をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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冠筑紫鴨、私的再考

カンムリツクシガモ、このカモを標本で見た方はいても実物を見た方は
世界中を探しても、おそらく誰もいないことと思う。
黒田長禮博士が標本を入手した時点で既に絶滅していた可能性のある、
標本ですら世界に3点しか現存しないツクシガモであることは、多くの方が
知るところであると思う。確実に生存していたと確認できるのは20世紀の
初頭頃であろうと思われる。
それでも現在我々がこのカモについて知りうるのは、数点の剥製標本と
本草学の古画、それに雑種説を覆す説得性のある知識をもった先人の努力
に負う部分が大きい。

以来日本に現存する雌雄本剥製標本、それを元に描かれた図がこのカモの
成鳥の姿であると信じられ、多くの書籍の成鳥繁殖羽の画像と並べてこの
画像が用いられてきたことになる。
しかし、私は最初にこの画像を見た時から非繁殖羽に違いないと考えていた。
フィールドガイド日本の野鳥の図版は標本通りの色彩の嘴・脚色で描かれ、
頭上部と下部の間にわずかに白線のあるオスが描かれている。 この画像
を見た途端に高野氏の並はずれた洞察力に驚嘆することとなった。 標本の
ツクシガモさえ見たことのない私に、この画像の評価を下すことはできないが
目にした事実のみを画像に記し、他の画像に記されていないわずかな白線を
描き入れたことに、高野氏の鋭敏な感性を感じるのである。

cristata-breeding
上段左、オス第1回夏季羽 上段右 オス成鳥繁殖羽 下段左 雌第1回夏季羽
下段右 メス成鳥繁殖羽頭部

雌雄、成幼についての指標を記事にしながら、オシドリとカンムリツクシガモの
類似性に着目しながらラフに想像した繁殖羽雌雄カンムリツクシガモ外観想像図。
着色こそしていないが、ここ数日読んでいる「江戸時代の写生図にみられる絶滅鳥
カンムリツクシガモTadorna cyistata (Kuroda)」 柿澤亮三・菅原浩 著
山階鳥研報 21 1989年 の資料と照合すると驚くほどの一致が見られる。
この報文中、17番の資料画像 「長崎渡来鳥獣図巻」にある朝鮮鴛鴦オス画像こそ
成鳥繁殖羽と私が想像する画像なのです。肩羽他が意外に淡色に描かれていること
それに頸部が赤褐色に描かれていることのみ私の想像外だったが、他はそのまま。
後日全体像や他の想像画も併せて紹介しようと思う。

cristata-mandf
8月4日 復元想像図 アップロード

ツクシガモは世界に7種。我が国でも観察できるツクシガモとアカツクシガモは例外的に分布域が
広く、日本はその東端に位置する。そのため、西日本の日本海側での記録が比較的多く、瀬戸内
海の終点である大阪の埋立地ではツクシガモの繁殖記録(1985年、堺市)もあるが、多くは幼鳥
若鳥であり、成鳥の繁殖羽が観察できるのは稀である。
そのような地理的背景、群れの年齢構成要素、日本の古画に見る資料及び命名者である黒田長禮
博士の著書「雁と鴨」にある記述、ネット上の第1~第3標本を画像処理して得られた知見を総合し、
上に挙げる画像を描いた。雄成鳥の繁殖羽(2月~6月)では嘴上部にツクシガモほどではないが、
瘤が存在し嘴色はやや赤い桃色、顔は赤褐色、虹彩は乳白色~レモン色、首輪もあったはず。
雌はツクシガモの雌が特徴とする頭部の白色化傾向が顕著で、老成した雌成鳥では冠羽を除いて
頸と上胸の境界部までは白っぽいはず。若鳥では目の周囲に白いオシドリ雌に似た縁取りがある
ものの、加齢と共に嘴元白斑や頬の白化により、最終的に縁取りは消失するものと推定される。

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