をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

ヒシクイ私観

今月初旬堺市北東部から松原市にかけてヒシクイが観察された。
この際、多くの方がヒシクイなのかオオヒシクイなのかと疑問を持ったようだ。
これは亜種の問題なので、ダイサギやカワラヒワと同様の事柄なのだが・・・。
カメラマンや一部のバーダーには分けて理解したい種とそうでない種があるようで、
アカハラとオオアカハラ、ヒシクイとオオヒシクイは分けて理解したい種らしい。

【種と亜種】
亜種とは種の下位分類であり、ヒシクイは種名であると共に亜種名でもある。
したがって亜種の詳細が不明ならば、ヒシクイとだけ呼べば済む。 ところが鳥写真を
撮るカメラマンの中には亜種も含めてカウントしている方がいるので、ヒシクイはたまた
オオヒシクイかは問題となってくる。カメラマンならずとも、記録としてとどめる際には
亜種まで特定されることが望ましい。なぜなら多くの場合、形態だけではなく、分布
更には生態も異なる場合があるし、分類とは固定されていないものなので、いつまた
別種として扱われることがあるか不明なのです。
種は学名で表記する場合、リンネが用いた属名と種小名とを並べて表し、通常斜体字
で表記します。これが二名法と言われる表記法ですが、更に亜種を表す際には三名法
が用いられ、Anser fabalis serrirostrisまたは繰り返し表記の際には種部分を省略して 
A.f..serrirostris としますが属名の頭文字は常に大文字です。日本鳥類目録改訂第7版
では3亜種の記載があり、最小亜種のヒメヒシクイは現在ロシアヒシクイの東端グループ
として認識されているようで、次回改訂では現在の A.f..curtus から A.f..rossicus へと
変更される可能性がある。第7版発行の少し前に江田らによって鳥学会誌に発表された短報
「脱落羽毛の遺伝的解析からみた日本で越冬するヒシクイAnser fabalis の亜種区分」では
既に A.f..curtus の記載はない。
とはいえ、近年には兵庫県においてもヒシクイより小型の A.f..rossicus と考えられる個体が
観察されており国内では、亜種としてヒシクイ、オオヒシクイ、ロシアヒシクイの3亜種が見られる
ということのようだ。

ところで、堺市のみならず大阪府内にガン類が飛来することは珍しい。例外的に南部の海岸に
若いコクガンが時折飛来することぐらいで、これまでの記録はマガンより更に少なく、半世紀の
間の記録でも数えるほど。そんな、ヒシクイの記録だから昨年枚方市に幼鳥が飛来・越冬した
際にも当初はオオヒシクイと考えられたようだ。今年3月に堺市のレッドリストが改訂され同時に
堺市野生生物目録が公表されている。そこにはなんとヒシクイの他にサカツラガン、マガン、
ハイイロガン、ハクガン、カリガネ、シジュウカラガンまで記載されている。亜種レベルの記載は
ないので記録年月日や詳細は不明だが大阪府鳥類目録にも載ってないのがズラリ!
おまけに近年確実に記録された、ヒメクイナ、ハシブトアジサシ、キマユムシクイ、オオアカゲラ
が漏れているし、第7版準拠ならばキアシセグロカモメ、ニシセグロカモメも漏れている。
定期的な改訂は評価できるが、公開の前に雛型を一時公表し市民の声を聞いたうえで改訂と
いうステップを踏んだ方がいいのでは?むろん、このことは日本鳥類目録でも言えるが。

