をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

羽抜けと換羽時期

今日から11月、初日から冷たい雨が降っている。
常日頃、機会があれば探求してみたい内容に換羽がある。

「未見カモを推認する」記事で取り上げた内容と「ヨシガモ飛来」記事のメスの風切羽欠損が
見事に関連づいた。また偶然この時期に拝見した掲示板のメス・ジョウビタキ画像とある論説が
これら換羽にまつわる事象を合理的に理解するのに非常に役に立ったので記事にする。


まず、前回は記事に書くことがなかったビロードキンクロの分類に関する事柄
下線の呼称は便宜的に私が使用する和名なので誤解のないようお願いしたい。

ビロードキンクロの英名は普通Velvet scoterと記されている。
しかし、この英名では国外の方とのコミュニケーションにおいて誤解を生ずる恐れがある。
というのは、BOU 英国鳥類学者連盟は2005年の分類勧告3報で分類定義。 

ビロードキンクロ Velvet scoter Melanitta fuscaは独立種で国内に産しない
オスの嘴に黄色は出現しても赤色は出ない。白斑の出かたも異なる。

シロハネビロキン White-winged scoter Melanitta deglandi
亜種アジアビロキンM. d. stejnegeri が国産該当種となる事実である。
属名Melanittaメラニッタ はビロードキンクロ属を、種小名deglandiデグランディは仏動物学者の
Côme-Damien Degland コムダミアン デグラン博士の人名に由来
基亜種アメリカビロキン American White-winged Scoter M. d. deglandi
亜種アジアビロキン Asian White-winged Scoter M. d. stejnegeri の2亜種より
構成される。
亜種名stejnegeriは米動物学者Leonhard Hess Stejneger レナード ヘス スタイネガー博士
の人名に由来しスタイネゲリとなる。

Melanitta fusca fusca
Melanitta fusca deglandi
Melanitta fusca stejnegeri の以上3種をビロードキンクロとするのが国内分類。

またよく目にする画像をオスなのでは?とした根拠は

メスの白斑面積は大きく、ぼかしをかけたような輪郭に見受けられた
一方オスの白斑は大きくなく輪郭部がかすれたように見える印象

複数年にわたり7・8月期に陸上で風切羽を換羽する姿が目撃・記録されている

該当個体の嘴は全黒色でなく、一部オレンジ色っぽい部分があり、体色は黒っぽい

・・・というような外観特徴と換羽時期が繁殖期と重なる早期なことから推定した結果。
このように推定を行う場合に注意しなければならないことに、予想される該当時期の画像と
比較対象個体の画像とを見比べることにある。
往々にして見受けられる雌雄判断の誤りは繁殖羽の画像を非繁殖羽の画像と見比べる
初歩的な誤りから発生しているからだ。

羽ばたきしても羽軸しか見えない
羽ばたきしても羽軸しか見えないメス

羽は生えていなくても、体部が濡れたら羽ばたきをするのは興味深い
風切換羽中のカモの逃避反射が飛び去りから歩き去り・泳ぎ去りに変化するのを知っている。
雛の幼綿羽時期の羽ばたき動作も濡れると反射的に行われるので、面白いと思う。
ただ右側初列風切は伸び始めている。左側は依然羽軸のみ。ここでも左右不斉の換羽だ。

【羽抜け】
「ヨシガモ飛来」記事で取り上げた風切羽の欠損したヨシガモ・メス
これと同様の現象を偶然ある掲示板で見つけた。それはジョウビタキのメスの観察例。
場所は舳倉島とのこと。
掲示板に貼られた時期の異なる写真を見て、直感的に表現は違えど同じ現象と感じた。
それは白斑のないジョウビタキというタイトルだったからです。
一昨年も目撃されたとのことで、報告者は同一個体と考えておられる様子でした。
しかし、秋に目撃後見失い春にまた目撃したという説明から、換羽の一時期・白斑の
見えなくなる個体を同一個体と認識できず見失った可能性を考えてみました。

また、黒田長禮博士が
日本鳥学会誌 「鳥」昭和12年6月 第9巻44号「コガモ1千餘羽による趨異の調査」と
題する論説でこの件に触れられ、マガモ・コガモで早い秋にのみ目撃したと記述されて
おられます。 理由は初回繁殖の母鳥が子育て後に秋冷が迫り、慌てて渡りをしたのち
越冬地到着後に換羽したからと推測しておられるのに、感激、同調しました。
博士はこの論説のなかで緑色光沢を有するコガモ・メスにも触れられているので、是非
ネットで一読すべき優れたカモ関係資料であると思います。

三列風切伸長の様子
三列風切伸長の様子

PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。