をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

カルガモ雌の雄化

年が明けてからというもの、自力で探しだした興味深い個体は皆無。
一方、誰かが撮影してアップしたものに興味を抱いて見に行くというパターンが全て。
今回のカルガモも日頃履中陵の観察をされている方の観察記を元に、興味を抱く。

はじめに、雌の雄化というのは鳥類全般に起こりうる現象ですが、性的ニ形の明瞭なカモ類の
冬季羽衣、つまり繁殖羽では、他の鳥種に比べて認識されやすい傾向があるものと考えます。
それはマガモ属の雄繁殖羽において、雌に比べて明るい波状斑が体表を覆い、一目で雄だと
認識できるようになるからで、性的ニ形の変化に乏しく、雄繁殖羽にあっても波状斑を有する
ことのないカルガモでは、仮にそのような現象が起きても気づかない可能性が極めて高い。
雌の雄化、intersex femaleと表現する通り、発生時の性は雌であり、雄に性転換するもの
ではありません。宝塚の男役スターが男装をしていても女性であるように、雌であることに
変わりはないのです。確かに卵巣が退縮したりして、性腺に解剖上の変化があるようですが、
ある日突然雌とつがいになり、子を成すことはあり得ません。雄化は雄に変化することを意味
しないのです。外観こそ、そっくりになることはありますが・・・。だから言うなれば偽性雄。
一個体の中に雄と雌の特徴が共存するのが特徴で、異なる他種の特徴が共存する雑種とも、又
一部色素が過剰であったり、欠乏・欠損したりする色素異常とも異なりますが、これらの特徴
は互いにオーバーラップしていることもあり、単純に雄化が原因とまでは断言できない外観の
ものも見られます。

eastern-spotbilled-abnormalwing
presumed intersex female Eastern Spot-billed Duck with atrophied primaries
Feb.6th 2014 Sakai city Osaka pref.
推定カルガモの雄化雌、萎縮変形した初列風切をもつ。 大阪府堺市2014年2月6日

eastern-spotbilled-abnormalwing2
same individual,right side
同一個体右側面。嘴の黄色部分は雄のように広いが、嘴峰長及び体サイズは雌のもの

eastern-spotbilled-abnormalwing3
same individual,jaw stretch
同一個体、アゴ伸び。 上、下尾筒及び体下面は雄同様黒い。初列風切の細く変形した状態が
顕著で正常翼のように「く」の字形に広がらない。

eastern-spotbilled-male1w
male 1w Eastern Spot-billed Duck カルガモ雄第1回繁殖羽
雄化雌より体下面の黒味は少ないが、尾筒の黒色味は明瞭で、嘴の黄色部分は雄化雌同様広い

eastern-spotbilled-abnormalwing4
雄成鳥の威嚇を受ける雄化雌

3eastern-spotbilleds
最も右がカルガモ雄成鳥、その上の雄化雌、左が雌成鳥。体サイズ等比較しやすいと思われる。

eastern-spotbilled-keshikake
右上の雄成鳥に「けしかけ」動作を行う雄化雌
マガモ属の雌はしばしば小舟の櫂を漕ぐような仕草を頭部・嘴でしつつ「クケケッ、クケケッ」
というような鳴き声を発することがある。このような雄の気をひく動作をけしかけという。

私は過去に「鳥と動物園」という記事で飼育のマガモ雄化雌にこのような翼異常の
見られる個体を紹介したことがある。
その折には雄化と翼異常になんらの関連性も感じていなかったが、その後カモメに見られる
「ハゴロモ」変化…翼やその羽の一部が爆発したような形状の鳥などを見て、今回のこの個体を
見ていると、ひょっとして雄化とこのような翼付近の羽衣異常に関連性があるのではないかと
考えるに至った次第。
ただでさえ一般に認知度の低い雄化という現象を困難なカルガモで見抜く力量が果たして私に
あるかどうかは別として、できることならば、この現象の真相が知りたいと願っている。

PageTop