない
ことが多く、より率直な表現のように感じます。
その「ちゃう」に同意を求める「やん」もしくは「やんか」の強意形が
「やんけ」でしょうがその語尾が「え」で「やんけぇ」がより強意の意味が
強いと理解して頂いて結構です。

まず幼鳥ってどんな特徴的な外観?

アオサギ幼鳥
アオサギ幼鳥

ヨシガモ♂幼鳥
ヨシガモ♂幼鳥

キリアイ幼鳥
キリアイ幼鳥

カヤクグリ第1回冬羽
カヤクグリ第1回冬羽

最後のカヤクグリに関しては推定を誤っているかも知れませんが、頸から胸
腹部にかけてウロコ模様のようなものが見えませんか? 肩羽。上背の羽が細かく
密に揃っていませんか?

エクリプスと幼鳥
ネット上の画像を見ていると、シマアジの最近の画像がことごとくエクリプスということに
なっているが、最近大阪北部に出現した2羽は共にオス幼鳥で南部の1羽もオス幼鳥です。

秋季のシマアジは全国的に画像を見てみると大半が幼鳥で成鳥はわずかです。
エクリプスと言えるオス成鳥は更に少ないものと考えられます。
ですので、カモにかなり詳しいと自負しておられるような方や探鳥会リーダーなども
ことごとく間違った判断をしているし、写真図鑑だって間違っています。

山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥 (山と渓谷社)
日本の鳥550 水辺の鳥   (文一総合出版) 共にエクリプスの写真は幼鳥です。
それに、日本の野鳥ではメス幼鳥がエクリプスとして掲載されているからヒドイです。

では最近の画像からシマアジオス幼鳥
シマアジオス幼鳥

シマアジエクリプス 昨年9月下旬
シマアジエクリプス
なおエクリプスの腹部付近がオレンジ色っぽくなっているのは鉄分による染まり、
種に固有の色ではないので、この色には注意されたい。


図鑑の件に言及したので、最近目にした回答不能の「鳥力クイズ」
雑誌BIRDER8月号の叶内氏の出題、これってなんでこんな画像使うんでしょ?
Aの写真はコガモエクリプスって三列風切が脱落換羽中で体側にすでに波状斑が出てます。
 エクリプスというからにはもっと初期のフルエクリプスに近いものを選択すべきでは?
 なぜか氏は10月撮影のこの画像を繰り返し使っておられるが、そんなに典型画像ですか?

コガモペア
9月中旬撮影のコガモペア、奥がエクリプス。嘴はこのペアではオスが黄色い。
飛来初期のオスの嘴が黄色味を帯びていることは普通だし、メスもこの後黄色く
オスは黒くなる。

Bの写真はオナガガモオス幼鳥らしいですが、それって嘴の特徴だけで決めてません?
 他の特徴は完全にメスですし、雄化らしいところも見られず幼鳥でもないですね。

オナガガモ雌雄幼鳥
昨年10月中旬に撮影したオナガガモ雌雄幼鳥。右がオスで成鳥オスを挟んで左がメス。
この画像のオス幼鳥は嘴のサイドが完全な灰色ではなく、メスは全体に灰色に見える。

他にこの設問の問題点は異なる時期の画像が混在していること。
売れっ子で多数の著作がある氏ですが、後々の汚点になるようなことは止めた方がいい
ように思います。 自サイト掲示板のカモ質問のシマアジも誤認してるくらいですから。

ま、一階のアマチュアが50階の野鳥の会関係者や100階の図鑑著作者が振りまいた
誤解という塵を振り払えるとは思いませんが・・・、どうにかならんですかねぇ。

PageTop

初体験、ちょう学会大阪

17日(土)から19日(月・祝)に大阪市立大学で開催された 日本鳥学会に
一般参加してきた。

鳥学会で発表される講演内容などに興味があったので、以前から大阪で開催されたら
行ってみようと考えていたのです。
鳥学会はとり学会でなく、ちょう学会。なら、蝶の学会はというと、鱗翅(りんし)学会。
さすがに臨死学会というのはなさそうです。なかなか、ややこしいですね。

17日
朝一番で母の通院送迎。その後、支度をして会場へ・・・案内板少ないですね!
みんな毎度のことでよく御存知なのかな?
口頭発表午前の部は休憩をはさんで前半・後半に分かれている。後半にギリギリ間に合う。
前野鳥の会大阪支部長の側方に着席して、周りを見てみると、意外に顔の分かる方がいる。
発表を聞いてジオロケータの実力と適用可能鳥種がぼんやり見えた気がした。

