をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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うそのような本当のウソの話

どんな図鑑をどのように使用するのか、数ある中からの選択は難しい。
鳥が気になって初めて触れる図鑑と一通り識別できるようになってから、
かなりの鳥や珍鳥まで識別できるようになった時点の図鑑では読者が
要求する内容にも変化が生じていることだろう。

【フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂新版入手】
フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂新版 高野伸二 著が発行されると
聞いて、6月初旬より入手の機会をうかがっていた。いちはやく初版を入手する
際にはこれまで地元の大手書店の店頭に出回るタイミングを把握することが
肝心だと思っていたが、発行元が日本野鳥の会それにトークショーがジュンク堂
池袋本店で開催されたせいか、大阪の大手本屋さんには関係者以外で入手した
という情報がまるでない。そこでいち早くネット通販を開始した野鳥の会や野鳥に
関するグッズを扱うお店で送料を確認すると、800円近くするので送料が無料に
なるセブンネットの取り扱い開始を待つことにして、中旬にやっと発注。 ところが
在庫確認できましたので、しばらくお待ちくださいのメール後また音沙汰なし。
その間大阪の大手書店店頭でも扱いが開始され、店頭購入で早期に購入できた
方の中には20日頃に入手された方もいるのではないだろうか。結局は判断ミスで
手元に届いたのは7月1日午前。やはり地元大手書店の店頭販売開始を待つのが
一般人が最速で本を入手する方法のようだ。 実はこの本、過去にはそれほど注目
していなかったのだが、鳥類目録第7版にどのように対処したのか、どこが加筆修正
されたのか、気になっていました。

【日本版 ピーターソン図鑑】
図鑑を書く側としては上で書いた異なるレベルの読者層だけでなく、いかに正確に
識別ポイントや付帯情報を提供するするかという点と共に限られたスペースに様々な
情報を簡潔に詰め込む画像編集力が求められる。その労力や背景知識は膨大で
あろうことが推測される。

field-guide
左上が今回入手した、フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂新版 2015年6月1日。
左下が前回改訂の増補改訂版 2007年10月15日、右上が一部増補のペーパーバック版
1989年10月15日、右下が初版ハードバック 1982年11月1日。
この間に準拠した日本鳥類目録は改訂第5版より現行の第7版までで、純然たる高野伸二氏
の手になる著作は逝去により初版のみ。対照として増補に際し図版を担当した野鳥の会発行
A Field Guide to the Waterbirds of Asia 谷口高司氏を中央に配した。
私が入手したのは左上の本だけなので、その他の本は図書館の貸し出し用バーコードシール
部分をモザイク処理して掲載し、広角レンズによる左側からの撮影なので右側は変形縮小。
初版、増補ペーパーバック版は(株)三洋印刷工芸が、増補改訂版、増補改訂新版を教科書
等で知られる関連会社をもつ光村印刷株式会社が担当したようで、表紙・背表紙デザインが
異なる。 後2者は表紙のタイトルバックが暗色、明色抜き文字になったほか背表紙の
ヒレンジャクの飛翔図が割愛され止まりもの図のみとなっている。

初版のみが高野伸二氏の著作であって、以後の増補版は本来、原著 高野伸二とすべき版と
考えるが、そうなっていないのは野鳥の会関係者のオマージュであり、高野氏が手本とした
ピーターソン図鑑が50年以上を経た現在も第5版が発行され続けていることに理由があるの
かも知れない。
両者のロングセラーの根底にはピーターソン式矢印図示法と自然に対する幅広い知識が存在
することは紛れもない事実でしょう。そのため全ての版の冒頭欄外にはピーターソン氏と版権を
もつホートン ミフリン(Houghton Mifflin Company)への使用許諾謝辞が記載されている。

私がデジタル一眼レフをフィールドノートの自動記録版という位置づけで使用、鳥見を始めたの
はほぼ今世紀に入るかどうかといった時期だったので、時代は既に写真図鑑が認知され普及
していた頃だった。あまりリアルな鳥が掲載されていないこの本は購入対象外だった。
近所で見かけた鳥を撮影しては、片っぱしから名前を調べていったのだが、写真図鑑を写真で
見比べるのだからイラスト図鑑より都合が良かった。ただ、最初の頃はセグロセキレイとよく似た
ハクセキレイ雄との識別やコサメビタキとサメビタキ等すぐには判断できずにいたものがあったが
複数回見比べることで解決していった。私がイラスト図鑑の優位性に気付いたのはシギチドリ、
カモメのハンドブックを入手したことがきっかけだった。最初に使うのはイラスト簡易図鑑がいい
とか、多くの実例が載っている写真図鑑がいいとか諸説あるが、要は使い方次第でしょう。

