をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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いけすず、いけあいさ、いけほおじろ

通常の生息域は海上沿岸域ながら、状況によって内陸部で見られるカモがいる。
ヤマ・・・、ウミ・・・、カワ・・・と名のつく鳥名は多いが、どういうわけか
標準和名にイケ・・・と名の付く鳥を知らない。 英名であれば Pond Heron
アカガシラサギ属のサギなどに用いられているのだが。

今回取り上げるカモはスズガモ、ウミアイサ、ホオジロガモにカワアイサを加えた
通常は内陸部の池で見られることのないカモ達の池生活から見えるものをご紹介。
この冬は内陸の池で見られる海のカモ、川のカモが多いように感じるから。

【スズガモ編】
スズガモが時として内陸の水辺で観察されるのは、関東や信州等地域によっては
珍しくはないが、我がフィールド近辺では数年に一度程度の珍事です。
そのため、カモ観察を始めた当初は内陸域のスズガモ観察記録はほとんどが誤認
つまりはキンクロハジロの冠羽が見えないもの、嘴基部白斑の目立つメスの誤認
記録だと考えていた。 しかし、長く観察していると特定の水辺や環境によっては
特に幼鳥の記録が内陸池でもあることがわかってきた。

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スズガモ幼鳥の群れ、多い時には50羽弱いた。大阪南部河口域 2012年1月初旬

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左奥のホシハジロのメス以外はスズガモ幼鳥の雌雄各2羽 大阪南部池 2012年1月初旬
左側2羽がメス、右2羽がオス。 下の画像より換羽が進行して虹彩も明るくなっている。

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スズガモ幼羽3羽、左オス、中・右メス 岸和田市久米田池 2010年10月下旬
オスの背には波状斑が出現しつつあり、耳羽上と嘴基部両側に淡色斑が見える
メスの頭部はオスより丸味があり、嘴基部の淡色斑は嘴基部上でつながる。虹彩は暗色。

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左メス、中・右オス。 中のオスは嘴基部の淡色斑が消え、耳羽上斑が薄く残る。
大阪南部池 2012年1月初旬 右のオスは嘴峰の黒色が残存し、先端黒色部はメス同様広い 

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メス幼羽から第1回繁殖羽移行中 大阪南部池 2012年1月初旬
腹部のパターンは白味が増しているものの、幼羽の特徴を示している、嘴基部白斑も明瞭に

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オス幼羽から第1回繁殖羽移行中 大阪南部池 2012年1月初旬
頭部の角ばった形状はオスの特徴。 多くの鳥でオスの頭部形状はメスより丸味に欠ける。
嘴基部の白斑が消えると頭部は黒味を増し、やがて緑色の金属光沢を帯びる。 羽衣も徐々に
オス成鳥の外観に近づくがやや褐色味が残る。嘴の黒色部、虹彩の金色味はオス成鳥と異なる。
雌雄繁殖羽は図鑑に掲載されているので割愛した。
キンクロハジロと似ていると思われがちだが、大きさや各部の色・形、換羽過程はかなり違う。
よく観察して誤認のないようにしてもらいたい。

【アイサ編】
琵琶湖などの大形湖には毎年多くのアイサ類が見られるが、内陸の池で通常よく観察されるのは
ミコアイサぐらいでカワアイサ、ウミアイサの飛来は稀だろう。少なくとも近辺では珍事なのです。

気をつけなければいけないのは、下のようなオス成鳥繁殖羽でなく、メスと思われるアイサが飛来
した場合です。
図鑑や観察記録にはオス幼鳥をメスと誤認している例が多数見られます。
近年は世界的希少種と言われるコウライアイサの観察報告が各地で相次いでいます。
2010年12月に神奈川県SAG川で観察されたコウライアイサはメスと考えられた。
写真を見るかぎり背が黒い、初列風切が黒い、雨覆の白色部が広い(コウライアイサの白色部は
他のアイサと異なり成鳥では雌雄ともに小・中雨覆に及ぶが幼鳥ではその部分が痕跡程度)など
からオスではないのかと考えていたところ、翌年の神奈川野鳥の会支部報でオスとの報告があった。
そして、昨年また神奈川SAK川に出現したコウライアイサはオスであったが前年と同一個体と
考えられ、体側の肩羽に見られる太い白縦線~翼基部が灰色で成鳥の黒色と異なり、嘴先端の黄色
も見られないなど2Wと考えるのが妥当な外観であった。
ネットの画像のみで簡単に判別できるほど迅速に細部が見られるようになったのだから、なんと
2年続けてメスとオスが見られたなどと勘違いするのは苦笑するしかないが、こんな人が実に多い。
2008年2月の佐賀県出現コウライアイサや山渓ハンディー図鑑7「日本の野鳥」2版の宮崎県
撮影2月個体は同様にオス幼鳥と判断できる。 せめて先行する観察事例に学んでもらいたい。