午前の部が終了したら、即移動。午後に大阪府立大学で開催される環境倫理シンポジウム
「自然を愛する」とはどういうことか・・・に当日参加。パネルディスカッション以降
不参加、帰宅。
自然とは何か、守るべき自然とはいかなるものか?そんなことを多面的に考察してみる。
画一的な概念で自然や自然保護を捉えないで、広い視点で本質を明らかにしていこうと
することに興味を感じた。

午後3時半帰宅。簡単な食事、休憩、夕食の準備をして、再度市大へ。

午後6時からの自由集会には早すぎたので、ポスター発表でも見に行こうと会場の3Fに
行くも展示なし。翌日に18日昼頃からの展示とわかる。 雨が降っているし休憩室の
鳥の美術室もやってない。仕方なく会場前で待つも、一向に開場しない。
開場してもしばらくは誰も来ず、おまけにプロジェクターの故障で会場変更。
「瀬戸内海の海鳥」は以前から興味のあった内容で興味津津で内容を聞く。
また、自分のフィールドである大阪湾岸のカモメは蓄積されたデータと自身の観察結果が
一致していたので、なるほどと思う反面・・・
ズグロカモメが男里川河口付近でしか見られないというのは2年ほどデータが古い?
ウミネコの分布が大和川を含め冬季の湾奥で少なく、湾入り口付近で多いというのは
自身の個体数が北低南高のデータと一致し、これが背の黒いオオセグロカモメにも
言えるのは、その通り。 でも春を過ぎて夏にかけて幼鳥が見られるまでの群れが
成鳥というのはおかしいのではないか? 自身が見る限り大半は第3回夏羽の個体で
次期繁殖予備群と考えるのが数の上からも妥当でしょう。
また今回の発表でウミネコに関するものが割に多かったように思いますが、その内容
から推測しても和歌山、京都、兵庫、福井周辺の繁殖地生まれの個体ではないのかな
という気がします。

18日
チャボクロジ、ミズナギドリの性差、小翼羽の役割、センサスの信頼性、下村兼史資料
辺りの発表を聞く。
英語の発表をあまり聞いたことがないので、韓国ソウル大学からの女性発表はなめらかな
英語、テンポのいいプレゼン、スロー動画もなかなかに印象的だった。
午後はポスター発表を見て、早くに帰宅、いつも通りの家事、介護。

19日
朝から自由集会でシギチのモニタリング等について聞く。
地理情報システムとモニ1000を用いたシギチの環境選択については概ね納得。
ただ、ツクシガモが干潟に依存しているかについては大阪近辺、あるいは以北の
出現状況からは淡水環境も多いのでは?という気がした。

その後帰宅昼食。午後の食事準備をして13時からの公開シンポジウムを聞く。
終了後は自由集会でまたウミネコの繁殖にまつわる話を聞いて終了。
個体の行動特性ということで着眼、発表されてはいたが、引用された先行研究や
仮説補強データがそれとは裏腹に、集団の年齢層におけるリーダーシップとそれが
繁殖成功に与える影響のように思えて仕方なかった。
提示されたデータは個と群れ全体の繁殖成功率上昇に寄与するために繁殖成功経験
のある個体の周りに若鳥や繁殖失敗個体が一定率で散らばっていると仮定した方が
自然に思えた。

著名な方々が多数来場されていたが、樋口教授の周りには誰、山階鳥研の茂田氏や
岡氏の周りは誰、博物館や動物園スタッフは誰、民間研究機関は誰、野鳥の会関係
・・・匂いの違う顔ぶれから推測して、名札の名前と一致するかを見てみると
推測と実際はかなりの高率で一致していて、驚きました。
なかなか長時間の外出ができない最近でしたが、いろんな方の考えや研究にふれて
周到に準備していた参加は無事に終わって実りあるものでした。

PageTop

失敗画像とシマアジ

父の病状は寝たきりながらまずまず安定はしているが、母の認知症ではないかの懸念は
ますます増大。とにかく本人にはこの件で直接的に触れないようにしてはいるが、日常
生活に支障をきたす思い違いや感覚異常、紛失があとを絶たず、このままでは生活破綻
が目前のような気がする。 一時より身体の痛みが消え認知症傾向が緩和した気もする。