以下は前日に母親の手だしで消えてしまった内容の一部を翌日記載したものです。

【ウソの尾羽の向きがなんか変】
イラスト図鑑の優位性を考えると、対象種の特徴や他と異なる点を顕著にクローズアップした
描写が可能だということでしょうか。写真を撮影して気づくことに、複数の個体を同一条件下で
同一縮尺で撮影することがいかに難しいかということ。写真で特徴のある部位を明瞭に捉える
ことは環境や光線状況、露出のかけ具合もあって、絵で説明するようには簡単にいかないこと
が多い。同じく野鳥の会が発行するなすび氏のイラストなどはその軽妙なデフォルメから絵の
もつ訴求力を実感させてくれる。
フィールドガイド 日本の野鳥をはじめて手にしてパラパラとページをめくった時に「あれっ、変」
と感じたこと・・・それはウソの図版であった。その後も何度かこの本や増補された版などを見る
機会があったが、同様の違和感を感じた図版は他にはなかった。 高野氏は決して職業画家
ではないけれど、対象物の体軸を適切に表現する画力には問題なく、図鑑画像のいたるところ
に対象種の違いを表現しようとした苦労のあとが見える。
ウソ雌雄の画像はややや正面寄りの左向きに描かれているが、尾羽は左真横向きないし、
やや向こう向きの画像が描かれていて尾筒付近で急に捻れてしまっている。右に描かれた
幼鳥や右下の2亜種の尾羽裏側が見えている画像とは明らかに異なるし、亜種識別に重要な
尾羽の白色味・黒味がこれでは比べられない。同じページのオオマシコ・ベニマシコが左真横
向きであるので一層なぜこの尾羽がついたのか、その後の版でも修正されていないのか疑問。
ピカソのキュビスムの絵ならこれでもありだが、もしかして隠されたジョーク?
※ よく似た尾筒付近が不自然に見える図はクロハラアジサシ夏羽の飛翔図にも見られるが
こちらは下尾筒を捻った状態で描いたとどうにかわかるように描かれている。

【増補部分の書き足し、修正画像の掲載】
増補版以降は純然たる高野氏の著作ではなく、野鳥の会関係者の追記・補遺図鑑である。
ただどのようにその部分を書き足し、描くのかはオリジナルをできるだけ損ねないよう配慮
大幅な書き換えが慎まれたとまえがきの説明にある。
基本的に発行後新たに記録されたり、見出されたことは後半部に付属的に書き足されていて
あとから記載されたことがわかる。ところがこの方法だと同じ属に分類される鳥が分けて記載
されることになり、一連のまとまりとして理解しがたい。増補直後の版ではこの方法でも仕方が
ないが、その次の版では本文中に挿入して文字種や文字の太さを変える、白抜き文字にする、
画像に※マークをつけるなどして凡例にその区別を書いた方が解りやすくなかったか?
今回の新版では鳥類目録改訂第7版の大幅な変更があったにもかかわらず、従来通りの水辺
山野の鳥という掲載順を維持したことは評価できる。
最初に記事にした内容には細々と版毎の違いを挙げたが、消えてしまった今回の記述は大体を
書くにとどめる。永らく修正されなかったのに今回新版で修正された画像にアメリカヒドリ雄成鳥
繁殖羽の肩羽がブドウ色に描き換えられた点がある。このことにより、従来雑種のアメリカヒドリ
が純粋のアメリカヒドリと誤認される可能性が低下した。一方でアカノドカルガモがカルガモ欄に
ナンキンオシがオシドリ欄に追記されたことで誤解を生みやすくなった。旧第6版時点の分類で
亜種poecilorhynchaを同一欄に記述するならまだしも、和名に同名が含まれるという理由で同一
欄に記載するのはどうかと思う。 カモに関しては失礼ながら高野氏はエクリプスと雌・幼鳥とを
識別できていなかったことがうかがえる。このことは前回の増補改訂版以降のまえがき部分で
触れられ描きわけていない種もあるとしている。ところがマガモのように嘴・体羽の差がはっきり
描き分けられている種も存在するので、描画に起因するものではなく、識別根拠とする知識を
欠いていたと考えるのが自然。前回の増補改訂ではコガモ雌の飛翔翼上面図に変更がなされ
大雨覆の白帯がやや太く描き換えられているが、大切な翼基部側の赤褐色は漏れている。
また、エクリプスを一貫して掲載している原画像からヨシガモのエクリプスを割愛している。長く
野鳥の会が関わって続けたガンカモ調査がカモの外観を記述した図鑑に反映できないのは、
不思議のひとつ。 近い将来、カモの適切な図鑑が刊行されるだろうから、ここで多くの問題点
を挙げても無意味。
高野氏にしても、塩田氏にしても、ご本人が望んだ方向に現実は向かっているのだろうか?
今回の新版はページが増えたにもかかわらず、本の厚みがかなり薄くなり携帯性が向上して
いる。新たな意見も取り入れ改善した部分も多い。イラスト野鳥図鑑としては今なお使いやすい
図鑑であることは間違いないが、読者が従順で素直な野鳥の会関係者が多いゆえ、シマアジ
雌の雨覆が濃い灰色で描かれていて、これを判断根拠として雄幼鳥を雌と判断される方も
珍しくないなど、改善の余地は依然随所に見受けられる。

※ 雑誌Birderが2012年11月のJBF会場及びインターネット上のアンケートを利用して調査
した(N=192)結果、野鳥の会関係者を中心にフィールドガイド 日本の野鳥をフィールドで使用
している方の割合は38%にのぼり、他のTOP5中残り4種図鑑が32%で続き全体の7割の方
が主要図鑑をフィールドで使っていることがわかる。その他の図鑑使用者は3割に過ぎない。
主要TOP5図鑑からフィールドガイド 日本の野鳥を除いた図鑑でも情報のベースにその内容を
取り込んでいるいるものが多いことから、多くの方がバイブルと目しているこの図鑑の誤りは即
多大な判断ミスに繋がっているものと考えられ、これまでカモハンドブックで誤りとしてきた叶内氏
の判断ベースもこの辺に原点があるのだろう。
主要TOP5内訳=フィールドガイド日本の野鳥 38%、山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥 13%、
日本の鳥 550(水辺・山野) 7%、日本の野鳥590 7%、鳥630図鑑 5%。

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