をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

マガモとアヒルとカルガモ

マガモ・・・野生のマガモと家禽化したアヒル・アイガモが野外に逸出して世代を重ね
      外観上原種マガモと区別できなくなったものを含む、区別できたとしてマガモ
      と呼んで間違いではない。

アオクビアヒルとアイガモ
アオクビアヒルとアイガモ・・・2007.12.31記事より 以下同記事より引用

アヒル・・・ニワトリに比べ人類が家畜化(鳥なので家禽)した時代が新しいが、これは
      マガモのもつ渡り習性をなくす努力が必要だったためと考えられる。漢字で
      家鴨。家畜や家禽には家~と表記するものが多い。豚は家猪とも表記する
      が歴史が長く豚という漢字がある。一方、犬は家狼とは表記せず漢字成立
      と家畜の呼び名は密接な関係にあると考えられる。読みのアヒルは足広の
      あひろが転訛したものとの説があり倭語が漢字の音に置き換えられたもの
      でない当て字と思われる。 マガモを継代飼育して肥育したものと一般には
      認識され、学名も Anas Platyrhynchos var. domesticusとしたマガモ学名に
      家禽変種という意味合いが追加されている。 したがってアヒルにマガモを
      戻し交配して作出されたアイガモの学名も同じである。
      鳥に詳しい一部の方達を除き、大手保険会社のCMマスコットの影響もあり
      白いアヒルだけをアヒルと認識される方が多いが、原種マガモの色を保つ
      青首アヒルやペキン、ルーアン、カーキーキャンベル等多くの品種が存在し、
      白いというだけでガチョウとアヒルが区別できていなかったり、属の異なる
      バリケンまでもがバリケンアヒルと呼ばれることもある。
      ・・・とここまで学術的な認識と一般人の認識を書いてきたが、農林水産関係
      の方々や養鴨業者の方達のアイガモ観は少し違い、近隣の養鴨業者のHP
      にはアヒルとカルガモをかけ合わせたものがアイガモ、大分県農業技術センター
      のぶんご合鴨はマガモと青首アヒル雑種アイガモとカーキーキャンベル種を
      更に交配したものを合鴨と呼んでいます。
      ここで注意すべきことは、過去私が緑色がかった黄色い嘴や灰黒色の嘴を
      もったマガモ雌を 「ODD MALLARDS」紹介している事実などから、交配された
      地域のマガモ近縁種アカノドカルガモやマミジロカルガモの血統も入っている
      可能性は充分あり、だとすれば学術的認識はややずれている。

冬鳥   マガモを含めた多くのカモは関西では越冬のために日本へと渡ってくる冬鳥
      です。しかしマガモには上記のような問題もあって渡りをしないマガモがいて、
      傷病が原因で渡りを断念しているのか、祖先が家禽であったのかが判別し
      難い個体がいて、これらのマガモはカルガモより更に定住性が強く同一場所
      で1年間を過ごす傾向が強い。

留鳥   本州のカモではカルガモ、オシドリが留鳥であるとされる。 この用語は基準が
      個体と狭い特定地域を指すのではないということ。もちろん、冬鳥・夏鳥・漂鳥も
      同じだが、個体Aという鳥が年中関西で見られるから留鳥なのではなく、その
      種が基準となる地域で四季を通じて観察できるので留鳥と呼びます。 実際に
      オシドリは関西の山間渓流で繁殖しますが、平地の池や公園では姿が見られ
      なくなるので冬鳥では?と考えやすいですが、オシドリの繁殖地も越冬地も
      国内に存在することが多く日本を基準とした場合留鳥ということになります。
      これに対してカルガモの越冬地・繁殖地移動の実態は不明で冬季の観察数と
      繁殖期に相当する春・夏の観察数には歴然とした差があり、しかも繁殖環境に
      顕著な越冬地・繁殖地条件差がないので短距離~長距離に及ぶ渡り相当の
      移動をしている可能性があります。北海道で繁殖したカルガモが関西で
      越冬、関西で繁殖したカルガモが沖縄で越冬というような状況は十分に考え
      うる。越冬地が朝鮮半島や中国、東南アジアとなれば一部カルガモは渡りを
      すると考えられなくもない。

