をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

古墳のカモ 過去と未来

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ヨシガモ雌雄非繁殖羽 10月21日 芦ヶ池 左が雄、右がメス

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ヨシガモ雌雄非繁殖羽 10月21日 芦ヶ池 左が雄、右がメス

カモ類が市街地の水辺に姿を現すのは、場所によりかなりの差があるが、近辺
では10月頃からです。強かった日射しが弱まり、過ごし易い気温になってから
渡来するのでアオコの発生も終息に向かう頃ですが、ご覧のように今年はまだ
かなりの量のアオコが水面背景に見られます。
秋季の降雨による溢水とカモによる捕食で急速に減少するのが例年のアオコ
ですが、今年はかなりのカモが渡来した現在も残存しています。
藍藻ミクロキスティス・エルギノーサはアオコの原因となる種でその量が多量
で有毒種が多い場合にはカモ類の死亡も報告されているが、カモ達の渡来が
このアオコ減少に一役買っていることは間違いない。 芦ヶ池水路が整備され
第2井戸水の汲み上げが開始されるまでは、池の水は透明度が高くやや深い
場所まで光が届いたので、他の藻類も繁茂し、オカヨシガモなどもよく渡来して
いたが、第2井戸の汲み上げ以後見られなくなってしまった。
工業用水に代えて導入された芦ヶ池の水は定期的な地下水路清掃を必要とし
なおかつ、下流の仁徳陵・それ以後の水質を再び悪化させることとなった。
いたすけ古墳では府立工業高校の学生が実験的に太陽電池駆動の浄化器を
設置モニターしているようだが、浄化器本来の浄化能力とこれらカモ達の生物
浄化をどのように評価しているのか興味深い。

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本日朝9時前の仁徳陵内濠 左からV字航跡を残してオシドリ雄、奥にはマガモ群れ

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木の茂みの奥に雄オシドリ1羽、雌3羽。既にオシドリの群れが滞在中のようだ。
他にはハシビロガモ数羽が確認できた。背後の水面には外濠の水底から剥がれて
流され内濠に密集した藻の塊が見える。

私が市内の別場所から現在地に引っ越して20数年。最初はヘドロと化した濠の水や
釣り堀として利用され、ネットで囲われていた頃の芦ヶ池もよく知っている。その頃は
今のように公園として整備されておらず、隣接する高層マンションも高島屋の女子寮
とテニスコートだった。水辺環境が良くなるにつれ多くのカモが見られるようになり、
世界遺産登録の動きが出始めた頃から、環境はガラリと変わり始めた。
古墳の墳丘調査により御廟山古墳の木が伐採され、周辺が宅地化された。 大仙
公園内で古くから観察していた古墳が調査のため切り開かれルリビタキの姿が消え
大阪女子大学が府立大学と統合移転し、敷地内の林は荒れ、お気に入りの小鳥達
は来なくなってしまった。オシドリの大群が間近に見られ、柵が低いために是非とも
保存したかったニサンザイ古墳の濠は現在でも調査の名残で涸れ、唯一柵越しに
オシドリ等が観察できる履中陵も堤外周の樹木が伐採され、カモ達には極めて生活
しづらい環境となってしまった。仁徳・履中・ニサンザイの越冬カモ数はここ数年かなり
数を減らしているはずだ。 樹木伐採による目隠しの消失・水質悪化・水面面積低下
が主な理由だが、移動期には1000羽規模のオシドリが立ち寄ることもあり、住宅地
のど真ん中に残された自然の価値を多くの市民に理解してもらいたいと思う。
世界遺産登録は確かに多くの方達の悲願だろうし、反対する理由もない。しかし、
なぜ、誰がこのような既存生物に配慮しない方法を推し進めるのか、その目的が
知りたいと思う。このままでは百舌鳥古墳群に渡来するカモ達の将来は暗い。

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