をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

ウミネコ幼羽

7月末の画像から、ウミネコ幼羽。
若鳥とか幼鳥とか曖昧な表現は極力使わないで、フレッシュな幼羽を見てもらおう。

ウミネコに関しては大阪で有名な大阪市立自然史博物館の学芸員和田氏ととらえ方に
差があることをこれまでにも書きました。和田氏が見て感じることや、引用している文献
にも有名な方は多いですが、ものの見方や記事の信憑性には人それぞれの面があります。
和田氏が野鳥の会大阪支部の会報「むくどり通信」通巻226号、2013年7月号に連載の
身近な鳥から鳥類学の第15回に大阪湾の夏のウミネコと題する頁があります。
この中の最初の小見出しに大阪のウミネコは夏鳥?というものがあって、ユリカモメも越夏
があって千葉県の例では7月以外のすべての月で観察例があり、東京湾の湾奥では夏~
秋にウミネコの数が多いことから、夏鳥のようだとしています。
引用文献の著者を見ると、千葉県近傍で水鳥・海鳥の観察をされている方の報告が見られ
中にはカモの観察報告において誤認と思われる報告をされている方も少なからず見えます。
夏鳥としている視点から欠落しているのは、成鳥と非成鳥の認識つまりは非繁殖個体群の
存在認識だと私は思います。それがなければ周年観察できる留鳥的要素の強い鳥で、実
のところ成鳥と非成鳥が時期的に漂行することでそのような印象となると推測します。

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漁船に群れるウミネコ 泉大津市 7月末

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河口砂州のウミネコ幼羽(赤い矢印)
観察した際にちょうど河口沖で漁船が網を入れたので大半のウミネコ(500羽ほど)が
飛び立ったところで砂州上には200羽程度しか残らなかった。その中で4羽の幼羽が
観察できた。

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全体にチョコレート褐色をしていて暗色なので、見分けはそれほど難しくない。
脚色と嘴の先端以外はピンクに近い肉色をしている。

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幼羽の腰から尾羽基部は斑があって、他の齢のウミネコのように白くない。

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幼羽の翼下面は黒っぽい斑状で、翼後縁が揃っていて整然と並んだ羽が美しい。
一方前を飛ぶ第2回夏羽後期個体は次列風切及び内側初列風切が換羽伸長中で
初列外側の長い旧羽(P10からP7)の摩耗とその他の伸長中新羽の差が大きく
不揃いで汚らしい。このような換羽期の外観差を利用して幼羽と判断するような
機会はミズナギドリ類を含めて意外に多い。
ウミネコ幼羽の腹部から下尾筒はその他の部分とは異なり白いので、遠目に幼羽
と他の齢の個体識別するのにも有用。   堺市、7月末、泉大津の一日後

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第1回夏羽後期個体と幼羽個体 堺市、7月末 クリックで拡大します
脚の黄色いカモメ類は肉色の脚が黄色に変化する途中で灰色味を帯びるか
レモンイエローを呈する場合があります。

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カモメ、カラス等は遊びを通じて飛行技術や個体関係を築くことが多いようで
幼羽個体も小枝等を咥え遊びに余念がない。
幼羽は肩羽・雨覆に淡色の羽縁が明瞭だが、個体差も結構あるようだ

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この群れは850羽を超していたが、砂州上にはこのような群れが3つ以上約2600羽いた。
6月から8月の大和川河口を代表する光景。

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南島樋門の吐出部が矢板で囲われ工事中でした。他の河川では河川敷きの通行が水路で
遮られることを鉄板やグレーチングで覆い回避しているが、大和川はところどころで分断され
ているため、それが改善されるなら嬉しいが・・・。

和田氏の身近な鳥から鳥類学に戻って、挿入図の棒グラフ、ウミネコの個体数の季節変動を
見てみると・・・スケールの目盛間隔や最大目盛数から見て50羽程度観察できればグラフに
出現するはずの11月から5月の個体数がほぼカウントなしということになっている。
これは2012年の結果だが近年の同一場所の観察結果から、100羽程度負のゲタ履きした
つまりは各月で100羽くらい少ないカウントになっている感じがする。また最も観察数の少ない
月は5~6月となっているようだが、個人的には12月の観察数が最も少ない。概して一年を
通じ大阪湾にはウミネコ成鳥の数は多くないと見ている。そのため、ウミネコが関東の例にある
ように市街地で繁殖する可能性は極めて低いと見ている。
ウミネコ幼羽が和歌山県の御坊市近傍の繁殖地を後にするのは6月末から7月初旬のことで
湾奥の堺・大阪沿岸部に到達するには1ヶ月弱を要するものと考える。海岸線沿いに約100km
を10km/2日程度のペースで北上することになり、例年7月末には幼羽幼鳥が堺・大阪沿岸で
観察されることになる。一方繁殖地を後にした親鳥の成鳥たちは反時計回りに太平洋岸を一旦
北上、その後それぞれの越冬地に向かうものと推測する。なにぶん標識調査で得られた和歌山
繁殖個体群の移動経路の報告等を目にしたことがないので、あくまで推測の域を出ない。
なお和歌山におけるウミネコ繁殖地の様子は古いデータながら、御坊市のホームページにある
データを参照した。
鳥の事なら山階鳥類研究所、野鳥の会の情報がすべて正しいと思いこんでいるいる方がいる。
もちろん大抵はそうなのだが、鳥類専門の学芸員が誤っていることもある。STAP論文の件、
大阪府警の冤罪・ねつ造の件正しくあるべきあるはずのものが正しくないということはありうる。
アマチュアや一般市民とて論文や研究報に頼らずとも「おかしい!」を訴える場が必要と思う。

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