シマアジについて何も知らなかった頃から数シーズンが過ぎた。

simaaji110913
シマアジ飛び出し

上の画像は本日午後撮影したシマアジオス幼鳥の飛び出し画像
写真としては失敗(前の切れた部分と後ろの余白が逆転していれば良)なのだが、
10年近く前のタイムラグが大きく、連射の利かない一眼レフでは、善戦した部類。

とは言え、失敗は失敗。でもシマアジ幼鳥の特徴がよく掴めるでしょう?
今回は前回記事で予告した通り、「鳥」と○○といった感じの記事の予定でしたが
思いがけず、シマアジ飛来の情報が入ったので割り込み、後日記事追加の予定。

PageTop

「鳥」とシラサギ

大正十四年九月二十九日、我が鳥見フィールドに近づいた男は、眼前の野原に散らばる白い大形の
鳥を南海高野線を走る列車の車窓越しに注意深く見ていた。

男の名は榎本佳樹(えのもと よしき)当時、高野山中学に勤務しながら淀川河口のシギ・チドリ
を観察するためよく南海高野線を利用し、中百舌鳥駅付近でシラサギ類が多いのを知っていた。
彼はそのことを日本鳥学会の学会誌「鳥」第25号に報告したのであるが、見かけた白い鳥を
軽率にコモモジロ(チュウダイサギ)と断定したことを後悔して「鳥」第26号において新たに
「大仙陵付近のサギ類偵察 」と題する雑纂を投じたのであった。(昭和3年9月) 注・1

私が生まれるずっと以前のことであるので、付近の様子は想像がつかないのだが、当時仁徳陵
(大仙陵)には万羽規模のサギ類の集団営巣地があって付近の農地や小川や池には多数のサギ
が飛来していたものと考えられる。私が生まれてからしばらくの間もその営巣地は存在したが
付近の宅地化や農地の大規模改革、強力な市域拡大策により大阪万国博覧会が開催された年まで
には消滅してしまったようだ。
幼い頃国鉄阪和線百舌鳥駅を過ぎて間もなく見える松の木上のサギの巣とポツリ、ポツリと白く
見えたサギの姿は今も遠い記憶の中に残っている。

後年、この付近にシラサギが多かったことに因み、新しく建設された公団住宅名が白鷺団地と
なり、新駅も白鷺駅と名付けられた。
百舌鳥駅、鳳駅(JR)や中百舌鳥、百舌鳥八幡駅(南海高野線)と狭い範囲に鳥に因む地名が
多い理由のひとつとなった。
百舌鳥はモズで百舌とも鵙とも書くので読みが漢字名より少ないというのは、ハゼ(魚類)等
でも知られることで、唯一鳥の種名です。
鳳は大鳥大社に依るもので日本武の白鳥伝説の白鳥を意味すると考えられるが、鷲鷹や伝説上
の霊鳥を意味する場合もあり、定かでない。

白鷺駅の北東には大泉緑地公園があり、山岸哲 氏(前山階鳥類研究所長、元日本鳥学会長)が
ここを舞台にモズの調査をして『モズの嫁入り』(1981)-大日本図書を著し、百舌鳥の地名
についても触れている。
また、かつて堺区大浜公園に存在した国内初の本格的水族館であった堺水族館は初代日本鳥学会
会頭の飯島魁 氏が設立と管理を担当するなど、堺と日本鳥学会の縁は意外に深い。

榎本氏がサギ類を観察した当時と現在とではその種構成に大きな差が見られ、全体的には減少
傾向にあるサギ類にあって著しく減少し府内での繁殖すら一時見られなくなったチュウサギの
繁殖の衰退と現状を見るにつけ、記録を残すこと、科学的に事実を検証することがいかに重要
かを知ることができる。東日本大震災や十津川の大水害を先人は記録して後世に伝えていた。
記録は活用されなければ意味がない。

im-egret
堺市東区農耕地上空を飛ぶチュウサギ-9月上旬

次回以降、鳥学会誌「鳥」に見られた野鳥と当地で観察された鳥との縁について少し触れる。


注・1
榎本佳樹 氏については日本野鳥の会大阪支部の ・「野鳥便覧」を読む に詳しい
ただし閲覧はpptファイルなのでマイクロソフトのパワーポイントまたはその互換ソフトか
パワーポイントビューアがインストールされている必要がある。

PageTop