をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

カルガモの順位闘争

カモの嘴先端は丸く、喧嘩をしても血を流しているのを見たことがない。
恐らく、大半の方は喧嘩をしている場面すらご覧になったことがないという方が
多いのではないかと思う。
その理由として大きさや食性・環境選好性が異なることにより、無駄な争いを避け
なおかつ一定の社会性をもつことで互いの争いを回避していると考えられる
同種・あるいは異種の争いも大抵はその前にどちらかが譲歩することで、巧妙に
争いを避けている。過去、私はこれをカモのパーソナル・スペースとして取り上げ
記事にもしている。 しかし、同種間の順位争いと思われる闘争ではしばしば水面
を大きく掻き回す勢いで激しい取っ組み合いが続くこともある。
多くは雄の順位争いと見ているが、若い雌を雄成鳥が振り回すこともあるようだ。
これらの闘争は営巣時期が迫った春先に見ることが多く、このところカルガモの
闘争を頻繁に見るので何点か紹介しておく。

コンラート・ローレンツの動物行動学等で紹介されているカモ類の行動はその日常
動作が高度に様式化されて特別の意味をもつものが少なくない。
次に挙げる画像も静止画では交尾と誤認されかねない画像であるが、オス同士での
行動であることが異なる。後頭部に噛みついて背に乗る行動は交尾のシーンでよく
見られるが、他にニホンザルにおけるマウンティング同様後頭部を噛まれた者が
背に乗る者に服従する意味合いをもつものと考える。

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まるでレスリング選手が背後を取りにグルグル回るように、翼をばたつかせ水面を
クルクル回り、隙をついて逆回転。この動作が5分ほども続いた。 本日近所で撮影。

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奥側のカルガモが手前のカルガモの後頭部を噛んでいる。 雨覆等から双方オス。

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交尾時ほど頭部真後ろを噛んではいないが、常に後頭部に噛みついている。
敗北を認めたオスは直後に隙を見て飛んで逃げた。

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こちらはもっと複雑でSLの三重連のように3羽が重なる。3月28日 東大阪市

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飛来直後は四重連状態にもなった

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この4羽も見たところオスばかりに見えた。
カモは水上で交尾をするためファルスと呼ばれる、ペニス様器官をもつ鳥類でもやや特異な
仲間です。稀ですがオスがオスに乗って交尾姿勢をとることがあり、大抵上に乗るのは体格に
勝る大柄なオスなのでやはり従属関係の誇示という意味合いがあるのでしょう。
かつてアイガモの観察で兄弟のアイガモが1羽の雌アイガモを複数で奪い合い、頻回の強制的
交尾で後頭部の羽毛が脱落した雌を見ていますが、雌がいなくなった後一番体格に劣るオスの
アイガモが強制交尾の対象になっていたことがあります。

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一般に頭部を交互に上下動させるポンピング動作は交尾前の前触れ行動として知られている。
ところがこの画像のハシビロガモ雌はその動作中の静止画像なのです。
タンチョウが着地後すぐに行う挨拶行動にも似て見えるため、こちらは親愛の感情を示す
行動の一部ではないかと思う。 他に異なる複数の個体がゆっくり頭を下げ、サッと戻す姿勢は
飛び立ちを催促する手段と考えられ、静止画で同一に見えても意味は大きく異なる。

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