【主に嘴と頭部の形状で区別されるヒシクイとオオヒシクイ】
近年、太平洋岸に位置する都道府県でヒシクイの観察記録が増加傾向にあり、イソヒヨドリの
内陸侵攻やオオバンの分布拡大などとともにトレンディーな内容です。それゆえ、正確に亜種
を把握しておく必要があります。
近年、ここ5年くらいの間に亜種ヒシクイが観察された都道府県は太平洋岸に存在すると書き
ましたが、では一体渡来記録がヒシクイに優占されるのは具体的にどこでしょう?
千葉・東京以西の太平洋岸で直接外海に面している場所が候補ではないでしょうか。東北に
近いエリアや北海道、日本海側エリアは元来オオヒシクイやガン・白鳥類が渡来する場所で
これらの場所では双方の亜種が混じっていることが少なくありません。つまりはオオヒシクイが
優占飛来する場所は同時に混合飛来区域でもあるのです。では四国・九州はどうでしょう?
地理的にはガン類が飛来するのは稀と考えられる地域ですが、実のところは混合飛来区域
どちらかというと、オオヒシクイ優占地域となるのではないでしょうか。四国・九州は南部地域
のみがヒシクイの飛来が予想される場所で沖縄も含まれることになります。ちょっと待って!
大阪は瀬戸内沿岸エリアで混合飛来区域じゃないか・・・そう思えるし琵琶湖ではオオヒシクイ
が優占しているため、場所的にはそう判断されそうですが三重・奈良・大阪はヒシクイ渡来域
だろうと考えています。これは気候区と関連があるように思えます。 以上、ヒシクイが渡来し
話題になるだろうエリアの話でしたが、この2亜種を区別するのはどうすればいいのでしょう?

・黒田長禮博士の「雁と鴨」は嘴爪と嘴峰長の比で判別する手法を紹介
オオヒシクイの項にて幼鳥で4倍、成鳥では4倍以上との記載あり (1939年)

・呉地ら 「ヒシクイ Anser fabalis serrirostris とオオヒシクイA.f.middendorfiの野外識別に
  ついての考察」鳥:32 95-106 (1983年)
嘴と頭部の各部位の計測値による比からモデル形態を図示している

・サイト オオヒシクイ Q&A 50 管理 池内俊雄氏
嘴の形態を主体に体型や大きさの違いを説明、唯一雌雄差についてロシアの研究者が
外観によって識別できていたと報告、成鳥到達年に関しては一年としているが・・・?

以上国内で観察できる2大亜種の識別に関して得られる情報の一端ですが、カモ目の
鳥に普遍的に存在する雌雄差については記述されていません。齢差より判断しにくい上に
感覚的な部分が多いとして、最初から考慮されていない気がします。
その結果呉地らの報告は亜種識別上有益な情報をもたらした一方、性差に起因する両者の
類似性の落とし穴を図らずも提供したとも言える。私が感覚的に想像する両者の比較図を
見ていただけると、その理由が理解できるかと思うが、ヒシクイの雄成鳥は計測値を無視し
印象のみで判断すると、オオヒシクイと判断されてしまう危険性がある。 誇張された模式図
は両者の相違を端的に表現しているように見えるが、実際には上嘴の嘴峰の輪郭線つまり
上縁が凸にカーブしている例はごくわずかで、具体的には亜種ヒシクイの雌幼鳥に多い特徴
と考えた方がよいだろう。森永チョコボールのマスコット・キョロちゃんのような嘴の個体には
実際問題としてなかなかめぐり合えないと思う。あくまでイメージの世界のモデルなのだ。
この誇張された模式図のイメージから、印象だけでヒシクイをオオヒシクイと考えてしまう方が
結構いる。 冒頭で紹介した江田らの短報にある、坂井平野に渡来する亜種には実際ヒシクイ
が多く含まれる可能性があるとの報告にも影響したものと思える。両亜種のどちらとも判断の
つかないものを安易に交雑による中間型と判断する前に、性差を含めた議論も必要だ。

【雌雄差の実際】 ///雄と雌では異なる嘴や頭の形状///
前々回記事の「池のヨシガモ雌雄」画像をご覧いただきたい。雌の嘴は基部でやや膨らみ
先端部も雄よりやや厚い。左向きの頭部で表現するなら雄は一般的なスベリ台形、雌は
上部緩傾斜のS字状スベリ台形をしている。また頭頂位置も雄は目より後方に存在し、
雌ではほぼ目の上にピークがある結果丸味の強い印象を受ける。これはカモ目の鳥全体
で見られる傾向でカモメや小鳥でもよく似た傾向を示す。この嘴と頭部形状の雌雄差が
亜種間差と複合した場合にどのように評価するのかという意識が必要だし、幼鳥では短嘴
短頸傾向が加味されることも意識する必要がある。

・亜種別雌雄差
anser-fabalis

上段が亜種ヒシクイ、下段が亜種オオヒシクイです。 成鳥をイメージしていますがヒシクイの
雄成鳥とオオヒシクイの雌成鳥が一見似ていることに気づくはずです。
また、これに齢差、幼鳥・若鳥・成鳥の変化が影響してきます。

