をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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盗っ鳥ベニアジサシ

スイッチング シーズンで紹介したアジサシの群れ、実はある意図を持っていました。
多くの鳥が飛来する場所には、必ずと言っていいほど近縁の別種が混じることがあります。
群れの紹介、例年飛来する事実とともに伝えたかったことは、よく似たそういうアジサシの
仲間を見つけてくれる人がでてこないかと期待したわけです。

その結果、脚の赤いアジサシに混じってベニアジサシが見られるのではないかという情報が
5月20日を過ぎたあたりから聞かれるようになった。私自身、大阪に隣接する尼崎埋立地や
関空島ポートターミナル等で観察経験があったが、一般人が自由に立ち入りできる場所での
観察例は少ないので、以後注意深く観察することにした。

【ベニアジサシとは】
かつては沖縄・奄美周辺に夏鳥として飛来することが知られ、エリグロアジサシと共に南方で
繁殖、青い海をバックに飛び交う姿を思い起こす方も少なくないはず。
近年は繁殖地の北上に伴い本州でも関東以南では夏鳥として見られるようになってきた。

1994年7月福岡県大牟田市三池島で繁殖が確認され200羽程度の成鳥が観察された。
以上「福岡県三池島におけるベニアジサシの新繁殖地の発見」  武下雅文. 1994
                                          Strix 13: 250-253

一方大阪湾での繁殖記録の正式な確認は2007年夏、岸和田市の埋立地で確認された
もので、この時の記録の一部、雛画像等がN氏のブログ検索で確認できる。
また、昨年2013年夏には泉大津市の埋立地での繁殖を知人のふーさん他が報告して
いる。 
「観察Report  ベニアジサシの繁殖 泉大津市初記録」 むくどり通信2013年9月P.21
                 小海渡銀次郎  納家 仁  福田幸充

気をつけたい外観特徴 5・6月の嘴は黒い 
大きさはアジサシとほぼ同大だがやや小さく細身に見え、背も体下面の白味も強い。
嘴と脚は鮮やかな朱色で、他の亜種アカアシアジサシ、キョクアジサシ、クロハラアジサシ
等のやや黒味を感じる赤色とは明瞭に異なる。ただ、嘴の色は求愛期までの夏羽前期で
黒く、繁殖中は先端側の大部分が黒く基部のみ朱色のものから先端のみ黒いものが殆ど
で、嘴全体が朱色で先端のみ白色になるようなものは夏羽後期にあたる。 また胸~腹
がバラ色にほんのり色づくのは夏羽の繁殖中のみで前期・後期では見られない。
また、嘴と共に第1回夏羽の脚は黒く、額は白い。 口角に朱色が見え口内は朱い

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ベニアジサシ雌雄、6月中旬 以後の画像はすべて中旬撮影

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ベニアジサシ雌雄、左が雄

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ベニアジサシ雄

観察できたのは最大で6羽見られたうちの最後の一組雌雄のみです。他の雌雄判別に
適用できない部分もあるかも知れません。
・ 雄がやや大きい
・ 雄の嘴がやや鋭く長い、雌雄共にわずかに下方に湾曲する
・ 雄の体色がやや薄く明るい印象を受ける
・ 雄の外側尾羽は長く、一枚内側の尾羽の2倍程度長い。雌はやや長い程度。
・ 雄の頭頂は高く黒い帽子が深いように見える
 なお上記特徴は求愛・交尾行動によって確認した上で記載した

【ベニアジサシのcleptoparasitism】
cleptoparasitism(kleptoparasitismとも表記)クレプトパラサイティズムとは労働寄生、盗み
寄生とも訳される他種が得た餌を奪い取るような採餌形態をいう。グンカンドリがカツオドリ
やトビの餌を横取りしたり、オオバンが咥えて浮上した水草を水面採餌ガモが横取りする
のもこれに当たる。

雄単独で横取り
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目ぼしい大きさのキビナゴを咥えたコアジサシを追い回す

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執拗な追跡にキビナゴを放棄したコアジサシ

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海面に落下したキビナゴをすくい取る

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反転・追跡が迅速な場合は空中でキャッチした

雌雄協力しての横取り
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雌がコアジサシを追い立て、雄が急接近して奪い取るケースもある
ただし、直接嘴から奪い取ることはなく、放棄した小魚を横取りする

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飛翔中の雌、尾羽はさほど長くなく、この個体は左外側尾羽がやや短い
初列翼端の灰黒色はカモメ同様種によりパターンが異なるが、翼先での見え方は
光線状態、翼の上・下面で異なる

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オイルフェンス上はアジサシ類の求愛・休息場所になっていた
雄の帰還を待ちわびた雌は頸を伸ばし、翼を下げ尾羽をピンと上げる
V字状に反る体勢は雌雄共に求愛時に見られ、雄が餌を差し出した
時には頻繁に見られた。
ただし、餌の小魚が雑魚だったり、小さなキビナゴの場合は反応せず
雄が自身で食べた。雌雄協力して餌を得た場合は雄が食べることが
多かったが、一旦メスに差し出すプロセスを省略することはなかった。

【本州での繁殖のカギを握るコアジサシ?】
従来観察されている沖縄周辺、九州周辺でも周辺でコアジサシの繁殖が確認されて
いる。また、ベニアジサシの採餌方法はコアジサシ同様垂直飛びこみ型のようで、
同じ採食方法・同じ場所で営巣を繰り返すうちにコアジサシの餌を奪い、営巣地の
集団警戒網を利用することが繁殖域拡大のためのコスト削減に寄与している可能性
があって、沖縄等の南方海域より水温の低い本州域で生活していく上でコアジサシ
が一定規模以上に生息していることが必要なのではないかと思える。
また、繁殖場所として選択されていたサンゴ礁由来の岩礁域で営巣する性質を引き
継ぎ、コアジサシが平坦な裸地を利用するのに対し、色瓦や陶器片の混じったような
段差やデコボコのある傾斜地を好むように感じる。雛の幼綿羽の色合いもコアジサシ
と比べて黒っぽいが本州繁殖世代が代を重ねると淡色化する可能性がある。
いずれにしろ、現状コアジサシの繁殖域北限を超えてベニアジサシの繁殖地が北上
する可能性はないだろう。大阪湾全ての繁殖場所の詳細情報を知りうる立場には
ないので、これらすべての情報や他の場所での繁殖情報から更に盗み寄生の事実
が積み重ねられることを期待したい。

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