旅鳥  国内で越冬も繁殖もしないシマアジがこれに該当するが、一部北海道で繁殖
     するので夏鳥、沖縄付近で越冬するので冬鳥とされることもあるが、基準地を
     日本とした場合には旅鳥とされる。

夏鳥  北海道は国内では例外的に高緯度・寒冷地に該当するのでカワアイサ・マガモ
     等比較的多くのカモの繁殖が確認されています。これはカモ達の繁殖域に近接
     するためで、比較的低緯度で繁殖する雌雄外観差の少ないカルガモの北限付近
     に該当することから冬季には個体数が激減し夏鳥となります。

DNAバーコーディングから見たマガモとカルガモ
     日本鳥類目録第7版で種の分類に大きな影響を与えた新世代ツールはムシクイ
     隠蔽種の立証にも有用であったが、大きく外観の異なるカルガモとマガモでは
     遺伝子配列の差異がなく両種の変異は0%。一致率100%は亜種間の差異より
     更に少なく現行の手法では同種と判定されるレベルであることが2014年に公表
     された。

マルガモと家禽系マガモとカルガモ
     マガモとカルガモはDNAバーコーディングという手法でも区別できないので近縁。
     近縁なら雑種が出来ても不思議じゃない?! ところがマガモ目線ではなく、
     カルガモ目線で見ると少々印象が違ってくる。 カルガモが雑種をつくる相手に
     マガモ以外のカモで思い当たる種はいるだろうか?他のカモとは不妊の関係に
     あるとされるオシドリと他のカモの関係に次ぐような雑種の少なさが目につく。
     カモの世界で内水面のカモを総合的に研究したことで有名な羽田健三氏は論文
     によってカモのすみわけを説明するなかでマガモとカルガモには有意な種間干渉
     が存在し、水辺の最も安全な水域をマガモが優占すると報告している。 また、
     これらの研究を再評価してJOGA集会で発表した嶋田哲郎氏も千葉県での観察
     によって追認できたとしている。 が、私自身はカモ観察を始めた10数年前から
     そのような事実を確認できたことがなく、マガモ・カルガモともにドングリを潜水して
     採餌し双方の群れには大抵少数の異なる種が混じっていて緩やかな同種群を
     形成しているというのが正直な印象。 ただ羽田氏が論文報告したのは私が出生
     した半世紀以上も前のことですし、嶋田氏の千葉県における観察も私がカモ観察を
     始めた時期より前のことなので観察時期・場所で差があったと言えなくもない。
     だとすれば、この比較的短い期間にこの両種の関係性に影響を及ぼす何かが
     変化したのだろうか? ひとつ思い浮かぶ理由がある、思い違いである可能性も
     捨てきれないが・・・都市部で人為的に公園や池に放されたアヒル・アイガモの存在
     が野外逸出によって局所的に進行したカルガモとの雑種増加を促進した?。
     上で書いたようにアイガモは古くはナキアヒルと言われたものと同義でしょうが品種
     改良のために他種の血統も導入されている可能性が高く、野外でカルガモと交配
     することは遺伝子を汚染している結果となります。マガモとカルガモの雑種の呼び名
     をマルガモとしてもいいですが、この家禽系マガモとの雑種までをもマルガモとして
     呼んでしまうことには違和感があって、現にマルガモと呼ばれている雑種カモ、実は
     都市部で繁殖してマガモと区別できなくなった家禽系マガモ由来が大半でしょう。
     野生のマガモとカルガモ雑種は巷間考えられているほど多くはありません。
     それは野外に逸出して繁殖している家禽系マガモは局地的に分布していて、京都
     鴨川の市街地のように寺の池で繁殖を見守られ多くの人々からカルガモと誤認され
     結果的に鴨川水系に家禽系雑種ガモを増加させた例からもわかるように、正しい
     知識をもって自然と接することが重要です。マスコミやNHKの報道までもがカモの
     遺伝子汚染を助長していることは由々しき問題です。 アイガモという概念に既に
     カルガモ血統が混じているならば、雑種ができやすくなることは容易に理解できる
     ところです。

