をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

ビロキン、やはりオスでした

多くの方に愛想を振りまいた甲子園浜のビロードキンクロ。
やはり当初よりの予想通りオス幼鳥の判断で問題なさそうです。

今後オスの片鱗を漂わせた嘴の色変化、虹彩の淡色化、アイリング出現、
頭部の白斑縮小等の外観変化が期待できます。
まだご覧になっていない方やどの辺がオスの前兆なのか?といった疑問をお持ちの方は
大阪湾北部の波の穏やかな日で、なるべく午前中の早い時間帯に観察されることをお薦め
します。 波が強いと消波ブロックとの衝突を避けるためあまり近づきません。また午後
は逆光のため細部の観察がし難くなります。 なにより好天の日は観察者も気持ちいい
ですからね。

カモは生後最初に見た動くものを親だと判断して追随する性質があります。
これを刷り込みと言いますが、我々も似たような先入観にとらわれることがよくあります。
今回見られたビロードキンクロも多くの方がその外見からメスと判断しているため、メス
としていない私などはどちらかというと変人、異端の部類です。
図鑑にはメスの頭部には目先と頬に2つの白斑が存在し、嘴は黒いと記されています。
本当にそうでしょうか?
スズガモ属の幼鳥を見た経験や雌雄の頭部骨格差を目にしてきた私にはこの記述がとても
気がかりでした。
それで図鑑の記述を全く無視して、オス成鳥繁殖羽以外の画像の特徴をある観点から二分
してみることにしました。 雌雄推定で当たる確率は1/2などとポケモンいやアテモン
(当て物)の世界ではないのですから(^^ゞ。

その結果外観から成鳥羽と判断できるメスの嘴は黒一色ではなく、時には頭部無斑である
ことも判明しました。明瞭な白斑を有する個体は雌雄共に未成鳥でした。
また、甲子園浜で見られるビロードキンクロの近い将来の画像が北海道海鳥センターの
ブログに掲載されていることがわかりました。
海鳥日記  2009-11-19 にある保護鳥がそれです。
北海道海鳥センター 学芸員Hさんは保護時の画像や個体の雌雄判定の根拠について親切
に返信いただき、最終判断に重要な情報を提供いただきました。(直接に雌雄判定を依頼
したわけではなく、保護鳥の雌雄について教えて頂いただけです。)

以下の画像及び説明は1月31日に追記したものです。

birokin
27日午前に撮影した最近のビロードキンクロ、その後近くへ来ず沖で採餌とのこと
嘴前方部がやや淡色になり、嘴爪後部の縁取りが増加した他、背の黒色羽部分も増加。
足色も暗灰色から黒味を帯びたピンクの足になりつつある。


explain

上で記述したある観点とは頭部形状それに額と嘴端を結ぶラインに着目したもの。
その結果オス幼羽から翌々年の夏の羽(非繁殖羽)程度まではオスの嘴には瘤がないことを
確認できた。また瘤が将来的に出来る場所にはV字形の平坦部があるのに気づいた。
以前コメントで瘤の存在がオスの証と指摘頂いたMさんの石川県撮影?ビロードキンクロは
他の方の画像も参照できるが、メス第1回繁殖羽ではなく羽衣外観からメス第2回以降繁殖羽
のように思える。同様に北海道野付で撮影されたメス死体も第2回以降個体でしょう。
メス幼羽から第1回繁殖羽の腹部は意外に暗褐色をしている。
頭部形状はスズガモ等、頭部形状に明瞭な雌雄差のあるカモでは嘴基部に左右に分離した白斑
を持つことが多く、その経験を応用した。 オスでは目の真上かやや前に頭頂部が存在するが
メスでは明らかに目の後方にピークがある。オスの頭部は角張っているため頚を伸ばした際に
頭頂部が直線状に見える場合もある。それに比べメスの頭は丸味があり額前の延長線からは
嘴前半部が突き出て見えるが、オスの延長線は嘴爪方向に直線的で嘴はそのラインを超えない。

juv-1w
「日本の鳥550」の3画像目♀はメス1W、2画像目♂幼鳥はメス成鳥だと思われる。メス成鳥は
摩耗により羽縁が淡色となりかなりバフ色味を帯びる。非繁殖羽の摩耗も同様で顔の白斑が出現する。
新羽時には白斑は目立たずほぼ黒く見える。この画像はデーライトフィルムで朝か夕方に撮影された
ために黄色っぽく写っているのだろう。メスの嘴にも赤や黄色が出現し瘤が小さくあり、時に虹彩も
灰白色であると黒田長禮氏の「雁と鴨」及び「鳥類原色大図説」にある。
現在福岡市に出現しているビロードキンクロも換羽進行が甲子園浜個体より進んだ1Wでしょう。

2w
山渓ハンディ図鑑7「日本の野鳥」の成鳥♂は問題なく3W♂。2枚目の若鳥♂は2W♂。3枚目の
若鳥♀は1W♂でこのページに♀の写真はない。1月に八丈島で記録されたビロードキンクロは
♀2Wでしょう。

fa-1wmale
注意すべきオス幼鳥と成鳥メスの混同。頭部形状や嘴形状・鼻孔位置から嘴の色だけで雌雄を
判断すべきではない。 2月4日画像再編集。

以上が私が考えるビロードキンクロ雌雄の外観推定図です。
私がビロードキンクロを実際に見たのはこれが初めてです。なのになぜこんな判断になるのか?
疑問に思われる方も少なくないはず。 実のところ私の想像図通りの雌雄外観であるなら国内・
海外を問わず雌雄の判定を誤っているものが大半です。普段よく見ている北海道のサイトの
アラナミキンクロのメスや黒田長禮氏の「雁と鴨」のしんびろうどきんくろとあめりかびろうど
きんくろのメス幼鳥写真も誤りということになり、まるでビロードキンクロ属の見方が変わる
可能性のあることです。最初は背筋が寒くなりました。 単純に私の判断が間違っている・・・
そう思うほうがずっと気が楽です。

今回は一応自分の中で雌雄判断が終了したということだけで、直接の根拠となった海鳥センターの
保護鳥がオスと解剖学的に同定されたわけではありません。
ですので、この記事をご覧になって雌雄の確定しているビロードキンクロの頭部形状や額ラインが
私の判断と異なると確信の持てる方はぜひコメント頂きたく思います。

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