をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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渡来数が少ないカモの見方 ~1.コウライアイサ

毎年この時期になると不愉快になることがある。
まだ繁殖羽になってないカモが多数見られるこの時期は楽しいんとちゃうんか?
いえいえ、観察は楽しいのですが、例年この時期に雑誌に掲載されるカモ記事の
内容のエエ加減さに呆れてしまうんです。
今年は、カモメ特集があって、リトル叶内こと鳥くんの画像に?な部分が1点
あったくらいで(種ごとの観察地詳細が掲載されたのは少々疑問)良かった。

昨年の鳥見雑誌11月号に 「鹿児島県のコウライアイサの越冬記録」という
記事が掲載され野鳥写真家の叶内氏が出水のツル観察で出会ったアメリカ人の
バーダーから複数のコウライアイサが越冬している場所があると聞きつけたの
をきっかけに確認したところ見つかった。・・・というものでした。
この辺はまるでご近所の鳥撮りおじさんが珍鳥情報を元に駆けつける姿と何ら
変わりないように思います。
この記事を書いたのは、叶内氏と別人で、記事中に紹介されている雌の画像にも
問題ありませんでした。問題はやはり、この号で紹介されている、氏の著作物
「新訂 カモハンドブック」に雌画像として雄の第1回繁殖羽が堂々と掲載され
ていることと、特集記事中の「カモ雄はモテるために着替えをする」の内容。
雄の矢印マークは機種依存文字なので、漢字表記に変更。 氏の記事・著作で
カモに関するものはただの1点も間違い記述のないものを見たことがない。
しかも件の撮影画像が早く使いたかったのか、鹿児島県薩摩川内市での画像を
採用しているのだから、これが外国人の目に触れれば「やっぱり、日本人は
鳥のこと知らんねぇ!」というような声が聞こえてきそうでカッコ悪ぃ。
時に、日本鳥学会100周年記念大会が開かれ、日本鳥類目録第7版が刊行、
明治の世に外国人の後塵を拝したと、諸外国に追いつけ追い越せと先達が尽力
してきた鳥の世界は一般バーダーが外国人の嘲笑を買う程度でしかないという
のは甚だ残念としかいいようがありません。

【ウミアイサ属 MERGUS は頬線の有無を見よ】
ウミアイサ属、つまりカワアイサ、ウミアイサ、コウライアイサは細長い糸ノコ状
嘴の他に、年齢を知るために見るべきポイントがあります。
それはカルガモ等ではお馴染みの頬線の存在です。以前の記事に雌や幼鳥の頭部には
これらの線が出現しやすいと書きました。 秋~初冬に見られるウミアイサ属に頬線
(カルガモ等のそれより目の直下を通る)があれば幼鳥を示します。
幼鳥と判明したら、次に雨覆のパターンをよく成鳥雌のものと見比べます。一部雨覆
特に大雨覆に淡色部が見つかれば雄幼鳥の可能性が高まります。
実はこの特徴やこれから書く雌雄の外観差はコリンズやヘルム(ホートンミフリン)
等の外国図鑑には描き分けられています。
 ※ 頬線…この記事を作成時点でカモハンドブックの各部位の名称に従い顎線と表記
してきた頭部にある線の呼称を見なおしました。外国(英)の図鑑topographyに準じ
moustachial stripe(直訳で口ひげ状線)頬線とした方が適していると思うから。
口角、つまり上嘴と下嘴の合わせ目の線である会合線の延長上にあるのは頬線と図示
されているからで、顎線は始端が異なる。 どちらが正しいのでしょうか?

moustachial-stripe
昨年から今年初めにかけて和歌山県の川で観察されたコウライアイサ
これは1月末の撮影で側面からの画像では頬線が既に不明瞭となっていた。

squamatus-m1w
上の説明画像と同日、同所の撮影
冠羽が長く先端はしばしば肩羽にかかり、背や脇のウロコ模様が黒っぽく、三列風切の
羽縁が縁取りしたように黒っぽい。初列風切の色も雌より濃い。…雄幼鳥を示唆する外観

squmatus-wingspread
カルガモ雌雄の前で翼を伸ばすコウライアイサ第1回繁殖羽雄
雨覆の三区画ともに白色となるのはウミアイサ属共通のパターン。
大雨覆とその下の区画部分の境界線の存在はこのようにゆっくり自発的に
広げた場合や標本で見た場合細く見えるか、ないように見える。しかし
飛翔写真でこの区画線を見るとはっきり存在する。これは、つまり空気の
乱流によって各雨覆羽が立ちあがった結果そう見えるのだと思う。

あと、幼鳥でも幼羽の時期にはウロコ模様は存在しない。第1回繁殖羽への
換羽にともない灰色でカーブが丸いウロコ状の粗い波状斑が出現する。この
ウロコ模様は雌で薄く、雄で濃い傾向にあり3・4月頃には雌雄ともにその
ウロコ模様の曲線がV字状の鉤型模様に変化し濃くなる。雄成鳥のこの模様
については早期に鉤型に変化するし、雌と違い体前部にはない。

本種については1986年2月に岐阜県で記録されて以来、世界的希少種とされ
かなり遭遇の難しいカモとされてきたが、近年は西日本を中心に複数羽あるいは
複数年連続飛来観察も報告されるようになり、特に山口県下での観察例以後毎年
複数の場所で単独から数羽程度見られるようです。
カモの国内分布にはユーラシア大陸に本来の分布地が存在する西高東低型と北米
に本来の分布域がある東高西低型がありますが、西高東低型と言えるでしょう。
観察される環境がカワアイサの越冬域と重なることから、近縁性による両種間の
雑種が見られても不思議はないですが、今までのところ、明らかな報告は聞いた
ことがありません。

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