をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

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シューツリーの魅力

カモ記事や他の記事も書きかけで考えがまとまらなかったり、説明イラストが不十分だったり
この時期の鳥観察頻度と相まって更新が進まない。

 そこで、かねてから靴のメンテナンスやシューツリー改造記事を取り扱っていることから、
少ない知識ながらツリー(ここではシューツリー、シューキーパー、シューシェイパーなどと
呼ばれている製品を以後、ツリーと呼びます。)について個人的興味の内容を取り扱って
いこうと考えています。
靴、特に革靴は日本国内に普及してたかだか1世紀そこそこの歴史しかありませんが、
熱狂的な靴マニアから伝説的職人さん、蘊蓄のかたまりのようなお方・・・などなど多数の
ファンがいらっしゃいますが、その脇役として重要な役割を果たすツリーに関してはまだまだ
基本的な知識が浸透していない、靴に入れさえすればいいと考えている方が多いのでは
ないだろうか。靴店や靴修理店、それにセレクトショップの商品解説を見ていると多くの場合
素材木の説明や使用目的、機能に誤解のあるサイトが見つかる。
 私のツリー歴もごく浅いものだし、靴にまつわる解説本等で少し触れられる程度の知識では
実際の使用における印象や製品ごとの評価も把握しにくいのが現状で一部のクチコミ情報が
販促に利用されているだけで実体とかけ離れているということもあるようだ。

 初めての出合い 】
成人式でスーツや晴れ着を着るのは当たり前のことだろうが、成人式を迎えたときにはスーツも
革靴も持っていなくて、普段着にスニーカーといったスタイルで臨んだのを覚えています。社会人
になっても営業職ではなかったのできちんとしたスーツや革靴を着用するようになったのは30歳
頃からではなかったでしょうか。そんなわけでファッションについて、靴の選び方や手入れの仕方
を誰に教わったというのではなく自分が必要に応じて身につけていった感じです。初めてツリーを
購入したのもリーガルのお店で「ツリーって必要ですか?」と尋ねて購入し、しばらくはネジ式での
長さ調節機構があるのを知らず、やや緩めに靴に装着していたのを思い出します。

 種類と素材、バリエーション 】
歴史的に見てみるとヨーロッパでも初期のツリーは長さや幅を調節できるものはなく、すべて手に
よって削り出された手の込んだものが多い。20世紀中頃からネジ調節式やスプリング伸縮式の
ツリーが出現し、それらの機構は現在も引き継がれている。以前にも触れたが、引きバネを使用
したオタマジャクシ形の簡易式ツリーや製靴ラストをそのまま保存用ツリーに模したフルラスト型
ツリー、主に踵部分のパーツを簡略化したハーフラスト型ツリーが存在するが中には木製2分割
タイプのものもあって区分が明瞭でないものも存在する。ツリーメーカーは自国だけでなく外国に
工場を持つ場合もあって、昨今は中国製ツリーが大量に出回っていることからも、外観からだけ
ではなかなかにその技術力や信頼性を把握することが困難となっている。 
 一方で過去にはサイズだけでなく幅やラストタイプまで選択肢のあったツリーが大量生産から
汎用性に重点が置かれ、平均的な足型を外れた靴の持ち主には選択肢が極めて限られている
実体は放置されているようにも思え、ツリーが本来持つ靴型の保持という観点からは、これらの
規格外靴所有者こそ考慮されるべき対象者とも判断される。
 素材もツリー(木、木製)とはいえ鉄やアルミ合金、プラスチックや革製等さまざまな素材が用い
られ、素材木も伝統的にビーチ(ぶな)、メープル(かえで)、ポプラ、ライム(しな近縁)、シダー
(すぎ)、レッドシダー(米すぎ)、バーチ(かば)などの他ウォルナット(くるみ)やホーンビーム(しで)
なども使われるし、けやき、かし、しなみざくら等の製品もあります。使用材によって価格差があり
ますが、実際の機能は価格差ほどはないことが殆どです。

異なる樹種・木材からつくられたツリー 】
ツリーの多くは靴木型製造工場が自社ブランド品として、また靴製造メーカーの依頼を受けて
製造された商品が多く、ラストやつま先形状や時代の流行を取り入れて生産されているが、同じ
タイプのツリーの素材を別素材で製造する技術も工場は併せ持つため、異なる木材を用いて
ツリーがつくられることもある。ただ、使用木材によって価格が異なることはあっても機能に関して
大きく差があることは殆どなく、入手の希少性や重さなどがやや異なるぐらいで吸湿性等のよく
話題にされる付加機能はほぼ差がないと言ってもよい。最もこれら素材の違いが大きく影響する
のは多分にユーザーの嗜好性にあって、材質に由来する機能差は決して大きくない。

