をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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春の池から 1.アメリカコガモ

カモも最終盤となった最近、知人のブログで知ったアメリカコガモ。
一緒にいるシマアジ雄よりも、アメリカコガモ雄より気になったそのカモ・・・
アメリカヒドリにしても、アメリカコガモにしても雌雄双方がアメリカなんてこたぁ
まずない。んだけど、画像の雌が少ない知識で見るとアメリカっぽいなぁ・・・
ということで、観察に向かいました。

まずは、アメリカコガモの雌探しの発端は氏原巨雄氏のブログでの特集記事に
あるが、ことアメリカコガモは大阪で記録されたことが、まずない。
そこで諦めていたのだが、昨年末大和川でカワアイサを観察した折に周囲を
見まわすと、それらしいのがいたので撮っておいた。
1ET-pair141202
これが、その時の画像。2014年12月2日撮影
氏原氏がコガモとの相違点として挙げているのは
 第3番目に顔つき、一般にシマアジに似た顔貌といわれる
 第2番目に翼鏡上部の淡色帯の赤褐色味が強いことなど
 第1番目は? であるが、私自身は寸詰まり体形だと見る
ニシトウネン(ヨーロッパトウネン)とトウネンのように体形が異なり、アメリカは
日本にいるコガモより寸詰まり傾向で頭でっかちに見える。 その他諸々の
違いがあって虹彩が日本にいるものよりチョコレート色味が強く、しばしば尾筒
他体色が赤褐色味を帯びる傾向にある。これは繁殖羽だからというのでなく、
やや個体差の範疇に属するものと思われる。 その点から見るといい線いって
いる感じだが、寸詰まり感がなく、残念ながらアウト!
※ 寸詰まり体形というのがやや抽象的表現なので、具体的に特徴を述べると
体長に占める肩羽終端と三列風切起始部から尾羽後端までの長さがおよそ半々で
コガモの肩羽がずっと後方まで存在するのと比べて、バランスに違いが見られる。
結果的に初列風切終端から尾羽終端までの長さの差(いわゆるPP、プライマリー
プロジェクション)が小さく、コガモでは比較的大きい。むしろ、その体形的バランスの
違いを寸詰まりと表現している。4月21日追記

1ET-female-breeding412
4月12日 コガモ雌成鳥繁殖羽 参考

1ET-female-wing412
4月12日 コガモ雌成鳥 翼パターン(別個体) 参考

1ameko410
4月10日 早朝雨中で初めて自身で確認したアメリカコガモ雄成鳥繁殖羽
カモまでは遠く、雨に霞んでいたが自身が思い描いた通りのアメリカコガモでした。

1ameko-pair410
4月10日 アメリカコガモ雄と問題のカモのペア ブログで見た画像の雌カモでした。

1head-up-tail-up.jpg
4月12日 この日アメリカコガモはコガモ雄2羽と共に雌2羽にディスプレイ
内1羽は例の雌で翼の状態や体形からやはりコガモ雌成鳥のようです
反り縮みするアメリカコガモ

1grant-whistle
4月12日 水はね鳴きするアメリカコガモ

1head-forward
4月12日 げっぷ動作から嘴を差し向けるアメリカコガモ

1ET-grant-whistle
4月12日 別グループで水はね鳴きするコガモ成鳥雄
反り縮み時に強調される尾筒サイドのクリーム色三角と側胸が並行になって「い」の字に
見えるアメリカコガモに対して、コガモ外側肩羽白線との「ハ」の字形が印象的でした。

ここで、イメージ通りのアメリカコガモとした理由として、
 1.側胸の白色縦線(鳥体から見ると白色横線)が太く明瞭
 2.細くて密度の高い体羽の波状斑(人によっては青灰色の波状斑と表現)
 3.頭部緑色光沢部分を主として囲む淡色の縁取りが不明瞭
 4.翼鏡上縁の淡色帯が強く赤褐色味を帯びる
 5.頭が大きく、寸詰まりの体形をしている
 6.尾筒両サイドのクリーム色三角と尾筒の黒色帯に次いで白色帯がない
 7.胸が水彩絵の具でいう肌色味を強く帯びる

1ameko-j211
2月11日 大阪北部 アメリカコガモ第1回繁殖羽移行中

1ameko-j308
3月8日 大阪北部 アメリカコガモ第1回繁殖羽移行中
冠羽の後頭部襟足部分がコガモよりやや長いのもアメリカコガモの特徴のようです

1ameko-j308r
3月8日 大阪北部 アメリカコガモ第1回繁殖羽移行中
右側面ですと尾筒黒色部前にある白帯はほとんど目立ちませんが、左には見えます 

1ameko-j323
3月23日 大阪北部 アメリカコガモ第1回繁殖羽移行中
三列風切の下、尾筒黒色部前にある縦白線が側胸のものより細いですが見えます
少し前の記事で私はこのカモをアメリカコガモとして紹介していますが、この白線の存在や
波状斑の粗さや頭部の淡色縁取り線はコガモに近いものがあり幾分コガモの血統を感じ
るので、一点の曇りもないアメリカコガモだというわけではありません。
この辺は純粋か否かをどこで線引きするのか、難しく、アメリカヒドリでも似たようなことが
言える気がします。

