をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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いわんやカルガモをや

カルガモはほぼ日本全土で見られ、北海道で夏鳥の傾向が強いものの、唯一日本の身近な
場所で繁殖し、冬以外でもごく普通にいるカモの代表と言えるでしょう。
なのになぜ、オスとメスが区別できず、幼鳥と成鳥は更に区別しにくいのでしょう?
それは、きっと他のカモのように冬のオスの外観に鮮やかな羽衣を持たず、夏も冬も似た
印象だからでしょう。

以前、外国のカモ関係の書籍をチラッと見た際にマガモ近縁種の分類方法のタイトルに
東洋のマガモとされていたように思います。これは、カルガモの分類上の位置関係を知る
上でよく考えられたタイトルだと感じました。
マガモは世界中の特に中緯度付近では普遍的に広く分布しているカモで、オスの繁殖羽で
非繁殖羽と明瞭な差があるのは、マガモぐらいで他の近縁種にはカルガモと同様、前述の
時季による大きな羽衣変化がありません。
その原因のひとつではないかと思われる要素に繁殖地と越冬地との移動距離の長さが挙げ
られるのではないかと考えています。マガモが越冬する地域帯は温暖で冬場の陽射しは
どちらかというと強烈な部類には属しません。恒温動物では南方種より北方種が明るい
色彩を呈するグロージャーの法則を反映した結果とも言えそうです。南方種では強い陽射し
から身を守るメラニン色素が増加するため黒っぽくなるというものです。ヒトも鳥も一部の
鳥ではこの法則がよく当てはまります。シジュウカラなどがそうですが、クロサギが南方の
種で白色型が多いのは珊瑚質に由来する磯環境の物質反射率に対応したカモフラージュ効果
説があるので一概に全ての種であてはまるものでもなさそうです。

カルガモ  Anas poecilorhyncha zonorhyncha  アナス ポエキロリンカ ゾノリンカ
基亜種 poecilorhyncha ポエキロリンカ アカボシカルガモは3亜種知られるカルガモ中
最も東方のインド周辺に、別亜種 haringtoni ハリントーニ ビルマカルガモは中間の
東アッサム地方からミャンマー、北は中国雲南、東はラオスに分布するやや小型種からなる。
英名はSPOTBILL もしくは Spot-billed Duck で 基亜種は INDIAN SPOTBILL 別亜種は
BURMESE SPOTBILL 及び 日本等にいる亜種カルガモ CHINESE SPOTBILLとなる。
国内においては北海道などを除き、留鳥として扱われるが、他の留鳥として扱われる鳥の
多くがそうであるように、同一箇所にとどまるものはむしろ稀で、一定の範囲を移動する
漂鳥あるいは北方の個体が南方に移動する渡り性のものが多い。
私が日頃観察している百舌鳥古墳群内のカルガモも秋季から春季を除く夏季においては他
地域へ移動あるいは隣接農耕地に移動繁殖するものと考えられ、激減あるいは姿自体を見る
ことができなくなる。

【カルガモの雌雄識別は困難か?】
この点については見る者の関心度の高さや観察時期、観察経験、マガモ系血統の有無
(つまりマガモやアヒルなどとの雑種の事実)などで大きく異なると言ってよい。

カルガモ今年3月中旬の雌雄成鳥
カルガモ雌雄繁殖羽
繁殖羽をまとった雌雄では体格差(一般にオスが大きい)、体色差(オスが濃色)、嘴先端黄色範囲
等で他のカモ同様雌雄は見分け易い? この画像では右側にいるのがメス。

単に色味だけでなく後方から見た尾筒の黒さでもオス・メスに差があります。
カルガモ成鳥嘴の底部
カルガモ成鳥嘴の底部
前回記事のコメントで触れた嘴の裏側基部方向は成鳥では黒いか、ほぼ黒いのが普通です。
尾羽外弁の白色部は狭いものが多くオスがやや広いとされますが、この画像のようにメスの
白色が強いこともあり、三列風切外弁の白色帯の太さ同様雌雄識別には無効です。
この画像ではメスは左側、今年3月中旬

飛翔中の体下面も明らかな性差を認めることができます。
飛翔中カルガモ成鳥の体下面
上がメス、下がオスですが、オスの翼付け根から下方は全体に黒っぽいのがわかる。

オスだけを見てみると・・・
カルガモオス成鳥体下面
タヌキがいつもいるイタスケ古墳の落ち橋に飛び上がるカルガモオス成鳥。
胸から下が明らかに黒っぽいでしょう。

若いオスはというと・・・
着水するカルガモオス推定第一回繁殖羽
尾筒付近は黒っぽいものの腹部までは黒っぽく見えません。

続きはまた明日に・・・

昨日の続きで

メスの飛翔
飛翔中のメス。 尾筒付近のみが黒っぽく見える 3月中旬

体下面に注目してもらったが、背側もオスは随分と黒っぽい
オス成鳥の羽ばたきと上尾筒・腰
上尾筒・腰・翼間の肩羽の隙間まで黒っぽい 3月中旬 光沢があり時に緑色光沢を帯びる
このため、前にも図鑑の間違いを指摘したが、カルガモのメス画像がオス画像として
「日本の鳥550 水辺の鳥」4枚目画像に扱われている。

昨日挙げた成鳥の嘴の裏側が黒かったのだが幼鳥では
羽繕い中のカルガモ幼鳥
雌雄共に嘴の裏側が見えているが、基部も黒い部分はない

カルガモ成鳥の雌雄を判別するには
肩羽や雨覆、脇羽の羽縁の淡色部と軸斑の明瞭な対比が見えるのはメス
全体に黒っぽく見えるのはオスであることが多いので、薄目を開けて見た際に体後半が黒いのはオス
成鳥オスの嘴先端黄色部は下縁の1/3程度、メスは1/4程度であることが多い
ペアと見られる2羽が並んでいる場合には大きい方がオスである可能性は高い

また幼鳥と成鳥で色が異なる部位には
嘴の黄色部分が成鳥より狭く、境界が滲んだようにぼやける傾向がある。
脚の紅色度合いが幼鳥で低く、ややピンク味を帯びた鈍いオレンジ色。
オスの黒っぽさは成鳥ほどくっきりしておらず、羽縁はメスのようにやや目立つ。
肩羽、雨覆等の羽縁は成鳥メスほどでなくとも、メス幼鳥がオス幼鳥より明瞭。

カルガモの雌雄・成幼が理解できればその識別方法はかなりの鳥種に応用できるはず。
私が記したことは山階鳥類研究所の杉森らが1989年に報告した研究報告と重複する部分が
多く言い換えただけに過ぎないかも知れない。しかし、黒田博士が雌雄の違いを挙げたにも
関わらず近年の図鑑では全て雌雄同色としているのには納得がいかない。
どうか、身近なカモ、カルガモから多くを学ぶことのできる方が出てくることに期待したい。
機会を見て、実際の画像から雌雄を判別したり、他種の血統がどう影響するかも考えてみたい。

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