をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

似てるぅ! 1

デンドロネッサの記事で紹介した、いくつかの識別点。
これらの識別点がオシドリに独特なものか、他のカモや鳥類にも見られるものか?
そういった意味で接近観察の難しいオシドリの画像と共に心当たりのある雁類の
図鑑画像や写真を見ていると、雁類とオシドリの間にはいくつもの共通点が存在
することに気付いた。 つまりは水面採餌ガモに分類され、フィールドガイド日本の
野鳥ではマガモ属にまぎれて掲載されているオシドリは、形態その他の特徴から
小形の雁類に、マガモ属のカモ達は頸が短い小形の白鳥類に見えてくる。
生物進化学上、どのような進化を経て現行カモ類が存在するのか、良く知らないし
アイサの仲間とウの仲間、一部のミズナギドリが良く似た鉤型の嘴をもつことなど、
形態の類似は必ずしも近縁種を意味しないが、以下の斑紋特徴や裸出部の特徴
からは、そのもつ意味に共通性が見える。

羽がもつ模様や裸出部の形状、色の意味が分かれば、分類学的に見ても生物
進化を理解する上でもきっと有用であるはず。 ここではカモに見られる斑紋の
共通性とその意味について近縁種・白鳥、雁、鴨・水鳥にまで対象を広げて観察
アプローチしてみようと思う。また従来このようなアプローチで研究しておられた方
が存在するなら、是非ともその内容に触れてみたい。

模様が意味をもった形として認識される時
失われた文字を解読したり、暗号を解読したような感覚にとらわれると同時に
今まで見ていた世界が別の世界に変わって見える。文字や言語同様それらは
転意したり転訛したりして変容もする。そこがまた面白い。
一度に記事にすると、とても長くなるので、分割して書こうと思う。予告より項目が
増える可能性があります。

・アイパッチ    (雌性指標)
glass-patch
オシドリは眼鏡形状(片側レンズフレームとつる)の白色アイパッチをもつことは
前々回記事に書いた。眼周囲の斑と目のつくり出す形はメスを意味する指標です。
また、この眼鏡斑は通常単独でもメスを意味することが多いのですが、オシドリの
ように雌雄で同大の斑紋をもつ際には、輪郭不明瞭な方が、異なる大きさの相似形
をもつ際には小さい方がメスを意味します。つまり強調された眼鏡斑はオスを意味し
反対の意味をもつようになります。オシドリの繁殖羽では丸囲い数字1が12へ変化
オスはより広範囲な相似形2へと変化します。

12タイプの斑をもつメスには
同属の Aix sponsa アメリカオシ
白鳥類 Cygnus melanocoryphus クロエリハクチョウ
ツクシガモ類 Tadorna ferruginea アカツクシガモ
Tadorna cana ネズミガシラツクシガモ
Tadorna tadorinoides クビワアカツクシガモ
Tadorna variegata クロアカツクシガモ
Tadorna cristata カンムリツクシガモ
フナガモ類 genus Tachyeres フナガモ属
マガモ属 Anas laysanensis レイサンマガモ
Anas gibberifrons albogularis インドネシアコガモ亜種
マガモ属部分白化 some partial leusism of genus Anas
クビワコガモ属 Callonetta leucophrys クビワコガモ
アカハシハジロ属 Netta erythrophthalma ネッタイハジロ
Netta peposaca ベニバシガモ
スズガモ属 Aythya collaris クビワキンクロ
ケワタガモ属 Somateria spectabilis ケワタガモ
Polysticta steelleri コケワタガモ
コオリガモ属Clangula hyemalis コオリガモ
ウミスズメ科 Cepphus carbo ケイマフリ
タマシギ科 Rostratula benghalensis タマシギ

ここでは以上のようなメガネ形アイパッチを便宜上基本形とした。
理由は属、科を越えて共通斑が多く見られること、スズメ目のガビチョウも
同様斑をもつが、陸鳥であることと、その意味が明確ではないので挙げなかった。
キジやニワトリの仲間も裸出部他が同様の意味を持っているようだし、過眼線に
絞って考えても黒くくっきりした過眼線がオスを意味するチドリの仲間、モズの仲間
にも、見出すことができる。

3は陰陽反転形となるが意味は同じ
リュウキュウガモ属 Dendrocygna guttata シラボシリュウキュウガモ
エジプトガン属 Alopochen aegyptiacus エジプトガン
?属 Lophpnetta specularioides

4は陰陽反転形を前後に拡張した過眼線タイプ
マガモ属の多く many species of genus Anas
マメガン属 genus Nettapus
オタテガモ属  genus Oxyura

5は4の亜形、過眼線上下が白く抜ける
タテガミガン属 Chenonetta jubata タテガミガン

6は4の亜形、過眼線が目先に延長したタイプ
ウミアイサ属 genus Mergus

7は1の原形 白いアイリング状
?ガン属 Chloephaga hybrida ?ガン
マガモ属部分白化 some partial leusism of genus Anas

8は1が目先と頬で分離したもの
ビロードキンクロ属 Melanitta perspicilata アラナミキンクロ
            Melanitta fusca ビロードキンクロ
嘴元斑、頬斑、目先斑、耳羽上斑、額斑は類似の意味をもつがここでは
取り上げず、次回の嘴元斑で取り上げる。

9は過眼線より顔の上半分が濃色トーンとなったもの、2の反転形
雁類 Anser cygnoides サカツラガン
コクガン属 Branta hutchinsii シジュウカラガン を含む
Branta complex
ツクシガモ類 Tadorna cristata カンムリツクシガモ
9の要素と2の要素を同時に併せ持つ
オシドリ属 Aix sponsa アメリカオシ
マガモ属 Anas americana アメリカヒドリ
Anas sibilatrix ワキアカヒドリ
Anas falcata ヨシガモ
Anas strepera オカヨシガモ
Anas formosa トモエガモ
Anas wyvilliana ハワイマガモ
Anas crecca コガモ
Anas querquedula  シマアジ
Anas acuta オナガガモ
Anas versicolor ギンイロシマアジ
Anas hottentota ホッテントットコガモ?
?属 Malachorhynchus membranaceus ?
サザナミガモ属 Salvadorina waigiuensis サザナミガモ
アカハシハジロ属 Netta rufina アカハシハジロ
ケワタガモ属 genus Somateria
クロガモ属 Meranitta americana クロガモ
オタテガモ属 Oxyura jamaicensis アカオタテガモ
このパターンの多くはオスである。矛盾ではないかと思うだろうが、複数の要素が
混在する(例えば構造色の羽衣や有色の嘴)場合には第2義となる。 また一部
カモ特にオカヨシガモでは成鳥オス繁殖羽の一部に少し認められるものや、変化
した形として嵌入した白色が頸部まで後退したオナガガモがいる。

10は拡張した12であり、周囲の暗色部がなくなるとオスを意味する
ツクシガモ類 Tadorna ferruginea アカツクシガモ
Tadorna cana ?ツクシガモ
コオリガモ属Clangula hyemalis コオリガモ

11は7の明暗反転拡張形
これも嘴元斑の回に取り上げた方がいいかも知れないが眼の周囲のサインと
いう意味でここに挙げる
ミコアイサ属 Mergellus albellus ミコアイサ
雌雄共に眼の周囲に黒斑が明瞭となるが、幼鳥時に目立たず、エクリプスに
おいても不明瞭な点から、ここに挙げた。

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