をかしの庭

なにげない日常の中にも、心ときめく現象や出会いがあります。 遠くに出かけずとも、内面に大きく語りかける身近な映像、そんな写真がお届けできれば良いのですが…。

雑種アメヒドリのバリエーション

昨年に続いて今年も年末・年始の連続勤務明けに風邪というより
インフルエンザによる発熱、喉痛、関節痛で10日ほども体調を崩し
さんざんな年明けでした。 ということで、遅遅のごあいさつながら
本年も宜しくお願いします。 とにかく母の判断力や自力遂行力が
衰えているので年末の買い出しや物品の勘違い購入や自分勝手な
料理処理で振り回され続け年末時点で体力は限界でした。

ずっと考え続けているカモ雑種について、今回は飼育鳥である家禽
影響を排除して推察できるアメリカヒドリとヒドリガモの雑種外観から
いくらかでも規則性に迫りたいと思います。
この2種の組み合わせはアメリカヒドリが国内で観察されるように
なってからの経過年数が比較的浅いこともあって、観察例数が多数
あるのに、場所によってアメリカヒドリの影響が強い個体が多い場所
からほぼいない場所まで連続的かつ絶対数が多いことで水面採餌
ガモ類の雑種を考えるモデルケースとして適している。

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A個体 堺市昨年11月末 頭部にわずかに緑色光沢、三列風切に強い緑色光沢

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B個体 堺市昨年12月末 かなりアメリカヒドリに近いが腋羽や体羽羽縁に少し問題

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C個体奥 堺市昨年12月末 一見アメリカヒドリとの雑種?と思うかも知れないが頭央線の
バフ色が白色化、頬が薄くなり、嘴形状も太短いアメリカヒドリ寄り

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D個体 堺市昨年12月末 体羽がアメリカヒドリと中間の褐色味のある灰色で、頭部
緑色光沢の見られる部分も褐色味が強い

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E個体 堺市昨年12月末 上のD個体に似るが頭部に緑色光沢がなく、色味だけで
言えばヒドリガモの影響が強い

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F個体 堺市昨年12月末 観察時はかなり純度が高いアメリカヒドリ幼羽から第1回
繁殖羽移行中の個体かと感じたが頬の褐色味や喉の黒さから多分B個体似雑種

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G個体 大阪市昨年12月末 E個体に似るが側頭部の緑色光沢が強い

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H個体 上のG個体ほどでないが目の周囲に緑色光沢、頬が淡色化、他はヒドリガモ的

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I個体 頭部緑色光沢部分の地色が褐色で嘴基部の黒条を欠く体羽は中間色

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J個体 ヒドリガモとしても問題ないと言えるが、頭央線の白色度が強く、顔の上下を
2分する区画線が見え、体羽も褐色味を帯びる

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K個体奥 E個体に似るが嘴形状はヒドリガモ的で頭央線の白色度も高い
H個体以降も全て大阪市昨年12月末撮影

以上ランダムに11個体をあげてみたが、外観上ヒドリガモまたはアメリカヒドリの
どちらかによく似ていると思いませんか?  そうなんです。雑種といえどもど真中
の特徴をもった雑種は多くないと思います。
雑種が生じる原因として、
1、 強制交尾
2、 托卵
3、 つがい相手の不足
などが考えられるようですが、実際に越冬期のつがい形成、雑種の出現状況などから
国内での雑種出現の主因は迷行や分布縮小・拡大に伴うつがい相手の不足が近縁
他種との雑種形成に大きく関わっているように見えます。 続きで私自身の雑種感の
変遷に少し触れてみます。

past-distribution
こちらの図は私が過去、5年ほど前まで普通に抱いていた雑種のイメージ。
左右にあるのが純粋A種、純粋B種位置でこれについても言わば先鋭な高いピークを
描正規分布曲線として表現した方が正確だろうか。
親の性別に関わらず、子の外観は中間の特徴をランダムに引き継ぐという考えでした。

single-distribution
ところが、昨年カルガモ父と家禽系マガモ母との雑種を観察したことで、それまでの
家禽カモ雑種雛の成長後特徴と合わせて、父種外観の子への影響度の大きさを
痛感し、考えを修正したのがこの図のパターンです。
純粋種の子というのは言わば精巧な鋳型からつくりだされたもののように金太郎飴
状態で同じ特徴・外観を持ち続けます。一方雑種は他種の血統が入ったことにより
幾分許容幅の広い甘い鋳型となりますが、父種から強い外観特徴を受け継ぐことに
変わりありません。雑種のなかにはたとえ異なる分布域に生息していようとも飼育や
迷行により出合う機会のある組み合わせが存在し、遺伝的特性、物理的特性が合致
すれば誕生可能なものがいます。   マガモ×カルガモ、ヒドリガモ×アメリカヒドリ、
アカハジロ×ホシハジロは同属間の雑種ですが互いに父種、母種が入れ替わっても
雑種形成が可能で、物理的特性上片方の組み合わせ雑種しか存在しないだろう
雑種もいます。それはRオナガコガモつまりはコガモ×オナガガモに代表される体格差
大の組み合わせ雑種です。・・・雑種にも略称があった方が認識しやすいが、語呂の
関係や呼びやすさ、既存の名称も考え頭につく名称が父種となる場合はそのまま、
逆のパターンではリバースのRをつけて呼ぶことにした。千葉の葦巴は父種がトモエ
だろうと考えているので、父種の特定まで考慮すればR葦巴と表記することにした。

<大は小を兼ねても小は大を兼ねられない>
カモ類は基本的に水上で交尾します。一般的な鳥類が排泄腔をこすり合わせるだけの
単純なものに対し、カモ雄はファルスと呼ばれるペニス状交接器をもち、雌のらせん状
交接器に対応した同じ向き長さの円錐バネ形状をしています。これが強制交尾を排除
する雌雄の共進化であるという論文も発表されてもいますが、ピッキング泥棒が開錠に
使用するピンのように鍵穴より鍵が小さくなければ、そもそも交尾が成立しません。
また浮力の関係でやや大きい同種雄との交尾でも限界近くまで沈下する雌の体勢が
2回りも大きな雄を水上で支えて交尾が成立する可能性はゼロに等しい。
その結果、この組み合わせ雑種では観察される外観パターンがとても近似していて、
多数の例数を見渡しても同種間子に匹敵する外観再現性をもっている。

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コガモ×オナガガモ雑種雄ほぼ繁殖羽 京都市 1月16日
これまでに観察されたこの雑種はひと目でこれだとわかる定形的外観となっている
一方マガモ×カルガモ、ヒドリガモ×アメリカヒドリ、アカハジロ×ホシハジロ等の雑種
では片方の種からもう一方の種への連続的近似が見られバリエーションが大きい

twin-distribution
以上のような状況から、最近は少なくとも第1世代の雑種はこのような二峰性外観を
もち一部中間特徴を共有しているという考えに至っています。
このような両親の雌雄差による外観差はコリンズの「BIRD GUID」や雑種記事にも
見ることができるので、私だけのオリジナルな考えではありません。
しかし、一部品種改良等の作業を仕事としている専門的な方以外、これらの雑種を
正確に判断できる方法や知識を持ち合わせている方は少ないと考えられる。

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