をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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カモの嘴

「カモにはオスも一時期メスのような外観になるときがあって、この時期の
羽衣をエクリプスと呼び、秋にはこの羽衣が残るものが多く識別が難しい。」
・・・そう考え、またこの辺りまでの知識なら大抵の鳥好きならご存じのはず。

しかし、変化するのは羽衣にとどまらず、嘴・虹彩・脚の色にも及びます。
え・・・それって、婚姻色?実はサギなどにも見られるものに似たことが、カモ
でも見られるので、ヒドリガモを例に見ていきましょう。

【クチバシの黄色いヤツ】
一般に用いられる言い回しで「クチバシの黄色い」とは物事の習熟など未熟な様
を表し、「オマエのようなクチバシの黄色い若造に、そんな口叩かれる筋合いなど
ない!」とワンマン経営の社長さんなどの口から聞こえてきそうなセリフとして、
耳にするのだが、これらはスズメ(目)などのヒナのクチバシが黄色いことに由来
しているものなのだろう。成長とともにクチバシは黄色から黒に変化していく。

ただ、カモの多くは黒っぽい嘴が次第にその種独特のパターン・色に「退色?」
していくものも多く、ハクチョウのヒナなどは赤と黒の混じった嘴が次第に黒や
黒/黄に変化する。鳥の嘴の多くはモノクロ型(白~黒)と有色型(黄~橙~赤)
で説明され、カモの場合にもこれらが単独あるいは複合して種独特の嘴模様を
形成し、前回記事で取り上げたような性ホルモン等の影響で、雌雄・成幼を識別
する指標になる場合がある。

【モノクロタイプ】
ヒドリガモ・アメリカヒドリ・オナガガモ・ホシハジロ・アカハジロ・メジロガモ・
キンクロハジロ・スズガモなど


トモエガモ・ヨシガモ・ミコアイサなど

【有色タイプ】
黄~橙系
コガモ・マガモ・カルガモ・オカヨシガモ・ハシビロガモ・ホオジロガモ・クロガモ・
ミコアイサを除くアイサなど

赤系
オシドリ・アカハシハジロ・コオリガモ・ツクシガモなど

黄・赤系
ビロードキンクロ・アラナミキンクロなど


モノクロタイプの内でも上段に示したカモは雄または雌の性ホルモンの作用で
黒色色素(メラニン色素)の消退するタイプと増加するタイプ(下段)に区分する
ことができる。また、有色タイプの嘴を持つものにも黒色色素がホルモン作用
で消退しベースの色が鮮やかに浮き出るタイプと黒色色素に隠蔽されて黒く
なる両タイプが存在する。

ヒドリガモの嘴は性ホルモンの作用で黒味が取れてコントラストが明瞭になる
方へとはたらき、性腺の未発達な幼鳥では嘴の色が暗色で先端黒色部との
境界が不明瞭となる。
繁殖羽に換羽中のオス
赤丸内の白い横線が見えるだろうか
この部分に白い横白線が見えればオスと判断できる。
雨覆に見えるこの白色部はエクリプスでも見られるオスの特徴。
ただし、翼のたたみ方によって、見えない場合も多い
青丸内の虫食い状の波状紋もオスを示すものだが、換羽進行が必要。
もう一点が今回のメイン・嘴。先の黒色部分が小さく灰色部分が明るい。

嘴先端の黒色部の大きさ・幅  メス>オス
嘴の灰色部分の明るさ 繁殖羽オス>繁殖羽メス>第1回繁殖羽幼鳥
               繁殖羽オス>エクリプス
嘴の黒/灰色境界明瞭度    オス>メス>幼鳥
                       以上のような傾向がハッキリある
※ ただし、アメリカヒドリとの交雑がある場合には多少誤差が大きい

これらのデータはデジタルカメラの画像から長さの比や長さ・面積も得られる
デジタルカメラの持つメリットのひとつExif情報を利用したソフトによる長さの
測定は、捕獲しての測定より安定して大量のデータ処理が可能。
また、被写体までの距離がExif情報になくとも、撮影フレームに対して概ね
大きな画像が得られていれば、同一条件で既知の大きさの物体を別途に
撮影することで対象物の大きさが得られる。(比例計算)
また、コンパクト・一眼のみでなく、デジスコにおいても使用機材の組合せ
から、理論計算・比例計算が可能である。光軸に対して直交する角度に
被写体を配置すると誤差は軽減される。

オスと同時期のメス
赤丸部分に灰褐色の鱗模様の雨覆が見える。
これがメスのひとまずの特徴だが、次の写真のような例外もある。
嘴先端の黒色部分は大きく、灰色部分がやや暗色。

オス第1回繁殖羽移行中
赤丸部分にメスの特徴の灰褐色の鱗模様の雨覆が見える。
青丸部分にオスの特徴である虫食い状の波状紋が見える。
首・胸に爬虫類の鱗を思わせる細かな羽があり、体側の羽の並びが揃う。
嘴はメスよりさらに暗色で、境界部不明瞭、嘴峰に黒い部分がある。
つまり、この画像はオス幼鳥、第1回繁殖羽移行中と考えられる。

メス幼鳥
メス幼鳥?2007年11月
これは更に嘴の暗色な個体。ほとんど黒く見えるものもいる。
羽における成・幼の判断はまだ苦手で間違っているかも知れない。
この個体は単独で痩せており、病気の可能性も否定できない。
ネットの画像を見る限り、ヒドリガモ幼鳥をヨシガモメスと誤認のケースがチラホラ。

メス若鳥
はっきりとは判断できないがメス若鳥の可能性のある個体。メス成鳥
極めて頭部の緑色光沢が強く、マガモ属の頭部は潜在的に緑光沢を放つ
表面構造をしていることが推測される。部分白化のメス同様飛来初期から
番形成している。

緑光沢メスのペア
上記メスのペアの休息状況。上記内容の確認をしてもらいたい。

【ホクロは消える】

歌手の千昌夫さんの額のホクロはもうない。
俳優の宍戸錠さんの頬のたるみももうない。

鳥の識別に安易にたったひとつのポイントで結果を出す方は意外に多く、野鳥の会の
ベテランの中からもしばしば見受けられる。
しかし、自然は常に変化しているし、エクリプスと繁殖羽で大きく外観の変化するカモ
などでは複数要素を同時に矛盾無く判断したいものだ。そのためにも普段から注意
して観察することは特に重要だと思う。
最初にあげた二行はそのことを伝えるための、メッセージです。
ヨシガモのエクリプスで嘴上の白いホクロが識別ポイントになると思っていませんか?
この白いホクロが現れるのは体側や肩羽の一部に虫食い状の波状紋が見られるよう
になってからのことです。消えるもので、年中あるものではありません。

ヨシガモエクリプスとヒドリガモペア
ヨシガモメスとヒドリガモペアの前ボケ
この写真で今日の内容をもう一度、検証してみてください。

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