をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

スミレ交雑種5.コマガタケスミレ

前回のアルガスミレと近い場所で見つけた雑種のすみれ。
当然片親は前回同様通常のスミレに準じたタイプ。

コマガタケスミレ(奈良)の両親
コマガタケスミレ(奈良)の両親
もう一方の親もかなり普通のタイプのフモトスミレ。

コマガタケスミレ(奈良)
コマガタケスミレ(奈良)
花はやや小形の中輪。ほどよい花弁幅と均整のとれた顔立ちがたった一輪でもかなりの存在感
をもって語りかける。花柄及び葉の表裏には細かな毛がビロード状に生える。何と言ってもこの
すみれが魅力的に見えた理由は赤インクで染めたようなぷっくりとした距であろう。

コマガタケスミレ(奈良)側面
コマガタケスミレ(奈良)側面
この写真でその距がはっきりとご覧いただけるだろうか。
葉裏はフモトスミレの影響で強く赤紫色を帯び、微毛の密生で光沢がない。
葉形は先端鈍形の披針形、基部は円形~切形で翼が認められた。

今年はもう一カ所でコマガタケスミレとの出合いがあった。
おそらく教育等の目的で管理・育成されまとめて植え戻されたであろう株だった。
コマガタケスミレ(和歌山)両親
コマガタケスミレ(和歌山)両親
ここのコマガタケスミレに関しては上に記したように人為的要素が強く感じられた。
そのため、両親が直接に袖ふれ合うような近接距離にないばかりか、かなり離れた場所の
すみれを両親として推測するしかなかった。そんな理由で片親のスミレが明神型であろうと
分かっても、写真のように翼のはっきりした個体であったかは不明である。
もう一方の親であるフモトスミレは側弁無毛品でやや大型のフモトスミレ。


コマガタケスミレ(和歌山)
コマガタケスミレ(和歌山)
雑種には雑種強勢と呼ばれる性質が存在するが、ここまで花が密集して咲くのはまとめて株を
植え戻したとしか考えられない。事実、自然石で囲いがしてある場所もあったからだ。
しかし明神タイプのホコバスミレと距がぷっくりしたフモトスミレをうまくブレンドしたように見える。
ここで見られる花心が赤いタイプの側弁無毛品のホコバスミレとの交雑品が見られれば、それは
かなり美しいコマガタケスミレが出現するのではないかと推測される。

コマガタケスミレ(和歌山)株全体
コマガタケスミレ(和歌山)株全体
このように株が寄り集まって花をつけているので、小品ながらよく目立つ。
ただ観察時には少しピークを過ぎており、最も美しい鑑賞時期を逃した。

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