をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

野鳥の理解と理想の図鑑

今日は京都まで戸籍謄本を取りに行ってきた。
母の年金請求に必要なので、母を一人にすると火の不始末をしでかさないか、心配である
とともに、ずっと監視しているような自分を解放する意味もあって出かけた。
生前、父に確認することはなかったが、戸籍というのはどこにでも設定できる。皇居の中
東京タワー申告はどこでもできる。うちの本籍も誰かが意図的に京都醍醐寺のど真ん中に
設定したのではないかと、現在では考えている。

comparison-hybridbaikal
今日の画像の縮尺がやや大きめだが、1ヶ月経っても肩羽の褐色味等以外あまり変化なし

帰りに寄り道して、最初に観察してほぼ1ヵ月経ったトモエガモ雑種を見てきた。
私はいつの頃からか、このように個体識別しやすい個体の経時変化を追うことで、カモ
そのものを先生として羽衣の変化を勉強してきた。どの図鑑のどこに書いてあったとか
論文のどこにそういう記載があったということは、参考でしかない。

ferina-flock
11月中旬履中陵で撮影したホシハジロの群れの一部、10羽中2羽だけが雌

例年行われるガンカモ調査に付加して、今年は雌雄の性比調査も実施されたようだ。
調査自体は意義あることだけれど、私は従来からその報告カウント数はあまり過度の
信頼を置いていない。調査者によるバラツキ、同じ調査者でも別日のカウント再現性
が大して高いと感じていないからです。
しかし、今回のように大規模広範囲に実施される調査では、地区毎の性比の偏りが
緯度に依存する(ヨーロッパの調査では緯度依存性の性比があって、北ほど雄比率が
高い)のか否かが判断できる。決して目の前の現実のみが真実ではないことを知る
手段となりうるからです。我々はしばしば百聞は一見に如かずの感覚でものを見がち
ですが、ホシハジロや他のスズガモ属のカモに見られやすい性比の偏り(一見雄が
断然多い)理由が国内の分布で確かめられる可能性があるということです。
このような調査はバードリサーチが関与してから顕著になったようにも思います。
性比の偏りについて1:1に近づくと最初に紹介したのは「種の起源」で有名な
チャールズ・ダーウィンでしたが後の版で削除したため、この理論を統計学的に証明
したロナルド・フィッシャーがフィッシャーの原理・ランナウェイ説で有名。
私自身は3月のため池で50羽を超える群れ全てが雌という状態を見たことがあり、
移動期に南の雌ばかりの群れが入ったと考えれば合点がいく。ただ、同じ地域でも
淡水域と汽水域、異なる淡水域では性比のバラツキが多いのも確か。
ガンカモ調査はある種に関して単純に数を数えることが多い。ここに性比や成幼比
など付加情報を加味するとそれだけ煩雑となり、数え直しも多くなり、大群の計数を
している方には敬遠されがちなのを、光線状態・カモまでの距離を考慮していかに
正確に数える方法をとるかが問題となってくるだろう。

鳥類目録改訂第7版が出ても、それに準拠する図鑑が一例を除いてなかなか出なかった
けれど年末から最近にかけて主要な 山渓ハンディ図鑑新版 日本の野鳥 それに
平凡社 日本の野鳥650が相次いで出版された。
日本の野鳥650ではカモ分野の画像チェックにお声かけ頂き、大西氏には巻末に
氏名記載もしていただいているようだが、私は全ての画像チェックをしたわけでも
疑問を感じた画像の異なるアングル、翼パターンを参照できたわけでもないので、
私にできたことはかなり限定的だと思う。売りが真木広造氏自身による画像のみで
構成されていることなのだが、それが逆に適当な画像がないことにも繋がる。
思うに私がもし図鑑をつくる機会に恵まれたら、最初から鳥類目録には準拠しない。
参考として記載はするが、そこにこだわると世界のトレンドを見失う。 また、
フィールド版には雌雄成幼の秋・真冬・渡去期の画像を並べて比較できるようにし
過去に記録のある雑種・雄化・色素変異個体も併載する。資料版では総論や背景文化
等カモを理解する上で必要な項目は網羅し、フィールド版より詳細な比較識別解説を
盛り込む。Web版で誤植や誤った記載を逐一掲載、最新知見を更新するなど3段構え
の体制をとりたい。けれど、おそらく究極の図鑑というのは、人それぞれに違うので
自分自身で作り上げていくのがベストかもしれない。
そんな意味もあって、私の生活レベルでは著者割引があっても高額な図鑑をおいそれと
購入するわけにもいかず、本日大型書店で立ち読み、後日図書館に配本されたら詳細に
読んでみることにします。

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