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カワアイサ オスの飛び立ち 国産アイサ最大種で潜水採餌ガモということで軽いコガモとは離水に
要する時間が大きく違う。 奈良県の公園内池 2012年1月初旬
奈良県は海に面していない県ではあるが、ホオジロガモ始め、この公園の池や古墳濠にはアイサの
飛来記録がある。

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ウミアイサ オス幼鳥 2005年12月下旬 大阪狭山市
このウミアイサとの遭遇が私にとっての初アイサだった。当時は野鳥の会掲示板でカワアイサ♀2羽
との書き込みがあった。

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上と同日・同個体の羽ばたき デジタル非対応のレンズ・逆光のためかなりソフト補正しています
小・中雨覆にも白色帯が出現しておりオス幼鳥と判断できる
「カモ ハンドブック」文一総合出版のウミアイサ♀画像もオス幼鳥です。 体側後部に波状斑出現。
背が黒っぽい、冠羽が後頭部に及び長め、顔側面の目より上がこげ茶色っぽい個体はオス幼鳥を疑う
必要があります。

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カワアイサ オス幼鳥 2006年1月下旬 大阪狭山市
ウミアイサ オス幼鳥と一時は同所で見られたカワアイサ。これも最近になってオスだったと見直しで
判明した。
肩羽中央付近に黒色羽が出現し、喫水線辺りに白色羽が見られ、目先から顔上部がこげ茶色味を帯びる

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上と同日・同個体の羽ばたき ウミアイサに同じく小・中雨覆にも白色帯が出現している
ピントの合っている右翼よりアウトフォーカスの左翼の変化がそれとわかり易い
「カモ ハンドブック」文一総合出版のカワアイサ♀画像もオス幼鳥です 理由は同じ。
実に♀アイサ3種の画像すべてがオス幼鳥画像と考えられます。

ホオジロガモ編に続きます

【ホオジロガモ編】
このカモも前2種同様大阪湾の沿岸部では少なからず見られるカモですが、内陸部池への飛来と
なると例数が極めて限られます。吹田市と豊中市の公園池には例年飛来するオス成鳥が知られて
いますが、他の場所ではかなり稀です。
最近ネット上の画像で嘴が橙色のホオジロガモがキタホオジロガモではないかとか、メス幼鳥か
といった書き込みを比較的多く見かける。私自身、以前はこのタイプのホオジロガモをメス幼鳥と
判断していたが、その後の観察やネット上の画像から判断違いに気づいた。
ホオジロガモのオス成鳥繁殖羽では虹彩は金色・嘴は黒い・足は朱赤色でハシビロガモオス成鳥と
同一パターンであることが分かる。ハシビロガモのオス幼羽時点の嘴は橙黄色で徐々に黒味を帯び
てくるがホオジロガモのオスも同様と考えられる。一部のオス幼鳥画像には嘴基部に名の由来である
白斑が出かけているのに嘴は橙色味を帯びているものも見られる。

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まずはホオジロガモメス成鳥2羽 嘴は嘴爪が明瞭に黒くそれ以外の先端は橙黄色、その後基部に
かけては黒く境界部はクッキリと色が分かれる。虹彩は黄白色で金色虹彩と白色虹彩の雑種ガモと
同程度の色。 2009年2月下旬 兵庫県甲子園浜

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ホオジロガモ メス1W 2006年2月下旬 兵庫県甲子園浜

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ホオジロガモ メス成鳥と1W(左) 2009年2月下旬 兵庫県甲子園浜
嘴の橙黄色が淡色で境界部不明瞭、虹彩も成鳥の黄白色より暗色

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カニを捕らえて海面上で食べるホオジロガモオス成鳥繁殖羽 2009年2月下旬 兵庫県甲子園浜

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オス成鳥繁殖羽とオス1W 2007年2月初旬 兵庫県甲子園浜
2年目程度の成鳥の足は幼鳥同様灰色味を帯びた黄色をしている

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オス幼羽から第1回繁殖羽(1W)移行中 嘴は橙色味を帯び、金色虹彩は鈍い
オスの頭頂ピークは目の後方にあり前方に存在するメスとは形状が異なる
背から初列風切は黒く、胸は白っぽく見える 2007年12月初旬 奈良ウワナベ古墳

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ホオジロガモ オス成鳥繁殖羽の羽ばたき アイサ類と同様パターンで翼白色部は小・中雨覆に
達する。 メス成鳥の白色部は次列風切・大雨覆・小・中雨覆と黒線で明瞭に区画される。
                         2009年2月中旬 兵庫県甲子園浜

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オス成鳥はコートシップ(求愛)時に特徴的な後ろにエビ反りするディスプレイを行う
                            2007年2月下旬 兵庫県甲子園浜

内陸の池で過ごす理由はよくわからないが我々でいうところの湯治のような役割なのかも知れない。
メス様外観の潜水ガモを見たら2月・3月であってもオス幼鳥の可能性を念頭に観察されたい。

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