をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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ニシこそオジロビタキ

まずは現在大阪に滞在中のオジロビタキ2羽

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昨年末から堺市内近所の公園に滞在中のニシオジロビタキ第1回冬羽

parva-1w-osaka
堺市の個体と同時かやや遅れて見つかった大阪市内のニシオジロビタキ第1回冬羽
右の足趾に障害があるのか十分開いていない。そのせいか枝上で座り込んでいることが多い。

【オジロビタキの分類】

日本鳥学会発行の「日本鳥類目録 改訂第6版」では日本に渡来するオジロビタキは
Ficedura parva albicilla (Pallas,1811)フィケデュラ パルワ アルビキラ
英名 Red-breasted Flycatcher レッドブレステッド フライキャッチャー の一種
のみで他の亜種は記載していない。

学名の読みをフィセデュラ パルバ アルビシラとするのは英語圏での自国語読みで
カエサルをシーザーと読んだり、韓国の元大統領 金大中 氏をキム デジュンと
せず きん だいちゅう と読んでいたのに等しく、好ましいことではない。

ところが雑誌Birder 12巻9号 1998年9月号で森岡照明氏は
「新しい識別の試み 第17回」で亜種の識別に触れ、鳥学会も山階鳥研も亜種分類はして
いないが分布記載から亜種については同見解と思われるとしている。
旧分類ではオジロビタキには3亜種存在したが、明らかに外観上の違いが認められるカシミール
ヒタキ(カシミールオジロビタキ)が独立種として分離され
基亜種Ficedura parva parvaと亜種F.p.albicillaに2分されたいきさつと
その識別法を多くの写真と共に4ページに渡って解説している。

同じく雑誌Birder 22巻5号 2008年5月号で茂田良光氏は
「オジロビタキの分類、最新情報!」で上記2亜種は独立種として扱われるようになった
(Svensson et al. 2005) ことを記載し再度両者の相違について述べている。
独立種として扱った場合
オジロビタキはF.parva 英名 Red-breasted Flycatcher
F.albicilla 英名 Taiga Flycatcher の2種に分離される。

更に同じく雑誌Birder 25巻6号 2011年6月号で大西敏一氏は
「オジロビタキの謎 ~ヒガシとニシ、多いのはどっち?」で鳴き声の違い及び
両亜種の渡来状況について触れており、実際に多かったのはニシオジロビタキであると
報告している。またF.parvaが積極的に日本で越冬するとは考えにくいとの
Svensson氏の書簡から第3の種か雑種の可能性もありうるとしている。

以上の資料は比較的入手しやすく参考にした上で今冬のオジロビタキの渡来状況から
自分なりの識別点や問題点をまとめてみた。

table-ficedura-appear

※ 観察例数番号の背景が灰色のものは自身で直接観察したのではなく、web画像等で判断
※ 観察の初認・終認は公式なものでなくおおよそ見られた期間。2値併記でないものは撮影月
※ a/pはオジロビタキ、ニシオジロビタキの種小名の略、ここでは独立種として扱う
※ 雌雄・齢のAWは成鳥冬羽、2Wは第2回冬羽の略

資料を元に判定したオジロビタキの出現率は1/14と極めて少ない。
私の判断間違いもあるだろうが、オジロビタキが出たといえばニシオジロビタキ第1回冬羽である
と考えてもあながち間違いといえない高い出現率を示す。

【オジロビタキ(ヒガシオジロビタキ)】albicilla1
2008年岸和田市 オジロビタキ第1回冬羽
嘴に肉色・橙色味が少なくほぼ黒い。中央尾羽の黒味より最長上尾筒の黒味が強い。
三列風切羽軸終端に白っぽい淡色斑が見える。大雨覆先端が淡色で白色帯に見える。
鳴き声がそれまでに見たオジロビタキより連続的で明らかに異質であった。
等の点からそれまでに見て知っているオジロビタキから、これこそがニシオジロビタキだと
考えていたが後日実はこの考えが正反対であることを知ることになった。

albicilla2
この角度でも下嘴に橙色味は見えない

albicilla3
腹面にはバフ色味がかなり少ない

albicilla4
この画像では下嘴基部に明らかな肉色味があり、腹面全体がバフ色に見える

albicilla5.
真横から見ても下嘴基部の橙色味は目立たない。目先と目横の頬が赤褐色
以上が数少ないと思われるオジロビタキ画像

【ニシオジロビタキ】
parva-male-adt
ニシオジロビタキ オス成鳥冬羽 徳島県 2007年3月

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上と同一個体。姿勢によって喉の橙黄色は広く見える

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ニシオジロビタキ 第2回冬羽 三列風切の羽縁淡色はまだ認められ、頭部羽衣のガサガサ感
も残存している 2009年1月 兵庫県

parva-difference
ニシオジロビタキ成鳥メスと第1回冬羽の違い
1.頭部羽衣・・・若い個体にはドレッドヘアか大仏様の螺髪のようなザラザラ感がある
2・大雨覆の羽先淡色部が白線状に見えるのは若い個体
3.三列風切羽の羽縁特に外弁側が淡色の縁取りに見える、羽軸終端が白点状に見えるのは
  若い個体
以上のようなポイントから幼鳥であると判断できれば、雌雄の判断は不可能。
オジロビタキよりニシオジロビタキの換羽は遅いとされ、生後翌年の夏羽を待たないと雌雄
判断できないとされている。

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ニシオジロビタキ メス成鳥 2008年11月 堺市
上で取り上げた点を元に見てみるとメス判断を支持していただけるのではないだろうか?

フィールドで可愛いしぐさのニシオジロビタキを見ていると心和むものであるが、一般には
オジロビタキに対する理解が進んでいないだけに様々な誤解が聞こえてくる。
ミルワームで餌付けする事自体はどうこう言う気はないが、若い鳥の雌雄判断が出来ない事
くらいは覚えておいて欲しいと思う。

最近出版された図鑑はほぼこのオジロビタキ亜種の存在に触れており、徐々に一般への認識
も浸透しつつあるように思えるが、分類に関しては「日本鳥類目録 改訂第6版」の制限を
受けており、一刻も早く第7版を世に出し、現状との齟齬を解決してもらいたい。
また、両種の詳細な分布が早期に解明されることに期待したい。


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