カルガモが雑種によって滅ぶ
     上で触れた雑種問題を雑誌記事で報告した方に千葉県立博物館の桑原和之氏が
     いる。イラストレーター箕輪氏撮影の雑種カルガモ等を例にしながら雑種が増加する
     のを懸念した記事がBirder誌2007年11月号に掲載されています。
     ただ文脈から桑原氏はカルガモ雌繁殖羽特有の三列風切の斑を雑種根拠とする
     従前の立場に立っているためカルガモ雑種個体数を過度に多く見積もっていると
     推定し、当時同号雑誌の記事信憑性に著しい問題があるとこのブログで取り上げた。
     関東周辺では当時既に市街地で結構多くの家禽系マガモが繁殖していたことの
     裏返しかもしれない。


芦ヶ池のアイガモ
芦ヶ池のアイガモ・現在見られるアイガモの両親
現在芦ヶ池に残る子の世代は2羽まで減ってしまった。途中兄妹婚による雛が誕生したが
カラスによる捕食で3日ほどで全滅。以後新たな繁殖は確認されず、同性交尾は確認できた
ものの他種(カルガモ等)との強制交尾も確認できなかった。信州で家禽系カモを数世代に
わたって観察されている方がいるが、意外に狭い親族社会を形成しているようにも見える。

マガモ似の雑種
マガモ似の雑種
父親の影響度記事で紹介した子の外観から推定すると、これはマガモ父とカルガモ母の子。
以後母系統のカルガモと交配を続けてマガモ系統の血が入らなくともしばらくは強くこの外観を
継続するであろうことが日本のカモ識別図鑑の雑種欄画像からも推定できる。

交雑の疑いのあるカルガモ(左)とカルガモ
交雑の疑いのあるカルガモ
こちらが上で書いたように過去マガモ父から出生し数世代をカルガモ母と交配したと推定できる
カルガモ雑種。顔には既に緑色金属光沢がなくなって、第1世代雑種の頬付近の黒色部が腮~
喉付近に確認できる。緑色光沢を出現させるには均質で暗色のメラニン色素をもつ下地が必要
でその下地黒色部が世代を経ても喉周辺に残存したと考えられる。
マガモと過去に交配した影響が頬線の出方の弱さに見てとれる。
第1世代雑種F1からこのような外観となるにはカルガモ母との戻し交配を5世代ほど重ねる必要が
あり、この間コピー機で原本を使用せず複製だけを重ねたコピーのように輪郭が途切れ、斑は点と
化し次第に母系統外観オスに近づくものの嘴や頬線の特徴は継続して受け継がれるものと推定。


中間型雑種
中間型雑種
当時中間型雑種としてはいるが、これも父はマガモと推定できるカルガモとの雑種。
今回見たカルガモが父の雑種ではかなりカルガモ似の嘴(先端黄色部はやや広い)を
しているのを見ると、父ガモはマガモと判断する。体部は波状斑が見えておらずカルガモ
影響が強いように見えるが近接してみると波状斑の影響もある。


カルガモ似の雑種
カルガモ似の雑種
こちらが今回観察できた雑種の子ガモオスが成長したときに見られるであろう外観。
カルガモ父とマガモ母の間にできた雑種。 この個体には緑色金属光沢の出現は
ないが、子の個体差によるので上の中間型雑種画像程度の緑色光沢を頭部にもつ
個体もいるだろうと推定する。
ネット画像を検索していて思うのは鉄分によって胸~頬が赤褐色に染まっただけの
カルガモをこの雑種と誤認している例も見られる。やはり単一の特徴ではなく複数の
異なる視点から検証し総合的に判断する姿勢は忘れてはならない。

※ 上で示した画像の両親を全て確認した結果ではなく、現在の雑種観に基づき
再構成したのがこの記事です。野外で観察した雑種の両親を特定するのは困難で
それに準じた飼育交配記録も断片的にしか見出せないので、この辺りの事情に
最も精通していると考えうるのは都道府県にある農林水産技術施設の新品種育種
担当官ぐらいではないでしょうか。

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。