をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

青喉の小鳥

オガワコマドリが出ていると川で聞いたのは、数日前のこと。
モニターの画像を見せてもらうと喉の青色部分が大きく雄と推定された。
また、結構その色が鮮やかなことから、成鳥の可能性もあるのかな?ということで
昨日府内の河川敷きまででかけてきた。

スズメ目の珍鳥が出現したからといって、積極的に遠出する性格ではない。
ところが、昨年は雑種カモの観察にでかけた四国の場所にほど近い場所でもこの鳥
が出ていたので、誘われて足をのばし見てきた経緯がある。

bluethroat2013
オガワコマドリ第1回冬羽~夏羽移行中 喉の青色がこの時期急速に拡大しつつあった
大雨覆羽縁のいわゆる赤褐色のGC斑がうっすら認められ、若い鳥であると判断できる
この個体はその後5月初旬頃迄観察されたようで、夏羽になった姿も確認されている

bluethroat2014
昨日見てきた大阪の個体。過去には男里川、大和川付近での記録があるようだが、
十数年ぶりの出現ということで、多数の観察者やカメラマンが訪れていた。
喉の赤褐色部と青色の双方が確認できるほぼ第1回夏羽雄の外観。腹部はこれまでの
個体とくらべてやや暗色だがGC斑が見られるため若い鳥で成鳥ではなかった。

オガワコマドリは迷鳥として捉えられていた時期もあるが、稀な冬鳥と考えられており
記録を見る限り幼鳥の出現が、しかもその大多数は雄幼鳥ではないかと思われる。
バンダーの記録の中には雌幼鳥のものも見られるが、大阪の過去の出現記録は恐らく
雄ばかりではないかと思う。また男里川の個体は餌付けの影響か連続渡来したものの
多くは幼鳥時のみの出現ではないだろうか?
オガワコマドリのおがわは夭折の鳥類学者:小川三紀に因み黒田長禮博士が名付けた
献名であることが山階鳥類研究所の資料ページや鳥類画家小林重三の伝記的書物にも
記載されている。 ところが、当ブログにもコメント下さった「野原から」のgnoharaさんの
2013年02月12日の記事におがわみのりの標本採集に先行すること17年山形県
「両羽博物図譜」に石原多聞採集の嶋野駒が掲載されており、この事実を黒田長禮博士
が認識していれば、イシハラコマドリになっていた可能性があるということです。
小川三紀は鳥学会が日本鳥類目録を刊行するのに先立ち、初代鳥学会会頭の飯島魁氏に
次いで日本の鳥類目録を公開したほどの熱心な研究者であったようなので、黒田博士が
仮にその事実を知っていたとしても、オガワコマドリとされたようにも考えられるが、
後世、そのような事実があったことを検証できるのは記録という作業がいかに大事で
あるかを物語っている。また、事実をありのままに記述することの重要性をまざまざと
感じ取ることができ、近頃のSTAP論文騒ぎがいかに事実を捻じ曲げようとしたかを
曝け出しているようにも思える。STAP論文で見られたように、権威ある組織が広く
深く真実を追求する組織であるならば、このような事態には至らなかったはずだ。
どの学問分野においても、このことを教訓に一部の人達だけが権威を傘に特定の価値観
を押し付けるのが学会のあるべき姿ではないはずで、広くこの世の真実を収集・分析・
公表していくことが、その使命ではあるまいか。
「両羽博物図譜」の嶋野駒の図からは第1回冬羽雄の特徴が感じられ、小川三紀は標本
に付されたコメントに雄成鳥と記しており、黒田博士は雌成鳥もしくは雄幼鳥と記して
いるなど同定に関しては情報の少ない時期に混乱が生じていることが見える。山階が
公開している標本画像からは羽衣詳細が見えないので、その雌雄判断は採集時期も含め
難しい。野鳥の名前ひとつを取り上げても、その背後に秘められた事実は奥深く、時に
我々をドキドキさせるような内容を含んでおり、その実物標本に接することのできる
機会が残されていることは殊更に貴重だと思える。

なお、オガワコマドリには亜種が10種ほどいるようで、その亜種が外観上どのように
識別可能かは知らないが日本に渡来しているものは一部離島の記録を除外するならば、
ほとんどが基亜種 Luscinia svecica svecicaでノゴマ属に分類されており
山階鳥類研究所の資料や標本にあるように Erithacusヨーロッパコマドリ属
には現状含まれていない。基亜種の英名は(Red-spotted)Bluethroat 、他に前掛けに
赤褐色の斑がなく白い斑をもつものがいてWhite-spotted Bluethroat 、それらの中に
亜種L. svecica cyanecula等がいる。
ノゴマ属 Luscinia ルスキニア
 種小名 svecica  スウェキカ(スヴェキカ)
亜種小名 cyanecula キアネクラ
 ヨーロッパコマドリ属 Erithacus エリタクス(エリサクス)

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