・ヒシクイ雄の齢差
fabalis-year

雁・白鳥類はカモ目の鳥ですから似通った点は多数ありますが、家族単位で行動するところが
一般のカモ類と行動上大きく異なる部分で、換羽様式もカモ類が年2回のありふれた換羽形式
なのに対し、年1回の換羽のみです。換羽時風切羽が一度に抜けて飛べなくなるところは同じ
なんですけど。ですから幼羽は出生後1年少々残存、羽衣の呼び方も年中よく似た外観ですの
で、冬羽・夏羽、生殖羽・非生殖羽といった呼び方はしないようです。白鳥の幼鳥は灰色っぽい
薄汚れた感じの羽衣ですからわかり易いですが、雁類は成鳥によく似た色をしています。マガン
は目先から額が白いので学名にもアルビフロンス( albifrons=白額の 種小名)が用いられては
いますが、幼鳥にはこれがなく腹から脇の黒斑もありません。ネット上の画像でヒシクイの幼鳥
としてマガンの幼鳥がヒットしますが、ヒシクイの嘴は黒い部分が多くてマガンの肉色とは異なり
ます。またヒシクイの幼鳥は濃褐色が強いですがマガンでは灰色っぽい色です。

(1年目) 嘴の先端近くにある橙色の部分が小さくぼんやりしている。
      嘴が短く、よりヒシクイ的特徴と感じられる、頸も短い。
       前頸から胸部にかけてうろこ状の羽衣が目立ち、肩羽の淡色羽縁は小波形状
       脇の斑はぼんやりしていて横斑状には見えず、全体的にぼんやりした体色

(2年目) 嘴の橙色が明瞭になり嘴基部周辺が黒っぽくなる
       前頸から胸部にかけてうろこ状の羽衣の名残が見られ、肩羽の淡色羽縁は波形
       脇の斑はややはっきりするが波状で横斑状とはなっておらず、中途半端な脇色

(3年目) 嘴の橙色範囲が大きくなり(オオヒシクイより嘴に占める橙色範囲が広い)明瞭化
      この嘴の色は個体差があるようだが、幼鳥時より範囲が大きくなるのは確か
       胸のうろこ状質感が消え汚白色の胸腹部、脇の横斑が明瞭となる、また肩羽の
       淡色羽縁が直線状につながって一本線のように見える。この時点で成鳥。
 私自身の判断では2012年11月に三重県伊勢市で観察されたものが亜種ヒシクイ成鳥の
 雌雄と考えている。したがって、前出のオオヒシクイ Q&A 50にある大人になるには1年と
 する解説には疑問を覚える。成鳥とは繁殖を開始する齢の鳥ではなく、それ以上変化がない
 羽衣に達した鳥を指すためです。

この項では性差・齢差を抜きにした亜種識別は報告内のイメージ図によって誤ってヒシクイが
オオヒシクイと判定される危険性を指摘、実際に多くの実例があることを紹介した。

【菱を食ったヒシクイ】

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まだ沈んでいない青い菱の実を食べるヒシクイ 堺市 10月8日

fabalis-rest
休息するヒシクイ 松原市 10月9日

fabalis-alert
まるでシギチのようにヘリコプターの爆音に警戒して伏せるヒシクイ 松原市 10月9日

fabalis-standing
立ち上がったヒシクイ 松原市 10月9日

fabalis-swim
泳ぐヒシクイ 松原市 10月9日

fabalis-tailfeather
飛び立ったヒシクイ 赤矢印には旧羽(幼羽)の残存と思われる羽が見える 10月9日

以上のような状況で堺市北東部から松原市南部に滞在した亜種ヒシクイは2年目の雌と判断した。
その後の行方は不明ながら枚方市付近で上空を飛ぶヒシクイがマガンとして撮影(16日)されて
いるようなので、昨冬に枚方市へ迷い込んで越冬した幼鳥であるなら、再度枚方市付近で再会が
できるかもしれない。この個体はヒシの繁茂する池及び農耕地で採餌し、松原市の池の干潟状の
陸地にねぐらをとったようでした。左足を傷めている雰囲気でしたので元気でいてくれるといいですが。