1ameko-j323up-ending
3月23日 大阪北部 コガモ雌と並んで倒立採餌するアメリカコガモ第1回繁殖羽移行中

1ferric-stained-ETpair
4月10日 倒れた芦の上で休息するコガモ成鳥雌雄 鉄分で染まり雄の胸がアメリカコガモ
のようになっている 普通コガモの胸はかなり白っぽいかわずかに肌色味を帯びる。
また胸部の黒色斑は大小不同のドット斑でアメリカコガモの大きさの揃った密な丸斑とは
異なる。

1hybrid090214
2009年2月14日 兵庫県 コガモとアメリカコガモの雑種
純粋のアメリカコガモほど太くない側胸の縦白線、同じく純粋なコガモほど太くない外側
肩羽の横白線、及び尾筒黒色部(CAP)前の縦白線で「コ」の字を横倒しにしたように見える。
さしずめ、ズッコケ「コ」ガモ。このタイプが意外と多い。・・・大阪ではそれすら記録が少ない。

大阪府鳥類目録 2001には1990年4月に淀川中津で撮影された記録紹介あり。
南港野鳥園で1997年1月15日アメリカコガモが記録されたとあるが、詳細は不明。
奈良県で記録された2005年1月頃の竜田川での記録は問題なさそうだが、2013年
11月12日に馬見に出現した個体はこのタイプの雑種。
当時、ブログ記事を閲覧した私は2月に急逝されたらしいI氏にすぐさまメールしたので
丁寧に作成されていた鳥種別記録には竜田川個体しか記録されていない。
コガモが繁殖羽へと完全に移行するのは成鳥でも年明け頃で、観察された時期では
外側肩羽が換羽していないので、横白線は未出現。 昨年12月2日撮影の成鳥雌雄を
冒頭で紹介したので、雄の横一文字白線を見てほしい。まだうっすらとしか見えない。
逆に側胸は換羽が終了しているので多少白線がはっきりすることがあっても、太く長く
なることは考えられない。時期と換羽状況を見極めて判断することが大切です。

実はこの雑種タイプがアメリカコガモとして過去に雑誌Birderでも紹介されたことがあり
ます。1995年11月号と2011年11月号の雄画像がそうです。 いずれも編集部が
構成、写真家が画像提供する形をとっているので、細かなチェックが機能しなかったの
だろうと思いますが、お手本が間違いというのは困ります。
2011年11月号の画像には側胸には白線が入ると書かれていますが、その白線は
細く、体の中央に白線はないと書かれて図示されているのに、矢印の先にはしっかり
薄めですが白線があります。典型的亜種間雑種パターンです。 撮影された京都の
N氏には大阪北部のアメリカコガモ撮影で2月18日に初めてお会いしたので、同時に
掲載されているアメリカヒドリ雌の問題点共々よっぽど話そうかと思いましたが、何せ
初対面の方にいきなり画像に問題があるとは言いだせず、「今日はいないですよ!」
とだけお伝えして別れたのでした。 ま、この辺の間違いは外国のサイトにも見られ、
比較用に掲載している画像が雑種だったりすることもあります。
我々は、誰でも対象物が同じように見えていると思いがちですが、実は脳の処理が
重要で視力だ機材だと言う以前に、物の見え方が違っていることに気づくことが肝要
です。

1ameko412
4月12日 アメリカコガモ雄成鳥 ペアが確定したせいか2日後いなくなりました。
側胸の縦白線のみで、外側肩羽の一文字白線や尾筒サイド前方の縦白線はありません

今回アメリカコガモとコガモの違いを過去の図鑑はどう描き分けているのかと、見直し
したところ、小林重三の手になる黒田長禮博士の「鳥類原色大図説」では実物に忠実
に描かれてはいるものの識別点がほぼ浮き彫りにされておらず、小林桂助氏の原色
日本鳥類図鑑(宮本孝:画)のまるでウズラのようなカモの絵に違いが描写されている
ことに気づかされた。実に識別点の大半が漏らさず描き分けられていた。図鑑の価値
が必ずしもリアルにこだわる必要がなく、ひょっとすると富士鷹なすび氏の描くような
イラスト図鑑の方が識別には向いているのかも知れないと、ふと思った。

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