やっとソール修理できたスェードローファー
以前「剥がせソール」で紹介してその後修理代の都合がつかなかったり、思うように修理部品が
入手できなくてそのままになっていた、リーガル ブリティッシュコレクションの黒色スェードローファー
京都の「REPAIRIST」さんが2足分の料金が必要となるソール修理を1足分料金で一足限定修理
してくれるという情報でお願いしたところ、修理後の送料も含め、当初想定の修理代金を下回る
料金で丁寧に対応していただきました。 クレージー ソールパターンで遊び心のある底付けです。
swede-british
元々ついていたソール素材は天然クレープゴム製でクッション性の高いものでしたが、この素材
少々神経質な性質で舗装間もない道路を歩いたり、有機溶剤に触れる、高温下に放置する等の
条件に遭遇すると底がべたついたり、ドロドロに溶けたりして、あらゆるゴミが靴裏にくっついたり、
鋭利な角のあるものを踏み貫通することが多くなります。年に一度は歩道の舗装が新しくなる
近所を歩くとひとたまりもありません。

swede-british-front
装着しているツリーはパオロ・ラッタンジの鏡面仕上げのステンレス金具が美しいカエデ製。
以前東京に行った際の中古靴試着で横に置かれていてとても気になったツリーでした。
最近、このツリーが訳ありで安く入手できたのですが、そのツリーがこれにジャストでした。
製造は同じくイタリアのFormificio Veregra 、PRODUCTS>Shoe Trees>Ceder Shoe Trees
掲載の杉素材ツリーの異素材版と考えられます。父親のシルバノ・ラッタンジで使われるのは
ラストが異なり素材もブナ製が多いようです。
イタリアには他にFormificio Romagnolo等名の知られた日本との取引もある
靴木型ファクトリーもあれば、エドワード・グリーン のシューツリーもてがけていたHARTMANNの
ツリーもドイツではなくイタリアで製造されているようです。

swede-british-insole
左足のソックシートはオリジナルですが右足のシートは踵下に穴が空いていたので大き目の
別靴で使用していたフットメイトの革製インソールのつま先部分をカットしてオリジナルと交換。
裏張りのクッション材はつま先側の2cmほどを除去してソックシートとして接着。
履き口、踵部分の革が数mmめくれていたのでやや幅広く1cmほど絹糸でまつり縫いして
ほころびが拡大するのを防止。この辺は予め自己補修しますと伝えていたので到着後修理。

paolo-trees
カエデ素材特有の木目と白さが特徴で、サイズの割にワイズを広くとった前足部。

walnut-trees
加工途中のウォルナット製自作ツリー

walnut-trees-biasside
踵部の木製つまみはフランス製ビンテージツリーのブナ製を流用、塗装で目立たなくしている

walnut-trees-front
甲の立ち上がり終端部をかなり内側にもってきてあります

walnut-trees-sole
甲終端裏側から足裏にかけて貫通口を設け、前足裏をくりぬいた



続きでツリーのサイズ変更について考えてみます

perfecta-vintage-sizeup
PERFECTA製(仏)バーチカルリングバックのツリー 現行のツリーとラスト及びサイズ
サイドスプリットの機構に大きな違いがある。右足は全長で7mmほど伸ばしています。
踵部のチューブ固定ピン位置を前方にずらし、その分踵部スプリング収納部にスペーサー
挿入しています。

perfecta-vintage
元のピン穴は木軸で埋めてあります
このようなサイズアップは前足部と踵部双方のピン固定位置変更で1cm程度可能ですが
金属チューブの露出が多くなりやや外観上アンバランスになる上、強度も考える必要があり
ます。

chinese-beech-downsize
こちらはパーフェクタ製FA85のモデルコピー、無塗装の中国製ブナツリー。(S ISAACS)
サイズ42を39~40対応の長さに変更、前足部の横幅が不足する靴への対応を意図。
中国製と他国製の明瞭な違いのひとつに金属チューブ固定にピンや釘ではなくネジを
使用していることが挙げられ、不用意な抜けを回避できる、メンテナンスが容易な利点。
踵部パーツを切断しているので、その分チューブ穴をドリルで延長している。

shetlandfox-forepart
シェトランドフォックス(リーガルのフラッグシップブランド)、ケンジントンシリーズ専用ツリー
ラバーウッド集成材の木製3ブロック構造の長さ固定ツリー。これをベースにロングノーズ、
定番ラスト兼用の自身専用ツリーを作成。

shetlandfox-fore-sole

shetlandfox-connective
前足部と踵部に挿入するくさびブロックも切断面に沿って前後各5mmほど切断、全長で3cm
ほど縮小した。踵部の裾の広がりが過大なのでかなり小ぶりに修正した。

shetlandfox-trees
左足が修正済みのツリー、甲の立ちあがり起始部を後方にずらし、傾斜もアレンジしている。

partir-shetlandfox
Partir国産センターシームロングノーズダブルモンクストラップに装着したツリー

partir-tomorrowland
同じ靴にこれまでに使用していたTomorrowland Hidetaka Fukaya 極めてフィット性が
高い組み合わせだったが、改造ツリーのフィット製はこれを凌ぐ。 進出著しい英国製Spring
Lineもよくフィットするが、いずれも甲部が低すぎて甲部テンションにやや難あり。

ツリーのサイズはあくまでも目安に過ぎず、装着して初めてラストや自分のサイズとの相性が
わかるので単に靴と同サイズのツリーを使用しても効果のないことも実に多い。ツリーを扱う
専門サイトも多くは販売促進を意図したものであるため、いいかげんな情報やジャストフィットと
称してラストとマッチングしていないツリーを推奨している場合も見られる。たかがツリーなれど
その奥は深いのです。 また折に触れてツリーの記事を扱います。
それにしても暑い、体調が優れず口唇ヘルペスが出てしまう、健康保険金が普通額徴収になり
国民年金の納付免除が却下される等身の回りの状況はさらに深刻になってきています。

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