をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

オスとメスのあいだ ~雄化を探る~

今回は写真ではなく、文字の羅列による記事となります。
青字に関しては私自身の推論によります。

雄化を考える上で、まず考えられるのはホルモン、つまり内分泌異常でしょう。
「男と女のあいだぁには♪ 深くて暗い川があるぅ♪」 黒の舟歌は、そう歌う
しかし、生物全般で見てみれば我々の感覚を飛び越えて、オスからメスへ、
メスからオスへ容易に変容してしまうものも珍しくないし、そもそも単為生殖に
よって増殖し、オス・メスの明確な役割をもたないものも少なくない。

【ヒトと鳥類の性染色体とホルモン】

ヒト(哺乳類) 男(オス)XY、 女(メス)XX
鳥類         オスZZ、    メスZW
哺乳類と鳥類ではホモ、ヘテロの関係が雌雄で逆転している

哺乳類では精子が鳥類では卵子が性決定の鍵を握っていると
考えてよいだろう

また、鳥類の雌性生殖腺は多くの場合、飛翔に備えての軽量化
の意味合いからか左右不斉発育となり右側卵管、卵巣の発達は
発生の早い時期で停止し、左側卵巣・卵管のみが発達する
翼を持たない鳥、キウィでは両側の雌性生殖腺が発達する事実
はこれを裏付ける

鳥類は卵巣先熟による雌性ホルモン・・・エストロゲンによって
本来の性である雄化を抑制していると考えることもできる
つまり卵巣の退縮や卵巣の損傷は、たったひとつしかない雌性
ホルモン、エストロゲン産生能を低下させ、本来性の隠蔽作用を
失った結果、オス様外観を呈するようになる。

また、このような考えから性ホルモンの増減は様々な部位に
外観上の特徴を形成する。羽衣の形状、色、嘴の色として
表現される。エクリプスや雌の換羽、幼鳥の外観もホルモン
作用の一環として説明されても、何ら不思議はない。

従来から報告されているカモの雄化個体はマガモ属に多く
一定の外観上の特徴を有する。

○ 嘴の外観はメスの特徴を有する
○ 頭部はオスそのものかよく似た外観
○ 体部の羽衣は雌雄折衷ながらメスの影響が強い
  または、波状紋の羽縁が粗く太く黒くなったりする
  ものの、外観は個体差が大きい
○ 属の異なるオシドリでは、その外観から雄化個体
  との呼称は用いられず、雌雄中間個体との表現が
  用いられているようだが、オスの外観の嘴・雌頭部
  以外に明瞭に雄化を否定する要素は見られない。
  嘴の赤いカモのグループはやや特殊な傾向にあり
  他種との交雑がないなど、マガモ属とは単純に
  比較できない要素をもつものと考える。
  ちなみに雌化したカモの正式な報告は耳にした事
  がなく、雑誌 Birder 2007年11月号の叶内氏
  の「オシドリの雌化?」個体の記事くらいなので、
  その根拠が知りたいところだ。

以上の外観上の特徴に加え、性染色体W上の遺伝子
がヒドリガモ、ホシハジロの部分白化と強い結びつきが
あるものと考えられ、頭部周辺の部分白化個体を見る
と、これらの発現はメスに特異的に起こる。
逆に言えば白いアイリング、眼後方の部分的白化、喉
の白化は非繁殖期における雌雄判断に有用となる。

【雄化の原因】
1.狩猟による致命傷とならない卵巣の損傷による性腺機能喪失及び低下
実際に性腺切除で雄化することが確認されている。

2.老齢化によるホルモンバランスの崩れ
ネット上で参照できる瓢湖捕獲雄化オナガガモの剖検結果から、年齢差に
よるホルモンバランスの崩れは否定できるようだ。(年齢に関係なく発現)

3.内分泌攪乱環境の影響
a..一部の化学物質は性ホルモン類似物質として作用する

b.単位面積当たりの生活空間の過密によるストレス
 個人的にはこれらの影響が最も強いものと考える。
 ヒトにおいてもストレスはテストステロン産生を抑制し、
 精子数の減少やインポテンツの原因たりうることが
 報告されている。企業コンプライアンスの低下や役人
 の不正が従業員の立場を過度の不安やストレスに
 晒し、結果うつや一時的凶暴性を示す若年層が増加
 していることとも無関係でない。これらの改善が少子
 高齢化の改善に寄与することを認識してほしい。
 カモの場合、海ガモの淡水域への進出、ため池埋立
 等の理由による内陸水面の面積減少、大量餌付けに
 よる狭水域への集中飛来が多数派の陸ガモ生息に
 必要な個々の生活水面域の減少を引き起こしストレス
 となって、エストロゲンの分泌抑制、卵巣退縮に関係
 している事が強く疑われる。
 事実、雄化個体が多く見出される水域は瓢湖・不忍池
 など餌付け・餌やりの顕著であったところが多く含まれ
 この点では餌やり禁止に一理があると言える。カモ種
 においてはその存在個体数、集中飛来する傾向の強い
 ものに雄化が多いことも、これを裏付けるものと見て良い。



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