をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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スミレハンドブック

sumire-handbook
バードウォッチング月刊雑誌「BIRDER」で知られる文一総合出版のハンドブックシリーズ。
このシリーズは野口さん一枚とコイン一枚程度の価格で、ユニークな視点で解説された
図鑑が手に入ることが特徴で、「海辺の漂着物ハンドブック」といったものまで存在する。
山と渓谷社のハンディ図鑑シリーズと並んでネイチャー愛好派には魅力あるシリーズ。
ただシリーズ全体に統一された基準で編集されているわけでなく、内容の充実度は著者に
依存する部分が大きく、上位のハードブックを凌駕する内容のものから初心者用途にも
不足するものまで様々。

日本に自生するすみれは草本に限られ、種類は世界的にも豊富な部類に属する。
また身近に見られる普通種ほど変異の幅が広く、その種を正確に識別するには豊富な
フィールド経験と栽培で得られるライフサイクルに関する知識等が不可欠となる。

このハンドブックの構成はかなりの部分が色再現に配慮した新しい写真に依存している
ので、基本種には1ページに、亜種・変種・品種に関しては株全景と特徴的な花もしくは葉
の半ページ写真に解説が統一配置され種の分類や位置がわかりやすい。
また巻頭の花色検索には白・黄・紫の分類しかないものの、いがり氏版「日本のスミレ」の
弱点である外来種・園芸種の代表種を含んでおり直感検索しやすい。

分類の内容的には旧来の「節」という分類を用いず、いがり氏が用いた「類」という分類で
キスミレ類以下13類と外来種に分類、トウカイスミレの扱いもいがり氏図鑑に同じ。
ただ花柱のクローズアップやタイプ標本に拘ったいがり氏と違い、コタチツボスミレは九州
の一部地域に限定した記述としていないところは、旧来の傾向を踏襲。
ナガバノタチツボスミレの花期が4下~5中と誤植と思える遅いものになっているほか、
マキノスミレの株全景及び葉の写真にコンピラ型斑入り葉の写真が用いいられているなど
細かな点で不満はあるものの総体的にはよく構成されていると感じる。

限られたスペースの構成上、変異品・交雑種・閉鎖花の解説は大幅に簡易・省略されている
ものの、フィールドジャケットのポケットに入れて持ち運べる携帯性の良さから常に携行し
現物と見比べるという用途には向いている。
ただ、どのような図鑑にも言えることだが、このような図鑑を足がかりに実際に野外に出て
多くの実物を見た上で自分なりの種に対するイメージを構築していくことが大切で、完璧な
図鑑を持っていれば全ての対象物を同定できるようになるわけではない。

個人的にはこのシリーズに沖縄のスミレ、九州のスミレ、四国のスミレ・・・といった地域
限定の特定種シリーズや気象光学現象の写真図鑑、カモ識別ハンドブックなどが出てくれる
ことを期待して、今後のこのシリーズの隆盛を願う。

当の文一総合出版の書籍紹介ブログにも未だ紹介記事が掲載されていないのだが、興味ある
分野なのでエントリーすることにした。

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