をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

潜水ガモの生息域と分布

本日は、潜水ガモ・・・海ガモとも表現されるカモたちについての私観を少し

最近は図書館で調べモノをするより、ネット上の情報を参考にする機会が格段に
増加した。数時間前の北海道や外国での出来事が参照できるばかりか、専門書
にも記述されていない事柄が見られるようになったからだ。
依然として図書はその知見の出所が明確であり、信頼できる著者によって記述
されている場合が多いから、その重要性は以前と遜色ない。
しかし、それでもなおネット上のブログ・ホームページなどの記事に大きな興味を
抱くのは記事の鮮度もさることながら、埋もれた事実の発見が大きい。

一方、植物や動物の観察、自然保護活動において長い経験やプロフェッショナル
を自認しながら、既存の書物にありがちな通説を無批判に流布し続けている方も
少なからず見受けられる。 こういった方のまるで「コピペ」的行動や素人に及ぼす
影響の甚大さには落胆の念を禁じ得ない。
「赤信号で道路を横断してはいけません。」と教えながら、自らは左右も殆ど見ず
に赤信号で横断している親と変わりない。これは「青信号でも進行方向の安全に
注意して進行しなさい。」の行為に甘えた行動と言わざるを得ず、まことに身勝手
で、あらゆる状況を考慮した上で自らの言葉で誤判断を導き出しているアマチュア
の方が客観的に事実検証しやすいという点で数段好感が持てる。

【生息域について】
カワアイサ♂
カワアイサ♂幼鳥 2006年正月初旬 大阪狭山市

カワアイサが池にいる・・・こんな情報を野鳥関係の掲示板で知ったのは2005年末のこと。
当時、ミコアイサ以外のアイサはまだ見たことがなかった私はすぐに近場のその池を訪れた。
いるいる、岸に近いよく見える場所を時折潜水しながら泳いでいた。
しばらく写真を撮影し、面識のあるバーダーにも「ここにいますよ!」と教えたりしながら
池を一周した。・・・ともう一羽よくは似ているが違うアイサが見つかった。
ウミアイサ♂
ウミアイサ♂幼鳥 2006年正月初旬 大阪狭山市
見た途端に「アッ、これはウミアイサだ。」と思ってみたものの、掲示板にはカワアイサのこと
だけしか書かれていなかったし、初見ということもあって極めて自信がなかった。
その後、自分の考えた判断が正しいかどうか知るために大河川の中上流域にカワアイサを
見に出かけたり、海岸域にウミアイサを見に出かけたりするようになったのが、比較的遠方
まで鳥を見にでかけるきっかけだったのかも知れない。

夕暮れの2羽いるアイサ
2羽のアイサ 2006年正月初旬 大阪狭山市
これは夕暮れの水面の色を主眼にカモはシルエットとして撮影したものです。
しかし並んだ2羽の大きさや特徴が出ているので無理に画像補正しています。
この画像からも分かるように、大きな方がカワアイサで頚の部分で白/灰の
色がくっきり別れ、頭部の羽は逆立たず、嘴形状もやや違うことが見てとれる
のではないでしょうか。
後日掲示板に記事を書き込んだご本人が面識のある方で、詳しくその状況を
お聞きすることができた。その方は長年野鳥観察経験のある方で、昨年見た
雄化個体(ヒドリガモ)の判断では紹介された方のひとりだった。
残念ながら雄化個体については依然として誰からもお墨付きを頂いていない。
誤解されては困るが、その方が識別能力に欠けるというのではない。同じ鳥
を一緒に同時に見たのではないから。
しかし、もしカワアイサ2羽と判断したのなら淡水池にウミアイサは見られない
といった生息域の自己限定が原因だった可能性は高い。
簡単な図鑑しかもたずに鳥種を判断する際や何事も見た目の類似性だけで
判断する方は初心・熟練を問わず誤判断に陥り易い。
スズガモ、ホオジロガモなども内陸の淡水域にいることがよくあるので注意
して観察するに越したことはない。ただ、この池に多いカンムリカイツブリの
群れに混じってウミアイサが飛来したのは納得できるとして、カワアイサまで
2ヶ月以上滞在したのはかなり珍しいことだったと思う。
逆に陸ガモとも呼ばれる水面採餌ガモが海岸付近で見られるのはごく普通
のことだと言って差し支えない。塩分濃度の多い・少ないは彼らの生活を左右
する重大事由ではなさそうだ。

【分布について】
シノリガモ・・・北の方に行けば見られるカモ。・・・そう思いますよね!
実際東北や北海道では多数観察できるし、内陸の渓流部では繁殖も観察
されている。関東や中部などでも毎年見られる場所がある。
関西から比較的近い場所では愛知県・知多半島の太平洋側辺りは有名の
ようだ。 しかし、知る人ぞ知る内容かはいざ知らず。関西圏でも大阪の情報
はやや古いが例年観察されている場所がある。赤い★印

シノリガモ観察地
共通する事項は2級河川に準ずるような流域長が短く、大都市圏を貫流しない、上流部に豊かな
自然が残る河川の河口付近(1級河川も含む)
図鑑によって分布に関する記述は違うが九州北部までの全国を越冬地としているものもあるので
山陰、四国、九州でも見られる場所はあるようだ。

シノリガモ♂成鳥
シノリガモ♂成鳥 12月初旬 兵庫県

シノリガモ♂第1回生殖羽
シノリガモ♂第1回生殖羽 3月初旬 兵庫県
一昨年ころからここにシノリガモが出没している情報は掴んでいた。
しかしいつ頃行けばいいかは不明だった。幸い知人の情報やネットの情報分析で
複数回観察することができた。2月と3月では♂第1回生殖羽にかなり差が見られた。

その他のカモ2画像に続きます

クロガモ♀
クロガモ♀第1回生殖羽 2月中旬 兵庫県

クロガモ、ビロードキンクロも北のカモのイメージがあるが実際にはシノリガモと同じく
かなり全国的に目撃されている。
ただ遠くのスズガモの群れに混じっていることが多く、クロガモが多数いる場合には
同じ仲間のビロードキンクロがいることもある。大和川河口でも観察されている。
クロガモはあいにくメス単独であったが、画像のようにディスプレイ様行動をとったり
アサリを食したり、水浴び・羽繕いを披露してくれたりとサービス満点だった。


ヒメハジロ♀
キンクロハジロ♂の側を助走飛び立ちするヒメハジロ♂幼鳥 2月初旬 兵庫県

山間の大きな池に飛来してキンクロハジロと行動を共にしていた。
朝霧の向こうで浮き沈みするヒメハジロは♀だったけれど、とても印象的だった。
昨シーズン淀川流域に飛来したコオリガモといい、このヒメハジロといい通常ならば
関西圏などの西日本ではまず見られないカモだろう。確実にこれらのカモが見たい
ならば本場の寒冷地に出向くのが賢明だ。
でも時には地球温暖化の事実に反してこういった北方系カモの南下が見られる。
知人の情報もさることながら、長く多くのバーダー達の目を楽しませてくれたこの
ヒメハジロに感謝したい。
自ら「こんな鳥がこんな所にいるはずない!」なんて思いこむ必要はない。
鳥には羽があり飛ぶことができる。野生の鳥には国境も柵もないのだから。
箕面のコマドリや夏のキンクロハジロのように季節外れの鳥も結構いる。
かつてコクガンが近所に飛来した際、「誰がこんなところにクロアヒルを!」と勘違い
したことがあった。誰だって思い違いをすることはある。早いうちに修正しておくこと
が肝心だということだ。

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