をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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山階アカハジロ標本

nyroca-hybrid
メジロガモとアカハジロの雑種オス(左) 大阪南部2012年10月下旬
右のホシハジロのオスより一回り小さく、双方成鳥ともに非繁殖羽の影響が強い
年末から年明け頃にはかなりアカハジロ的な外観に変化する。 2年連続飛来

最近、雑誌「Birder」のカモ特集バックナンバーを読む機会があった。
その中で感じたのは巻号が遡るほどに詳細で興味の核心に迫る記事が多いという印象だった。
1999年1月号に山階鳥類研究所研究員の平岡 考 氏の
 「アカハジロの雑種と思われるカモの観察」と題する記事が掲載されている。

私はこの記事を初めて目にしたが、「日本の鳥550-水辺の鳥ー 文一総合出版」
で既にこの個体画像に出合っており、過去記事「カモの羽装異常」で親種の推定に
アカハジロとクビワキンクロの雑種である可能性があるとした。
今回、この記事で追加画像を見てみるとその可能性は更に高まったように思う。
アカハジロとクビワキンクロの雑種メス成鳥で問題ないように思われる。

クビワキンクロ自体が北米種で迷鳥の扱いなのに、そんなことがあり得るのか?
私は以下の理由から、そんなことはこの日本という極東の地だからあり得ると考えます。
皇居の濠でキンクロハジロとクビワキンクロの雑種メス幼鳥が見られたのは記憶に新しい。
また北海道十勝でホオジロガモとヒメハジロ雑種オス成鳥が見られたのも最近のことでした。
どちらもかなり国内では稀な種が雑種の片親ですが、最近のアメリカヒドリ記事で記した
内容の通り、雑種が生まれる背景には越冬地に迷入してくる種が大きな原因と考えています。

【メジロガモ雑種の記録はメジロガモに先行していた
日本国内で最初にメジロガモが記録されたのは1959年12月千葉県でのことと理解して
います。しかし、今回この記事を読む中で平岡氏が欄外で触れている標本のことに目が留まり
ました。アカハジロ雌標本の中に嘴付け根が淡色で虹彩色がPearl White 、Pearl Grayの
ものがあるという記述です。

それで2009年末より公開されたweb標本画像から内容に合致するものを探してみると
それはYIO-14875とYIO-14876の整理番号が付された仮剥製標本だろうと推測できます。
いずれも標本の採集を依頼していた著名な折居彪二郎氏の採集によるものでラベルには
比較的多くの内容が丁寧に記されています。
虹彩色の表記があったラベルにはFeet:足色、Iris:虹彩色、Bill:嘴色、GL:体長mm、
weight:体重(匁)、g表示のものもあり、Coll:採集者名が記されています。
YIO-14875の虹彩色は確かにPearl Gray、YIO-14876にはPearl Whiteの書き込みが
見られます。
折居氏がこの前後に採集したオス標本の虹彩色もPearl WhiteあるいはCream Whiteの
書き込みがあるので折居氏自身はこの時点でアカハジロの雌雄についての知識は体長差
程度の認識しかなかったのではないかと思われ、メスの虹彩色の矛盾については関知して
いなかったと思われます。
スズガモ属の虹彩白色で種を判断する限り、それはメジロガモ、アカハジロ及びその雑種
オスのみに認められる事柄と考えられ、メジロガモの記録のなかった当時、それが両種の
交雑種だなどということは思いもよらなかったことでしょう。
しかし、単なるアマチュアの空想と揶揄されようが私はこの標本の雑種説を唱えます。
残念なことにこの標本から嘴付け根の淡色斑を見られる角度の写真は存在しませんが、
可能性としては最も高いものと考えます。 それはこのメス2体の標本からは幼鳥を
示唆する羽衣が感じられず、オス幼鳥の誤認とは考えにくく、胸の赤褐色の範囲や色合い
にも他とは違うものを感じます。
それゆえ私の推測が正しければ、純粋メジロガモの記録に遡ること20年余り、1937年
にはメジロガモ雑種が記録されていたことになります。
つい最近になって騒がれるようになった両種の雑種ですが、日本鳥学会広報委員長で大阪
市立自然史博物館学芸員のホームページ「和田の鳥小屋」内「最近見た鳥」でも多数回に
わたりこれらを含むスズガモ系雑種が登場することからも、かなり以前から飛来していた
可能性は高いでしょう。

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