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羽抜けと野鳥雑誌

本日の朝から撮影したカモ画像を使って野鳥雑誌のカモ記事に少し触れてみる。
画像はトリミング時の設定に問題があって大きさが不揃いです。

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ハシビロガモ成鳥雌非繁殖羽(風切羽は繁殖羽) 9月30日 芦ヶ池

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ハシビロガモ成鳥雌非繁殖羽 三列風切他風切羽は脱落 本日朝6時半 芦ヶ池


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マガモ成鳥雌非繁殖羽(風切羽は繁殖羽) 9月30日 芦ヶ池

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マガモ成鳥雌非繁殖羽 三列風切他風切羽は脱落 本日朝6時半 芦ヶ池

昨年も記事にした羽抜け(越冬地換羽)メスの画像2種。著しく摩耗した三列風切に
着目すれば、羽抜けは黒田博士が報告したように幼鳥のメス親に限定されないことが
私の観察及び新潟県のグループによる観察で明らかとなった。上の2個体は昨年の
記事と同一個体と判断できる。
昨年の記事 羽抜けと越冬地換羽

さて、なぜこの羽抜けが野鳥雑誌「Birder」と関係があるのかというと・・・
雑誌「Birder」は11月号の特集にあたり特別なカモの写真を公募した。
その写真や特集記事にこの現象について触れているものはないか?
また、水面採餌ガモの潜水採餌やその逆、ビロードキンクロの閉翼潜水、
潜水採餌ガモの倒立採餌など応募しようかと考えたが止めた。
止めて正解だったようだ!元山氏のハシビロガモの集団採餌などいい
瞬間を捉えたものが多いが、意外な真実を捉えたものはなかった。

今回の11月号特集記事のサブタイトルには完全無欠の指南書なる
文字の躍るカモ特集。
特集の扉写真。まさに本文巻頭を飾るマガモ親子の写真。
なかなかに微笑ましいが、説明にはカルガモ親子とあるねー、うーん。
イラストレーター水谷高英氏のカモ雄図鑑・・・アメリカヒドリの肩羽は灰色?
フィールドガイド日本の野鳥増補改訂新版で訂正された内容なんですけど・・・
氏のイラストを手放しで称賛する方がいますが、「WATERBIRDS OF ASIA」の
オシドリ飛翔図の翼下面もおかしいですし、不正確なのも多いです。

BESTイレブンのカモ画像中、シマアジ雌とあるのは雄幼羽ですし、ホオジロ
ガモの雌画像もおかしいことに気づいてないようです。
翼鏡の色についてのカモのいろいろ・・・藤井氏の記事は構造色の理解が
不十分だと言わざるをえません。今世紀になってからのカモ記事はこんなもん。
氏原さんのカモ図鑑発行によって少しでも誤解が減少してくれればと期待は
するが、誤解記事の大半が野鳥歴数十年という方もいて一筋縄ではいかない。
図鑑によって世間が一変しても、それは単なる正しい栄養を摂取したに過ぎず、
それが真に血肉となるのは時間が必要だからだ。どうやらカモ記事のレベルを
アップするには執筆陣の根本的意識が変わるのを待つしかなさそうだ。
※記事を記入した時点で谷口高司氏と水谷高英氏を混同してしまってました。
お名前に高の字があるので、以前から混同しやすく、失礼しました。打ち消し線

※ 今回の特集号で特に気になったことは翼鏡ひとつを例に挙げても執筆者に
よって異なる定義解釈をしているため、読者は一冊の雑誌として通して読むと
翼鏡には色づいているものと、いないものであるなしが判定されるのか白や黒
の無彩色の翼鏡は存在するのかという疑問に直面するはず。(精読すれば)
一般通念上、氏原さんがオカヨシガモの識別チャートで述べているように白い
翼鏡は存在し、藤井氏が記述しているように白ければ翼鏡はないという判断
とはならない。なぜなら色とは特定の色域に限局された光線を我々の視細胞
を通して見ているだけで、ほぼすべての波長が混合した光では我々人間の目
には白く見えるからです。構造色は物体の構造そのものに由来するのではなく
バックグラウンドとして作用する(メラニン)色素との協調の上に成り立つもので
光源の色温度や入射角・反射角を抜きに語ることはできません。したがって、
藤井氏の扱う次列風切の羽色は単なる常識的なごく一例に過ぎず、キンクロ
ハジロの頭部光沢は紫だ、緑だなどと議論されるのと同じ次元の切り口です。
出版社特有の傾向というのか、文一総合出版は執筆者や著者の記事内容に
干渉し過ぎないというより、今回のような記事内矛盾に対し、編集作業を放棄
している一面を感じてしまうのです。

