をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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春の池から 2.オカヨシガモ

歴史過去の記事でオカヨシガモの換羽時期が同じマガモ属よりもかなり早いことに触れた。
これは越冬地と繁殖地それぞれの緯度や移動距離等、生物地理学的要素が関与して
いるだろうことが考えられ、本州付近では旅鳥であるシマアジでは尚更にこの逆傾向が
強くなる。オカヨシガモではこのような換羽時期の十分な理解だけでなく、とりたてて雄
繁殖羽に金属光沢が明瞭でないことから、大して雑種らしい特徴は認められないにも
かかわらず、雑種ガモとの判断を下されてしまうケースも多い。 もちろん、それら雑種が
疑われるカモの中にはマガモやヨシガモに見られる首輪や頭部の淡色境界、緑光沢が
認められるものがあって、影響がまったくないとまでは言い切れないものも存在します。
Brewer's Duckと呼ばれるマガモとオカヨシガモの雑種が珍しくない地域も外国にはあり
ますし、オカヨシガモの遺伝子にはアジアのヨシガモの遺伝子が存在するという報告も
あります。しかし、問題なのは地味でシックな装いとのみ評されるオカヨシガモ本来の
雄繁殖羽の姿が正確に捉えられていないことに、その原因はあるのではないでしょうか。
 今回池で春4月を過ぎての観察でしたので、雄成鳥の嘴両側が黄色味を帯びている
ことを期待しましたが、該当個体はまだ黒いままでした。そう、換羽の早いオカヨシガモ
雄成鳥は
、早いものでは、この時期に雌の嘴のように両サイドが黄色みを帯びてくるの
がいるのです。ちょうど雄幼鳥の嘴がほぼ繁殖羽になっても嘴の両サイドが黄色いままの
個体がいるように。
※ 下線部の部分は第1回繁殖羽雄の一部はと表現すべきなのかも知れません。
3月末から4月頃に嘴両サイドが橙黄色味を帯びる個体をこれまで、換羽の早い成鳥と
漠然と考えていましたが、最近見た画像から誤解していた可能性が出てきました。
幼鳥の嘴の黒さは未成熟ゆえにメラニン色素の生成が不完全で遅くまで橙黄色を帯びず、
また早期にその下地隠ぺい力を失う可能性が考えられ、十分な観察が不足していた可能性
があります。 4月24日追記

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4月12日 オカヨシガモ成鳥ペア

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4月12日 オカヨシガモ成鳥ペア右側面
成鳥雌の右側三列風切は旧羽が残存、対して上画像の左側三列風切は脱落している。
このようにカモの換羽ではしばしば左右均等に換羽進行しないことが多い。カモ以外の
鳥においては徐々に換羽が進行したりして、一時的に飛べなくなる無飛翔期が存在しない
ことが理由として考えられ、三列風切は飛翔に際し実務的役割が小さいことがうかがえる。

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4月16日 オカヨシガモ第1回繁殖羽ペア
図鑑やイラストで紹介されるオカヨシガモ成鳥雄のつくられたイメージは、おそらくこの若い
オカヨシガモ繁殖羽外観に由来する。どのカモもそうだが、幼鳥の定義を生後1年未満の
若い鳥とした場合、幼鳥に該当する第1回繁殖羽は成鳥繁殖羽と明瞭に区別される。
しかしながら、良く似ているためにカルガモ雌雄の判別同様、同一と見なしていることが、
とても多いのです。
ざっとオカヨシガモの場合の特徴を挙げてみますと・・・
1.雄の波状斑が太く粗い上に褐色味を帯びるため体色が全体的に暗く見える。
2・肩羽の褐色味が強く、背と脇は異なる色合いに見える
3.三列風切も同様に濃色なため、一様に灰褐色味が強い(成鳥はかなり白い)
4.尾筒の黒色が不完全でところどころ、まだらで白っぽい部分がある……以上オス
5.嘴にある点状黒斑がとても小さいかあるいは見られない
6.カモやシギチドリの繁殖羽では赤褐色味が強く出るが、それらの出現が弱い
7.下の画像で示すが、雨覆のシナモンパッチがないかとても少ない
8.三列風切の色合いや形が異なるが、繁殖羽では模様が出現しやすい・・・・・メス

※ シナモンパッチ・・・ハシビロガモ雄成鳥腹部やオカヨシガモの雨覆に見られる濃赤褐色の
              羽色をした部分。一般に老成した成鳥雄ほど濃く広く大きい。また雨覆
              の赤褐色が見られるカモとして前回のコガモやアメリカコガモ、トモエガモ
              オナガガモ、が挙げられるが老成したヨシガモ雄でも見られる。 ただ、
              これらは翼帯としてわずかに見られる程度なのでシナモンパッチとは言う
              ことがない。

   模様 ・・・ 三列風切の模様に関しては以前触れたとおり、submarginal marksと判断。

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雌成鳥繁殖羽に見られるシナモンパッチ
飛翔翼上面図では雌の説明でこれを欠いているものがとても多く、意図的に描き入れが
省かれたのではないかとさえ思えるほど。雌にも大きさの大小はあっても存在します。
一部の方はこれが雄に特異的なものだと画像から判断している場合が見られる。

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雄成鳥のはばたき シナモンパッチが明瞭
シナモンパッチの大きさや濃さである程度雌雄や成幼が類推できるが定量的ではない
つまり、雨覆の色合いが濃いから薄いから、あるいは羽縁の淡色が明瞭・不明瞭で
数値的に年齢が決まるのではなく、成鳥パターンに近い第1回繁殖羽もいれば、その
逆もありうるということで、定性的価値があるにとどめるべきです。

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オカヨシガモ成鳥雄繁殖羽 右後方から

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オカヨシガモ成鳥雄繁殖羽 正面から
どうです、見る方向や姿勢、羽毛状態によって首輪が白かったり、黒かったり、頭部が
黒ずんだりと印象が変わったはずです。嘴基部の白色部も気になったり、ならなかったり。
実はこれが繁殖羽のピークと重なると先に述べた雑種問題が急浮上してきます。
多くは姿勢や個体差による構造色の出現の仕方が大きく関わっているはずです。

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オカヨシガモ第1回繁殖羽 はばたき

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オカヨシガモ第1回繁殖羽 胸のうろこ模様が成鳥に比べ未発達で体色が暗色で
しかも頭部が成鳥に比べてべたっと単調で変化が少ないですね。それに尾筒の
黒色部境界が不明瞭でぼんやりしています。

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三列風切に模様がなく一様に濃い灰褐色で嘴両サイド橙黄色に小黒斑が見え
ません。また体色が淡褐色のモノトーン系で赤褐色を帯びる成鳥と異なります。
成鳥の体色はむしろ明るく、赤褐色を帯びる部分、濃褐色の部分とメリハリが
ハッキリしています。

どうです、年齢の意識をもって鳥を見ることがいかに重要かわかるでしょう。
見本の画像がたった4羽でしかも同一姿勢でなく、遠いぼんやりした画像なので、
もひとつですけど。

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