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池のヨシガモ雌雄

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ヨシガモ非繁殖羽(エクリプス) 雄成鳥 芦ヶ池 10月5日

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ヨシガモ非繁殖羽         雌成鳥 芦ヶ池 10月5日

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1.三列風切基部は雌で灰色味が強く、雄で白っぽい
2.三列風切に接する後列肩羽?(場合により見えない時も)が雌で褐色味、雄で灰色
3.肩羽の羽縁が雌では明瞭な褐色で、雄より肩羽の占める範囲が長め(体バランス)
4.雌の過眼線がやや明瞭で、マガモ属に共通の要素
5.雌の頭部は丸く、雄ではやや角張る形状
6.雌では嘴のメラニン色素が顆粒状に凝集した点状黒斑を認めることが多い(非繁殖羽)
7.脇羽の形状が丸味を帯び、雄ではやや尖る傾向がある。
他にも次列風切の翼鏡の色が黒っぽく見える方が雌だといった、雌雄の識別点は人の数だけ
存在するが、要するにその人が間違えない方法がベスト。

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日の出前の太陽柱

9月・10月と気象光学現象が観察できる日が多い。
太陽柱は9月に3回見ているので、今朝で4回目。決して寒冷地特有の現象
ではない。

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今朝、日の出前に見られた太陽柱。こののち光芒も出て不思議な景観となった。

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ヨシガモ・エクリプス

9月よりほぼ例年通りの飛来が続くカモ達。
市街地のわがフィールドにも9月30日に、ハシビロガモ雌雄、ヒドリガモ雄3羽が
渡来。順調に数を増している。特に荒天の昨夜を早めに池で過ごしたのか一気に
種・数が増えた。

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増々池 本日午前中 ヨシガモエクリプスとスイレン

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ヨシガモ・エクリプス

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ヨシガモ・エクリプス

一過性にここに下りただけで、午後は周辺の水辺でも確認できず。
長年至近で観察したいと思っていたエクリプスが2年続けて見られて幸運だった。
なお、昨年芦ヶ池で観察されたエクリプスもこの個体も第1回非繁殖羽もしくは、
それに近い非繁殖羽の若い雄である可能性が高いです。 老成した成鳥の
三列風切は繁殖羽のそれほどではありませんが、幾分下垂し、繁殖羽への換羽
進行度も早いため10月初旬であっても、部分的に繁殖羽へと置き換わっているの
が普通と判断されるためです。(肩羽の一部にく字斑が見えています)

【芦ヶ池・芦ヶ池水路と都市部のヨシガモ】
ヨシガモは堺市内では南部丘陵地の水源が比較的清澄なため池に多く観察される種で
あった。ところが堺区内における向陵公園の整備・造成過程で道路工事によって分断
された狭山池を水源とする水路に代わり汲み上げ井戸水が採用されたことにより、藻類
特にヨシガモが好む緑藻が浅水部に繁茂したことが、芦ヶ池にヨシガモを呼び込み、定着
していった原因と推定される。 その後第2井の揚水も始まり2006年にはこの池の水が
仁徳稜へと導水されることとなり、芦ヶ池水路と呼ばれることとなった、当初の導水量は
日量2500tであったがその後1000tほどに低下し、富栄養化した水の導水により濠の
水質は年々悪化、近年はアオコ・外来アゾラの繁茂が下流域の悪臭の原因となった。
そこで市は今年度、芦ヶ池水路整備の目玉としていた工業用水の導入廃止を撤回し、
水路開通前に流入させていた工業用水導入の予算を承認した模様。

【カモ類の水系依存】
野鳥の会都道府県支部の支部報や博物館紀要等まで閲覧する状況にはないが、従来
報告されている論文等のカモ類による環境選好性や水質関連性報告には水系依存性に
関する報告は見られない。ところが、ヨシガモの堺市堺区における分布変化には次第に
下流域へと分布が拡散していく様子がハッキリ見てとれた。単なる物理的・水質的環境
因子に左右されず、世襲と水系に依存する側面があるように感じる。

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